大田区SDGs推進会議条例に考える「大田区で、本当に経済成長と環境保全は両立しますか?」

大田区がSDGS推進会議条例を作りました。

【2030 アジェンダの持続可能な開発目標】を推進して、持続的な発展を目指すためです。    

持続可能な開発目標=経済成長と環境保全というのは、本当に両立するのか。

SDGs仮訳と一部本文を参照しながら、あらためてアジェンダ2030を読み、大田区がSDGs推進会議条例を作ることによる影響を考えました。


SDGsは、その17のスローガンのイメージから、環境保全を強力に推進する目標だと思っていましたが、本文を読んでみると、思った以上に経済成長を重視していて驚きました。

特に、

🔴各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させること。

🔴後発開発途上国は少なくとも年率 7%の成長率を保つこと。

を求めています。

少子化、労働人口の減少で、日本がこの開発目標を守ることは簡単ではありませんし、

まして、日本という国全体ではなく、大田区という1自治体がこの持続可能な成長目標の輪に入ることは、経済成長を約束する事になりますから、区民生活への直接の影響を及ぼすことになります。

 

経済活動や開発は、自然や資源と不可分で、自然を壊さないようにすると、

🔴企業の売り上げや利益が減ったり
🔴企業の経済的コストを伴い
🔴自治体が取り組めば、財政負担が生じます。

経済が良い場所ほど、経済活動に伴う環境悪化も大きいということは、
自然を壊さない取り組みが不十分だということです。

企業に厳しい環境基準を課せば、コスト負担が大きくなるので、日本の政治はなかなか踏み切ません。

日本の環境基準の多くが、欧米より下回っていることが、これを表しています。

技術で乗り越えればよいと言いますが、
技術もコストで、誰かが負担しなければなりませんが企業も行政も十分な負担ができていません。

厳密な意味で、自然体系や生態系が守れているかと言えば、「政治が作った基準」を守っていれば良しとされているのが現状です。

SDGsは、環境を大切にする一つの考え方ではありますが、アジェンダを読んでみると、
言葉としては成り立っても、経済、自然、社会、財政、環境、住民生活など様々な視点から見て、地球環境を守れるかと言えば、必ずしもそうはならないと思います。

大田区は、

経済成長と環境保全はトレードオフの関係にあるという従来の考え方から脱却し

と言いますが、言うのは簡単でも実現するのは簡単ではないということです。

そのうえ、グローバル化で、後発開発途上国の年率 7%の成長は、羽田空港の立地する大田区は、他自治体に比べより大きな影響を受けることになると思います。

 

SDGsの言う「将来の世代の欲求を満足しつつ、現在の世代の欲求も満足させる」ために必要なのは

資本主義経済とその利益から導き出された
開発や経済成長を基本としたシステムではなく、

私たちの衣食住や暮らしをどう満足させるか
自然や一次産業を基本にした社会

だと思います。

そこにたどり着くのは、簡単ではありませんが、少しずつでも目指すことが、現状の改善につながるのではないでしょうか。

 

SDGsは、持続可能な開発のために、「環境保全」も「健康」も「医療」も「福祉」も「教育」も経済成長にしようとしていますから、税金が、誰かのお金儲けに使われてしまうことになります。

今もその傾向にありますが、
民営化で、私たちの支払った税金が、市場経済、それもグローバル化で多国籍企業に流れていく構図を止めることができなくなるでしょう。。

非常に困難なことを美しい言葉でまとめているアジェンダ2030を言葉通り守れれば、これほどうれしいことはありませんが、日本のように、経済成長が難しい国で経済成長を強要するアジェンダに大田区が自治体として入ることが、自然、財政、人とのつながり、政治、区民生活へ影響を及ぼすことを懸念し、反対しました。

__________________________________________ 

 

大田区SDGs推進会議条例

(設置)
第1条 大田区において、平成 27 年9月に国連サミットで採択された持続可能な
開発のための 2030 アジェンダに掲げられた持続可能な開発目標(以下「SDG
s」という。)を着実かつ強力に推進し、もって地域の課題解決及び持続的な
発展を目指すため、区長の付属機関として大田区SDGs推進会議(以下「推
進会議」という。)を置く。

(所掌事項)
第2条 推進会議は、次に掲げる事項を調査審議し、区長に提言をする。
(1) 大田区の特性及び地域課題を踏まえたSDGsの推進に必要な事項
(2) 前号に掲げるもののほか、区長が必要と認める事項
(組織)
第3条 推進会議は、区長が委嘱する委員 12 名以内で組織する。
(委員の任期)
第4条 委員の任期は2年以内とし、委員が欠けた場合における後任の委員の任
期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
(会長及び副会長)
第5条 推進会議に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、推進会議を代表し、会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、
その職務を代理する。
(招集)
第6条 推進会議は、会長が招集する。
2 会長は、委員の3分の1以上の者から推進会議の招集の請求があったときは、
推進会議を招集しなければならない。
(会議)
第7条 推進会議は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができ
ない。
2 推進会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決
するところによる。
(意見の聴取等)
第8条 推進会議は、調査審議のため必要があると認めるときは、委員以外の者
の出席を求めて、意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることがで
きる。
(会議の公開)
第9条 会議は、原則として公開とする。ただし、推進会議の議決があったとき
は、非公開とすることができる。
(委任)
第10条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付 則
この条例は、令和4年4月1日から施行する。
(提案理由)
SDGsを着実かつ強力に推進し、地域の課題解決及び持続的な発展を目指す
ことを目的として、SDGsの推進に必要な事項を調査審議し、提言をする区長
の付属機関を設置するため、条例を制定する必要があるので、この案を提出する。