大田区議会が提出した「テロ対策の強化・充実を求める意見書」についての奈須りえの意見

大田区議会は第4回定例会において「テロ対策の強化・充実を求める意見書」を提出することを決めました。私 奈須りえは、意見書の太字部分「より一層の具体性ある対策の検討、実行」が何を意味するか質疑しましたが、明らかにされなかったため、ただ一人ではありましたが、意見書提出に反対の意を唱えました。

以下、私の考えです。
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羽田空港という海外との窓口を持つ大田区が、平和に対してどう取り組むかは、非常に重要です。

テロには毅然と立ちむかわなければなりませんが、武力、暴力に対し、同じように力で制することを選べば負の連鎖を招きかねず、私たちは、理性的、平和的な解決策を模索する必要があります。

2000年の9.11以降対テロ戦争をアメリカは行ってきました。元外務官僚の孫崎享さんによれば、この間のテロの犠牲者数は、

2000年    405人
2001年   3,547人
2002年    725人
2003年    625人
2004年   1,907人
2005年 14,602人
2006年 20,498人
2007年 22,685人
2008年 15,765人
2009年 14,971人
2010年 13,186人
2011年 12,533人
2012年 11,098人
2013年 17,891人
2014年 32,727人

と飛躍的に増えました。

政府は集団的自衛権の行使ができる安保法を成立させました。集団的自衛権が行使されるかもしれないということです。
こうしたなか、私たちは、この数字の意味をもっと考える必要があるのではないでしょうか。

いまパリでのテロ活動で、大量の犠牲者が出た中で、対テロ戦争に疑問を持つことが困難な雰囲気が醸成されています。こうしたなかで、意見書に「より一層具体性のある対策の検討、実行は喫緊の課題」という言葉を入れることによりが独り歩きすることが心配です。

国家間、国際間の対立や民族紛争の陰に、普通に暮らす国民の生活があることをつねに念頭に政治が行われることをもとめ反対といたします。

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大田区議会が可決した テロ対策の強化・充実を求める意見書

テロ行為に対しては、世界の国々が力を合わせて立ち向かっており、我が国も国際社会の一員としてその根絶に向けた取組を進めている。
しかしながら、先般フランスの首都であるパリでは、一連のテロ行為により多数の死傷者が生じるなど、今日も世界各国にとってテロは継続した脅威である。このような無差別に殺りくを行うテロ行為は、いかなる理由や目的によっても正当化されるものではなく、我が国はテロを非難するとともに、決してテロを許さない姿勢を堅持していかなければならない。

大田区は日本の空の玄関口である羽田空港を抱えており、テロリストの標的になる可能性を否定することはできない。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、羽田空港には国内外を問わず多数の利用者が訪れることとなり、区民はもとより国内外からの来訪者の安全と安心を確保することは何よりも優先されるべきことである。政府においては、国際テロ情報収集ユニットの新設などの新たな対策に取り組んでいるが、より一層の具体性ある対策の検討、実行は喫緊の課題である。

よって、大田区議会は、国会及び政府に対し、国際社会情勢の変化に常に対応すべく、テロ対策の不断の見直しを行うとともに、さらなる対策の強化・充実を早急に実現するよう強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年12月7日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
法務大臣
外務大臣
国土交通大臣
防衛大臣
国家公安委員会委員長 宛
大田区議会議長