民営化(指定管理者制度)で心配な大田区民施設の「歯止めなき金儲け」や「秘密主義」

第131号議案 大田区区民活動支援施設大森の指定管理者の指定
第132号議案 大田区洗足区民センターの指定管理者の指定
第133号議案 大田区総合体育館の指定管理者の指定
第134号議案 大田区産業プラザの指定管理者の指定
第135号議案 大田区大森南4丁目工場アパートの指定管理者の指定

について指定管理者制度を採用する議案があがり、情報公開や歯止めなく自主事業を許す姿勢に問題があるため反対しました。

第四回定例会は、指定管理者の指定が行われることが多い議会です。

本議会においても、指定管理者指定議案9議案が上程されています。

平成16年の導入から12年が経過した指定管理者制度ですが、指定管理者制度そのものへの評価が、行われなければならない時期にきていると考えています。

そこで、大田区として、どのように指定管理者制度について評価しているのか、どのような指標に基づいて行われたのか、その内容・結果について公表されているのか、質疑したところ、

全施設について最適な運営方法についての検証は、平成27年8月1日の副区長の通知「指定管理者の選定方針等について」にしたがい

◆指定管理者制度に限定せず、前後の比較、使命、存在意義、求められる成果などから行っていて結果の公表はしていないが、必要に応じ対応する。
◆平成27年包括外部監査において第三者の目で適切か検証している

という答弁でした。また、

◆個々の施設ごとに、公共性の担保、営利・非営利事業主体で行うことの意義、民間事業者でなければできない理由、民間事業者であることによる区民のメリットなどについて、評価・検討していて、その結果についても必要に応じ対応する

という答弁でした。

そこで、議案として上程された、すべての施設について、これらの結果について確認させていただきましたが、以前であれば委員会報告されていたような資料まで、資料は準備しておらず、情報公開で対応せよと言われ、大変驚きました。

大田区民への説明責任の大きな後退です。

しかも、議会の議決に必要な情報を情報公開制度で対応するとなれば、議決には間に合いません。副区長の答弁が、間に合わないことが前提の、情報公開請求を視野に入れた答弁ならさらに問題です。

議会に議決を仰ぐ以上、質疑で指摘させていただいた程度の情報は、必要最低限の情報として議会に示すべきです。

各部署に対し、賛否を判断するまでに議決に必要な情報の開示を求めたところ、すべての施設について、温度差はあり、十分とは言えませんが、一定の情報提供がなされた努力は評価します。

しかし、指定管理者制度導入から時間が経過するにつれ、議会への情報提供の内容や情報量が減り、以前は公開されていた情報も不開示になるなど、情報公開が明らかに後退し、説明責任を果たせてなくなってきていることは大きな問題です。

提案内容も事業者のノウハウで公開せず判断した委員も非公開で、選考の結果だけを示され、適正な選考が行われたことをどう判断すればよいのでしょうか。行政を信じてと言われるなら、議会の存在意義は無く、二元代表制への冒涜です。

選考委員も、立場や名前を公開することが、責任ある選考が行われたことにつながりますが、公開しない部署もありました。

審査要領など毎回新たに作っている部署もありましたが、審査基準が変われば有利不利など応募事業者に影響が及び、安易に変更すべきではありません。
こうした基本的な部分については、各部署にバラバラに判断させるのではなく、大田区として一元化すべきで、そのうえで、所管課として制度を活用し個々の事業をどう生かすか考えるべきではないでしょうか。

また、評価点をみていて気になったのが、極端に財務内容にウエイトが高く大資本に有利な選考をしている部署・事業があったことです。いくら良い運営ができる事業者、良い人材を確保している事業者も、財務内容が大資本に見劣りすれば、評価点が低くなり、採用されないことになります。事業形態を重視する選考基準ですが、現場労働者と事業形態どちらを大切にすべきでしょうか。

事業者が変わっても現場で働く人は同じという話は、あちこちで聞きます。ヘッドハンティングした、されたという話もよく聞きます。大田区が、事業者から言われ守らなければならないとしている事業者のノウハウも秘密も、現場で働く人によるところこそが大きいという見方もあり、その通りだと思います。

また、こうした大規模資本に有利な選考基準が、結果として、区内事業者を排除する構図もあることは問題です。

また、今回の指定で、コラボ大森の指定期間だけが3年だった理由を、どういった運営形態が良いか検討するためと説明しましたが、過去の運営実績で検討は可能であり、変えるか変えないか決まってもいないのに3年にしましたが、通常の5年指定の中で検討すべきで、安易な機間変更はすべきではありません。次回の区長改選時期を見据えたかのような変更ありきの検討は問題です。

自主事業によるインセンティブの与え方で弊害が起きているのが、大田総合体育館です。全体利益の70%を事業者の利益とし、大田区には30%返還するしくみのため、事業者はより大きな収入の入る利用料金を稼ごうとし、土日のほとんどが、興行収入を稼ぐ観るスポーツになっています。これは、自主事業から得られた利益の一定割合を事業者収入とするのが一般的なところ、利用料まで含め利益として計上してよいとしたため招いた結果です。区民の財産で、際限なく儲けることを許しているうえ、多くの土日が休みの区民の利用が制限されるため問題です。

産業プラザを特命指定した理由を、利益を100%大田区に還元しているのでと説明しましたが、大田区民の税金で設立運営されている法人ですから当然です。しかも、この利益の算出方法が大田総合体育館、公園プールなどと同様、自主事業だけでなく、指定管理業務全体からあがる収益を対象にしていますから、返還金額が多いのは、指定管理料の算定に問題があるのかもしれません。
そもそも、指定管理者は、施設運営権をゆだねられているため、家賃を支払わずに営業するしくみと言えます。産業振興協会は大田区から多くの事業を受託し、補助金も得ていますから、収益が上がるのも当然です。

区民の財産で営利活動することは監査請求にも相当する大問題であり、自主事業だけに制限している意味合いがわからなくなっている大田区に危機感を覚えます。

重複する内容は、他の指定管理者指定に譲り、これらの理由から、指定理由もあいまいで、指定管理者制度が必ずしも区民にとって最良といえないばかりか、不利益をもたらしている事業もあり反対といたします。