外環道など相次ぐ陥没事故に学べない無謀なリニア JR東海 振動と地盤・家屋基礎への影響を認め常時計測、でも着工?

外郭環状道路の陥没事故を受け、6月8日に続き、JR東海が説明会を開催したので参加してきました。

JR東海は、この説明会をもって、2021年度内それも早い段階で【調査掘進】という名の、実質上の工事着工をしようとしています。

調査掘進では

◉地盤に合わせた添加剤を選んだり、
◉シールドマシンの振動が、住宅や構造物など周辺へどう影響するか確認し、振動を抑える対策を検討したりするそうです。

しかし、
北品川工区全体の1/30、全長約9000m中、わずか300m程度を調べて、地盤とシールドマシンの振動が家屋や構造物に及ぼす影響がわかり、工区全域の安全を確保することができるでしょうか。

前回の説明会に続き、外環道の特殊地盤と施工管理だけに原因を絞っているようにみえる今回の説明会でしたが、調査掘削以外の地盤は、

【振動の常時計測】
【地表面の高さの変化の計測】

を新たに行うとする大きな変化がありました。

*ちなみに大深度ではありませんが、昨年2020年6月に新横浜起きた相鉄・東急直通線工事の陥没事故は、地表面の変位は計測していたにもかかわらず、2度にわたって陥没が起きています。

私が、6月8日の説明会で、JR東海に、振動が地中を伝わり家屋などの基礎を揺らすことから、地表や地中埋設物への影響について指摘したことが影響していると思われます。

JR東海が、国交省経由で私がお渡しした、過去の大田区の調査全文をご覧になり、振動と地中や地表への影響を心配して計測を決めたと思われることは評価できますが、計測すれば、事故が起きないわけではありません。

外環道の事故は、シールドマシンで振動を与えたことにより、地盤面が下がり、空洞が発生し、下水管という地中のインフラが下がった事故です。

因果関係を不問にしていますが、外環道の事故現場付近では、ガス漏れ事故も起きています。

リニア地下トンネルを掘り始めると、古くなったガス管、上下水道管、場合によっては鉄道関係のインフラに振動が加わり、事故が起きるかもしれないのです。

たとえば、大田区南千束~上池台にかけては、洗足池幹線という巨大な下水管が地下20mほどのところを通っています。

リニアと交差する近辺は、
上から
①上下水道管・・・・・・・・・・1~2メートル?
②ガス管・・・・・・・・・・・・1~2メートル?
③鉄道(東急池上線)・・・・・・5メートル程度?
④洗足池幹線(大きな下水管)・・20メートル
⑤豪雨75ミリ対応下水管
  (直径4m程度)計画中・・・40~60メートル?
 

⑥リニア中央新幹線・・・・・・・50~70メートル

が通っており、④と⑥の間の大深度に⑤豪雨75ミリ対応下水管計画
を計画中です。

調査の結果、リニアが上の①~④までに影響を及ぼさないことが
判明しても、計画中の⑤の下水管が安全という事にはなりません。

地下の断面図をいただけたら、もっと良くわかると思うのですが、
大体の、イメージで地中を想像してみました。

 

必ずしも、電車、洗足池幹線・新たな下水管、リニアが一線に交差することにはなりませんが、
電車とリニア、洗足池幹線・新たな下水管とリニア、は交差します。

 

正確でなくてすみません。

 

 

早い者勝ちのように、リニアが認可され、その上に下水管を通そうとしていますが、地域に必要な都市施設は、何でしょうか。

こんな巨大なトンネルを掘らなければ、浸水するまち、私たちの暮らしが維持できない経済で良いのでしょうか。

そもそも、財政的にもまた、社会経済システムにおけるインフラ負担の構造からも、人口減少局面における日本が、リニア中央新幹線を着工することは、あってはならないことですが、少なくとも、工事の安全対策として、なんら実効力のない説明のまま着工することがあってはならないと考えます。