【答弁付き質問】3.5兆円もかけ【定額減税】でカモフラージュまでして国が成立させた増税 第二の介護保険=こども保険
3.5兆円もかけ【定額減税】でカモフラージュまでして国が成立させた増税 第二の介護保険=こども保険
【答弁付き質問】令和6年第2回大田区議会定例会(第2日) 一般質問 奈須 利江議員(フェア民)
フェアな民主主義奈須りえです。
始まった定額減税
物価高対策のための定額減税が、今月6月から始まっています。人口74万人の大田区では、特別区民税の納税義務者役42万人がその対象です。
複雑で不思議な減税のしくみ
中でも、納税義務者の84%を占める約35万人の給料から税金を源泉徴収される人の住民税の減税のしかたは、とても複雑で、不思議なしくみです。
減税は、所得税1人3万円、住民税一人1万円ですが、6月の住民税の天引きを0にするのです。一人1万円の減税が、6月免除ですから、多くの方たちが、減税しすぎになって、6月の手取りが一時的に増えます。振り込まれた手取りだけを見て、減税やベースアップの効果が大きいと思ってしまうかもしれません。ところが、減税しすぎた分は、7月以降の住民税に11分の1ずつ上乗せして徴収されるので、7月から来年5月まで本来より手取りが減ってしまいます。
定額減税でつくられる増税状態
国は、この複雑なしくみを作ることで、7月以降の住民税の一時的な増税状態を作っているのです。給与明細は、企業のサーバーなどを見に行って確認しなければなりませんし、みても増税状態に気づかないかもしれません。
増税したかった国
なぜ、あえて給与所得者に増税状態を作っているのかと調べたら、国では、減税をいう前、去年の今頃から、少子化対策費を医療保険料に上乗せして徴収する、議論を始めていました。
国の防衛費1兆円が足りない、と始まった増税議論
そういえば、2022年の年末から昨年の春ごろまで、防衛費1兆円のために所得税等を増税すると言っていました。
地方で22兆円(2022年末27兆円)も余っている税金
私は、国は1兆円足りなくて増税というが、日本全国の地方自治体の基金を合わせると22兆円もあるのに減税と言わないのはおかしい、と思っていました。
そもそも、地方自治体に基金が22兆円もたまるのは、小泉構造改革の地方分権の三位一体改革で、国から地方へ3兆円の税源移譲を行い、地方に財源が厚くなる構造を作ったからなのです。
三位一体改革の効果の検証はどうなっているかと、財務省に電話したら、住民税は総務省だというので、総務省に電話したら、三位一体改革は内閣府がしたと言われ、内閣府に電話したら、地方分権の三位一体改革でねん出された税をどう使うかは内閣府の仕事だが、その構造の是非についての検証はしていないと言われました。そこで、もう一度総務省に電話したら、検証はしていないし、住民税の減税は、各自治体が条例改正して行うことだと言われました。私は、このことがあって、大田区に基金が1267億円もたまっていたので、住民税を減税を言い始めたのです。ところが、今回、国が法律を変えて減税です。やろうと思えば減税できるということです。
増税で始まったはずなのに、いつの間に定額減税
防衛費1兆円のための所得税等の増税と言っていたのが、医療保険料への上乗せ徴収に変わり、岸田さんが増税メガネと呼ばれるようになって、そのあと最後に出てきたのが、この定額減税です。
増税が、減税に変わっているのですから、裏があるとみるべきです。
定額減税する直前に決めた医療保険料増
実際、国が、「子ども子育て支援制度」という医療保険料負担の増を決めたのは、今月6月5日。源泉徴収者も普通徴収者も6月に減税されますが、減税される前に増税を決めたのですから本気の減税で無いことがわかります。
定額減税で
納税義務者84%の多くに作る増税状態
減税で人気をとるなら、全額所得税で減税できるのに、住民税一人1万円を加えて減税したのは、減税対象者を広げるためより、納税者の大半を占める日本全体だと納税者の8割、大田区で納税者の84%の多くに増税状態を作って、医療保険料負担の増を見えにくくしなければならないから、と見るべきです。それくらい、今回つくった「こども子育て支援制度」は、私たちに深刻な影響を及ぼす、問題のある制度改正で、定額減税は単なる減税ではないと思います。
国債で財源確保なのに、
減税をいうのは理屈に合わない
国債を発行し、増税をいう国が、減税というのは、理屈に合わないのです。
国は、今回の「子ども子育て支援制度」で少子化対策として、児童手当の所得制限をなくすなど拡充し、妊娠出産の際の10万円相当の経済的支援やこども誰でも通園制度などを加えましたので、大田区は、国の子ども子育て支援制度の動きもふまえていて、特別区民条例改正案を提出したと思います。だったら、なぜ、議会や区民にその全容を示していただけなかったのかと思います。それとも、大田区も知らなかったのでしょうか。
気づかず決めた「新たな負担増」=子ども子育て支援制度
何より問題なのは、私を含めたほとんどの区民が、定額減税に気を取られ、こども子育て支援制度という新たな負担増の本質を知らないうちに、しくみが成立してしまったということです。マスコミも国も大田区も国会でも、誰も、わかりやすく説明してくれませんでした。
国は、誰と合意して増税を決めたのか
ところが、今年4月5日の国会の審議の中で、
経済産業副大臣は
「一・一兆円が公費節減の効果だし、・・・・・社会保険負担軽減の効果というので一・〇兆円ということで。・・・・・・・ステークホルダーの合意が得られたので、その流れで六年分、一・一兆円という考え方を取らせていただいて、私どもは、現在の経済財政状況を踏まえれば、これがベストの国民の理解を得られる考え方ではないかというふうに思っているということであります。」と、答弁し、この子ども子育て支援制度の公費節減と社会保険負担軽減に言及しています。我が国最大のステークホルダーである主権者が、合意どころか、十分な説明さえ受けていないのに、経済産業副大臣は誰と公費1.1兆円節減と社会保険負担軽減1.0兆円を合意したのでしょう。
誰かとこっそり合意しているのを知ると、なおさらに、今回の定額減税が、医療保険料増という増税のカモフラージュだという思いが強くなります。定額減税の大田区特別区条例改正以降、この問題について、様々な資料を読み、考えて、ようやく私なりに見えてきたことがありますので、今日は、そこを取り上げたいと思います。誤解もあると思いますが、そこはご容赦いただきご指摘ください。
雇う者と雇われる者が、労使折半
「こども子育て支援制度」のあらたな財源となる「子ども子育て支援金」は、標準報酬という医療保険料算定などに使う被保険者の所得に「支援金率」という国が定めた割合をかけて算定し、これを、保険者が医療保険料に上乗せして徴収します。事業主と被用者の労使折半です。
これから決める負担率
ところが、支援金の試算は公表され法律は改正されましたが、こども家庭庁は肝心の支援金率は、これから決めると言っています。
1年半据え置き、3年段階的に引き上げ、本格実施は5年も先
制度は今年10月からですが、医療保険料上乗せ分は、2024年度と25年度は全額国債で補助されるうえ、2026~28年度の保険者が負担する支援金も、6000億、8000億、1兆円と段階的で、国債で補助され、医療保険料があがらないようにしていて本格実施は令和11年2029年と5年も先です。
少子化が進めば、負担は想定より減るが
奇しくも少子化対策の「子ども子育て支援制度」が国会で可決したその日に、厚生労働省は、国1.2、東京都0.99の過去最低となった昨年の合計特殊出生率を公表しました。このまま少子化が進めば、給付は減りますので支援金率は想定より下がります。
負担増となる外国人労働者受け入れによるこども増は試算に入れず
外国人労働者受け入れは、それに伴う社会保障費負担の増など国民感情を刺激し、欧米でデモなどが起きるほどですが、今年からさらに緩和された外国人労働者の子どもは試算に入れていません。支援金の試算は、扶養家族の数まで含めて割って保険料負担が少なくなるように見積もって、さらに、国債で2年据え置いた後、段階的に負担を引き上げるので、幾重にも、そして、2029年までの長期にわたって、医療保険料の負担増を被保険者に気づかれないようにしているのです。
見せない負担増で余計に心配な
5年先の本格実施で心配な負担激増
そこまでして、負担の増をみえにくくしているのですから、5年も先の本格実施でよほど負担は重くなる、重くするのでしょう。
2025年度が1年空いてしまいますから、今年に続き、2025年度も定額減税のようなことをするかもしれません。
本当に国の制度を作る人たちは頭が良いと感心しますが、その良い頭を、国民の不満や矛先を反らすのではなく、国民からの信頼を勝ち得るために使ってほしいと心から思います。
区民・国民は、増税、医療保険料負担増
なのに、国も地方も税負担割合を節減
しかも、問題は、なぜ、そこまでして「子ども子育て支援制度」の負担増をカモフラージュしなければならないかです。
当初、国は防衛費1兆円のため所得税など国税を増税すると言っていました。国税が必要だったのに、できたのは、医療保険料に上乗せにして徴収する子ども子育て支援制度です。増税はどこへ行ったかと思ったら、子育て支援制度は、税と事業主で負担してきた子育て支援の財源として、労使折半の医療保険料を上乗せで徴収し、税の負担割合を小さくするので、子育てに使っていた税の負担が減っています。経済産業副大臣が言っていた公費1.1兆円節減の意味はこれではないでしょうか。
税と医療保険料の二重取りで
ねん出した税金(1.1兆円)は何に使う
納税者から見れば、税金で負担していたのに、医療保険料もとられ、税と社会保険料の二重取りですが、国にとっては、1.1兆円税を節減し、財源をねん出したことになるのでしょうか。
それでは、社会保険負担軽減で1.0兆円と経済産業副大臣が言っているのは何を意味するのでしょう。
区民・国民は負担増なのに
国も大田区も財源をねん出し
事業主(企業)負担も減?
区民は、税金負担も減らないし、新たに医療保険料負担は増えます。
それでは事業主にとっては、どうでしょう。
事業主負担は3.6パーミルですが、2028年の支援金への1兆円の補助で計算すると4.6パーミルという数字が出てきました。現在の事業主拠出金率3.6パーミルは、全額事業主負担ですが、支援納付金は労使折半なので、被保険者負担は、2.2パーミルの純増ですが、事業主負担が3.6パーミルから2.4パーミルに1.2パーミル減ります。
被保険者は保険料負担増と賃金抑制というリスクを抱えたのに、国は、国債で2028年まで社会保険料の事業主負担を軽減してあげた。それが、社会保険負担軽減1.0兆円という見方もできると思います。発行した国債を償還するのも私たちです。
そこでうかがいます。
【質問】
事業主負担を減らし被保険者負担を大きくする今回の制度改正は、手取りの減だけでなく、賃金抑制の方向に働く可能性が高く、物価の高騰に伴いあげるべき被用者(雇われ働く人の)賃金がさらに抑制されるのではありませんか。
5割を超す健保組合が存続の危機
明暗分かれる医療保険料への上乗せ制度
一部の大企業などが過去最高益を上げている一方で、中小企業等の倒産や廃業が後を絶ちません。赤字になる健康保険組合も急増し、被保険者2700万人を抱える健保組合の5割を超す組合が存続の危機だという指摘もあります。この制度により、負担が増えれば、重い保険料負担に悩む健保組合の企業が賃金(標準報酬額)を下げることで、負担感を下げようとする可能性も否定できません。だからと言って、事業主負担まで国債を発行して軽減すれば、過去最高益をあげる一部の企業まで優遇することになります。
医療保険料に上乗せして子育て支援費を負担させる仕組みが、いかに問題が大きいかということです。
更に問題なのが、国と地方の税で負担していた割合が減りますが、その分、減税されるわけではないことです。
経済産業副大臣は、6年で一・一兆円が公費節減の効果だと言っています。
子ども子育て支援制度を作ったことで、国は、増税と同じ効果を得られたということです。
そこでうかがいます。
【質問】今回のこども子育て支援制度ができることで、国と地方の税で負担していた割合が減るが、減税されるわけではありません。その分、国と地方の財源が削減され、新たな財源確保の状態、つまりは、社会保障費の増に伴う増税状態になるのではありませんか。
【答弁】
初めに、事業主負担が増える今回の改正が、賃金抑制に繋がるのではないか、また、公費節減効果により、国と地方の財源が圧縮され、増税状態になるのではないかとのご質問でございます。国は昨年12月にこども未来戦略を取りまとめ、少子化が我が国の直面する最大の危機であり、2030年までが、これを食い止めるラストチャンスであるとの認識の下、年間3兆円を超える加速化プランを実施することによって、これまでにない抜本的な政策強化を図るとしております。
これを支える財源として、少子化対策に受益を有する全世代、全経済主体が子育て世帯を支える新しい分かち合い、連帯の仕組みとして支援金制度を構築することに加え、歳出改革や既定予算の活用を図ることによって、支援金の規模を大きく上回る規模の加速プランが実行されることになります。
また、こども子育て政策の基本的な考え方として、物価高に打ち勝つ持続的で構造的な賃上げを実現することを掲げたほか、経済を成長させ、国民の所得が向上することで、経済基盤及び財源基盤を確固たるものとするとともに、歳出改革等による公費と社会保険負担軽減等の効果を活用することによって、国民に、実質的な追加負担を求めることなく、少子化対策を進めるとしております。
こうした国の考え方を踏まえますと、議員お話しの、今回のこども・子育て支援法等の改正が、賃金抑制に繋がり、社会保障費の増に伴う増税状態になるという認識はございません。
子ども子育て支援制度で、国と地方が1.1兆円の財源ねん出
防衛費1兆円の増税を言い、増税メガネというあだ名をつけられた岸田総理ですが、減税と子ども子育て支援制度の合わせ技で、1年たったら増税を国民に気づかれず、こっそりと達成できたということです。
節減された1.1兆円の公費には当然国に加え地方分もあります。
「質問」令和10年、2028年までの区の縮減される負担はいくらと見込めますか。
今回の制度改正で増える拡充分1人当たりで146万円は、今年と来年は全額。2026年から2028年は段階的に補助されます。
減る地方負担分は、増える被保険者の医療保険料負担軽減のために使うべきではありませんか。
こども・子育て支援金制度は、加速化プランの財源の一つに、支援納付金を位置づけた上で、財源構成の見直しが行われます。現時点で詳細が示されている、区が支給する児童手当については、15歳までとしていた対象を18歳まで拡大することや、所得制限の撤廃、第3子以降の増額など、抜本的な拡充が図られます。区の負担に係る財源構成の見直しですが、3歳未満の被用者にかかる割合が45分の4から負担なしへ、3歳未満の非被用者にかかる割合が6分の1から15分の1へ。3歳以降の被用者及び非被用者にかかる割合が6分の1から9分の1へ、それぞれ区の負担割合が減少いたします。これに伴う令和10年度までの区の縮減される負担額は、試算では約34億円でございます。
しかしながら、区の負担割合は減るものの、支給対象者の拡大などにより、区の負担は増額になる部分があることから、全体的にはお尋ねの地方負担分が減ることはございません。
なお支援納付金を原資とするその他の給付に関する財源構成の見直しについては、今後示される予定でございます。
ねん出した財源34億円
社会保障以外に使うなら大問題
国と大田区は、税で担っていた児童手当という社会保障を、さらなる医療保険料の負担増というかたちで、被保険者である区民に負担させ、ねん出できた財源は、社会保障とは言えないところに使うなら問題です。大田区には、そうならないよう、拡大する格差の是正に使ってほしいと思います。
国も区も、子ども子育て支援制度を作ったことで公費を節減し、財源を確保できますが、その財源は、被保険者が、賃金抑制のリスクまで負って支援金で負担します。
しかも、子ども子育て支援制度の給付の対象が広がれば、連動して支援金の負担は重くなります。
国は、出産も医療保険の対象とするなど、給付の対象を広げると言っていますし、外国人労働者の受け入が拡大する可能性が高いのです。
国立社会保障人口問題研究所
社人研も今後の外国人女性の出生数増を予測
住民基本台帳には外国人の方も載るよう法改正されたので、2013年から大田区の人口に外国人も含まれています。ところが、国は、今回の子ども子育て支援制度で増える可能性が高い外国人のこどもの影響は含めずに試算しています。昨年公表された国立社会保障人口問題研究所が出した日本の将来推計人口に、日本人女性だけの出生率とそれに外国人女性の生んだ日本人を父とする児の数を加えた合計特殊出生率が掲載されていますが、これをみると、2025年から2070年まで、外国人女性の生んだ日本国籍児の数を加えると、0.03ポイントから0.07ポイントくらい上回ります。国際的交流が進展した人口状況を正確に再現するためには、外国人女性の出生数の把握は必須のしくみだと書かれているのに、今回の保険料負担の試算には反映されていないのです。
大田区の基本構想でも、
今後区内の外国人増を予測
20~34歳がほとんど
外国人労働者は、国からご家族を呼び寄せることも可能になりましたし、日本でこどもを持つことも考えられますから、さらに外国人の子どもも増えるでしょう。大田区の基本構想策定のデータブックから、今後区内の外国人人口も割合も増えますし、転入する外国人は20~34歳がほとんどだということがわかります。
外国人労働者受けいれ増
支援するのは一部の投資家
私は、この制度は、確かに少子化対策ですが、少子化で減る労働力を外国人労働者に求め、円安と物価高で、日本で働くメリットが少なくなっている外国人労働者が日本に来られるようにすること、来ることで日本人の賃金も抑制されること、結果、投資家を支援する側面も大きいと思っています。
身の丈にあった社会を作るのも政治の責任です。
そこでうかがいます。
「質問」外国人労働者増に伴うこどもの増で、区民の社会保険料負担は、国の試算よりさらに増えるのではありませんか。今後の外国人労働者の増に伴うこどもの数の増についてどう見込んでいますか。
外国人の雇用状況については、労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定および、職業生活の充実等に関する法律に基づき、全ての事業主に、厚生労働大臣へ届け出ることが義務づけられてございます。厚生労働省が公表している令和5年10月末時点の外国人労働者数は約205万人で、前年比約23万人に増加しており、届出が義務化された平成19年以降過去最高を更新しておりまして、対前年増加率は12.4%と、前年の5.5%から6.9ポイント上昇してございます。また外国人を雇用する事業所数は約32万所で、前年比約2万所の増加、届け出義務化以降、これも過去最高を更新し、対前年増加率は6.7%と、前年の4.8%から1.9ポイント上昇しておりまして、外国人労働者数及び雇用する事業者数はともに東京都が最も多い状況となってございます。区においても、現時点で外国人人口は増加傾向にございますけども、外国人労働者の増に伴うこどもの数の増加に関する試算は行ってございません。一方、現在区が公表している外国人を含む人口推計では、14歳以下の年少人口の割合は令和7年の10%台から令和12年にかけて9%台になり、令和22年から令和37年にかけて微増するも、長期的には、おおむね横ばいで推移する推計となってございます。今後の社会保険料負担は、社会経済状況や国の政策等様々な要因が影響すると考えられ、現時点で増えるかは断定できませんが、区としては引き続き、少子高齢社会への対応を進め、持続可能な大田区を築いていくため必要な施策を着実に講じてまいります。
介護保険で
保険料負担3.8倍の激増は体験済み
介護保険を医療費に上乗せして負担が始まった時も、初年度2000年は、3.6兆円。それが2023年度には3.8倍の、13.8兆円です。それまで税で担ってきた福祉を医療保険制度という給付と負担を連動させる仕組みに組み入れると、負担がどれだけ増えるかは、介護保険で体験済みです。
税も社会保険料も増える
貯まる基金は1000億円増えて1300億円
大田区に基金がたまっています。それも、約20年前の295億円に比べると1300億円ですから1000億円も増えました。
これまでの財政規律に従えば公債を発行していたのが、個人住宅の何十倍もの規模のインフラをキャッシュで次々購入して、それでも余って貯まっているのですから、どれだけ、私たちの税負担が大きくなっているかがわかります。
2022年度末の自治体の基金は27兆円。2年前より5兆円も増えたのに、誰も地方税の減税を言いません。私たちは、地方自治体に税金を払いすぎているのです。
国を財源不足状態にすれば、国は法律を作り、増税し、私たちは手取りを減らします。そのうえ、地方自治体に税金を払いすぎることでも手取りを減らします。
社会保障に使っていない消費税
1989年に消費税が始まりましたが、当初地方交付分はありませんでした。1997年に地方消費税が1%で導入されますが、その時には、社会保障財源という位置づけではありませんでした。
それが、2014年の4月に消費税が8%に引き上げられてから、地方交付分も一部社会保障に位置づけられるようになりました。3党合意で消費税が社会保障財源となったからかもしれません。
OTAシティマネジメントレポート66ページをみると、2015年~2022年度まで大田区に交付された消費税の総額が1555億円で、そのうち大田区が社会保障に使ったのは764億円でした。791億円は社会保障には使われていなかったのです。
社会保障に使うと言っても
社会保障関係費
使った、764億円も大田区が社会保障関係費と書いているように、厳密に私たちが思い描く社会保障費だけではないのです。
基金を貯めて、公共施設等に使っても、多くの人たちは、税と物価の高騰で相対的に金融資産を減らし、徐々に相対的に貧しくなるばかりです。特に、物価の高騰で、加速しています。今回、こども手当は所得制限をなくしましたから、所得再分配機能をもつ社会保障費とは言い難い使い方に変わっています。
こういう財源まで子ども子育て支援金に含めれば、給付分、医療保険料から徴収しなければなりませんから、保険料が上がるだけでなく賃金が抑制され、中高所得層の山が小さくなります。
そのうえ、所得制限のない給付が増えれば結果として、被用者の賃金を減らし、児童手当などの現金給付は、ベーシックインカム的な色合いを強めていくと思います。
さらに手取りが減り
試算を持てない余裕のない資本家になれない暮らしへ
資産の無い暮らしは余裕のない暮らしです。
資産が無ければ、それを元手に商売をはじめ、個人事業主や社長という資本家になることもできません。
そこでうかがいます。
そうなる前に
4「質問」政治が、国の税収を不足状態にし、地方に税金を余らせているのですから、少なくとも、大田区が余らせ貯めている基金1300億円は、今こそ、減税含め区民に還元すべきと思いますが、いかがでしょうか。
まず社会保険料負担でございますけども、例えば社会保障制度一つの一つである公的年金について各世代がどの程度負担をし、どの程度給付を受け取ることになるかについての国の試算を見ると、世代によって、その負担と給付の関係に差が生じてございます。その資産のコメントの中で、戦後日本経済が復興から高度へ成長していく過程、昭和50年以降人口構成が少子高齢化していくという一連の流れの中で、公的年金の保険料負担は段階的に引き上げていく必要があったものと評価されていること。そして前の世代が計算上負担が少ないことと、当時の生活状況や社会インフラ状況も含め、評価する必要があることが記載されております。こうしたことから負担と受益の問題を、いたずらに一面的な視点で論評することは、評価の実施、妥当性を欠くものと考えてございます。少子高齢化の家族のあり方、雇用環境の変化、経済状況など、様々な要因により、他国に類を見ないスピードで社会保障給付費の増大が進んでいる中、世界に冠たる制度の増可能性を担保するとともに、機能強化はもとより、受益感覚と納得感のある社会保障の実現に向けた我が国を挙げての全世代対応型の社会保障への転換いわゆる社会保障と税の一体改革の道筋があるものと理解をしてございます。区はこれまで、その時々の社会経済状況等の実情を踏まえ、現下に求められる必要な施策はきめ細かく実施してまいりました。社会経済情勢の大きな変化の渦の中にあっても、多様化複雑化する行政ニーズに柔軟かつ的確に対応し、区民生活に必要な行政サービスを安定的に持続的に提供していくことが、持続可能な地域社会の構築に繋がるものと確信しております。こうした中、地方自治体の財政運営に当たりましては、ここの年度の収支均衡のみならず、長期的な見地から、健全性の確保に努める必要がございまして、このことは地方財政法にも明記をされております。この財源の年度間調整を図る制度の一つとして積立金がございます。財政基金については経済事情の変動等による減収や突発的な財政需要に対応できるよう、年度間の財源を調整し、財政の健全な運営を図るための機能を有し、特定目的基金については、区が定める特定の目的の事業に必要な財源を確保する機能を有しており、それに沿って有効に活用することを基本としております。特定目的基金は例えば、区が進める特定の目的の事業に基金の形態を活用し、原則として、当初予算において、またコスト意識による執行努力等により生み出した財源を活用し、計画的に積み立て、必要な財源を確保しております。また、様々な自然災害に備えるための防災減災対策への備えや、公共施設や公共交通の整備は、いずれも区民生活に欠かせない取り組みとして、特に公共施設等の維持更新経費は今後20年間で約5,700億円と推計しており、これまで以上に積極的かつ計画的に積立基金を活用することが求められております。また、こども生活応援基金や地域力応援基金など、区民参画や寄附文化の醸成の視点も含め、寄附者の意向や目的に沿って制作に活用するものなど、漫然と積み立て運用しているものではございません。これら一連の取組は、地方財政法第4条の2に基づき、翌年度以降における財政状況も十分考慮し、その健全性を損なうことがないよう適切に対応する区の経営努力であり、自主性・自立性のもと、地域の実情に沿った行財政運営を行う地方自治の本旨を全うしている表れと確信をしております。いずれにしても、社会経済情勢の大きな変化の渦の中にあっても、多様化複雑化する行政ニーズに柔軟かつ的確に対応し、区民生活に必要な行政サービスを安定的、持続的に提供していくことが、持続可能な地域社会の構築に繋がるものでございます。