答弁付き】TPPや国家戦略特区などの規制緩和が大田区の施策・入札・契約などを通じ、 区民生活に与える影響と大田区のなすべき役割について

答弁を青字で加えました。

フェアな民主主義 奈須りえです。

大田区とは一体何をすべきところなのでしょうか。最近の大田区が行っていることは、本当に基礎自治体である行政が、子育てや介護などが足りていない中、最優先課題として行うべきものなのかと疑うものが目につきます。新しい大田区のイメージキャラクターを作り区歌があるのに区政70周年でイメージソングを作り、予算には全国初という文字が踊り、決算資料として出される「主要施策の評価」はいつの間に分厚い冊子になり、まるで民間企業のPRのようです。行政は宣伝しなければならないところだったのでしょうか。区民が毎日の暮らしの中で必要なセーフティーネットを張り巡らせる地道な事業こそが大田区の最優先課題ではないのでしょうか。

その一方で、長い歴史的な経緯の中で大田区民とともに行政大田区や、大田区議会が守り、積み上げてきた数々の区民生活を守るための法令などを「一部の経済利益」のために、緩和し、なかったことにしようとしています。羽田空港飛行ルート変更は、安全と区民の快適な生活を確保できない限り空港を撤去するとした空港撤去決議など大田区の歴史的経緯をからみればあり得ない話です。その撤去の決議があったから羽田空港は沖合に移転し空港跡地ができました。跡地開発さえできれば何のために沖合移転したかを忘れてしまうことの無いよう、区長には首都圏の空を守る気概をもって取り組んでいただきたいと思います。

この規制緩和のランドマーク的な施策が「国家戦略特区」です。

区長自ら手をあげ、主体的、積極的に進めていますが、国家戦略特区が何かといえば、区域を限定した規制緩和による経済政策です。

法治国家日本において、法令で作られた多くの「規制」は、私たちの権利=基本的人権を守るために存在しています。それを緩和すれば、法で守られている私たちの権利は無防備になります。規制緩和が進めば進むほど、無法地帯が広がり、弱肉強食で自己責任の範囲が広がる構図です。

大田区において旅館業法の適用除外を認めている「民泊」は、国家戦略特区のしくみを使っています。民泊で、大田区内では、旅館業法の適用を除外されるため、大田区は、民泊条例を設置した際にガイドラインを定め、消防への届け出や一人当たり床面積など、法が守ってきた安全や衛生、住環境が守られるよう努めています。

法令が求める安全、衛生、環境、雇用などの基準は、経済活動にとっては、コスト負担を強いられる邪魔な存在かもしれませんが、規制を緩和すれば、それまでその規制によって守られてきた区民に影響が及ぶということです。

 特区といえば、一般には開発途上国の経済政策ですが、国家戦略特区は先進国日本の首都東京含めた、大阪、名古屋、福岡など大都市圏がほぼ網羅されていて影響が大きく、「特区」とは言えない状況です。ILO(国際労働機関)は経済特別区を「外国投資を誘致するために特別な優遇策を付与された産業地区。地区に輸入された財は再輸出のために程度の差はあるが加工される。」と定義していますが、小泉構造改革特区以来、日本に設置されてきた特区は「規制緩和」に考え方が偏っている傾向があると郭洋春立教大学経済学部教授が指摘するように、規制を緩和し外国投資を呼び込むことが目的になっていて、特区内に輸入された財が加工されたのち再輸出されるといったことにはまったく触れられていません。

 しかも何のための規制緩和かといえば、2013年の日本再興戦略に「規制改革の突破口として国家戦略特区を使って世界から投資を呼び込む」と記されているとおり外国投資を呼び込むことが目的です。「日本再興戦略」改訂2015では「投資家の目を意識した経営が幅広く浸透し、企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益ROEの割合が10%を超える上場企業は、2年前の4社に1社から3社に1社になった。」と特区を評価しています。

そこで質問させていただきます。

多くの規制は国民・区民の権利を守るために存在しますが、区長は、国家戦略特区が、その規制を外国投資のために緩和する政策であることを認識したうえで手をあげているのでしょうか。

【答弁】

国民・区民の権利を守るための規制が国家戦略特区の活用によって、外国からの投資のために緩和されるのではないか、というご質問ですが、国家戦略特区は経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進するために設けられた制度でございます。なかでも、東京圏では世界で一番ビジネスがしやすい環境を整備することにより、国際競争力のある新事業を創出することを目的としております。いわゆる「岩盤規制」を打破することによって、世界から資金・人材・企業等を呼び込むと同時に、保育環境の整備による女性の活躍促進や、エリアマネジメントによる地域の活性化など、国内はもちろん、海外の活力も発揮させることが可能になると考えております。国家戦略特区による規制緩和は、外国からの投資を高めることも重要な要素でございますが、国内外に向け広く事業の門戸を開くことによって、大田区はもとより地域経済の活性化と、日本経済の再生につながるものと考えております。    

 

規制を緩和して外国投資家は利益を上げることができるかもしれませんが、権利を守ってきた規制を区民が失えば、区民生活に影響を及ぼします。
2014年4月の国家戦略特区ワーキンググループにおいて、民間有識者の「羽田空港の近くで『雇用ルールについての特例措置』や『医療サービスの提供』はあり得るのか。あり得るなら、外国人医師や病床規制もあり得るのか具体的に相談を」、という申し出に対し、松原区長は「ぜひお打ち合わせというか、そういう協議をさせていただければありがたい」とこたえています。

松原区長は、「雇用規制をさらにゆるめることや医療圏ごとに定められているベッド数を増やすこと、外国人医師に日本で医療行為を行わせること」について是非協議したいと答えているのです。

雇用規制の緩和で企業は経営の効率化をはかれますが、区民の雇用は不安定になります。空港の近くでベッド数を増やし外国人医師の診療を可能にすれば、高度医療、先進医療の拠点を作り、外国の医薬品や医療機器の売り上げを伸ばすことができますが、医療費が高騰することが予想されるだけでなく、周辺の病院経営にも影響を及ぼすでしょう。

 国家戦略特区は、経済政策のため、通常の法改正であれば行われる規制緩和の影響についての検証が無いばかりか経済利益をあげれば、雇用が不安定になっても、安全性が低下しても、効果があるとされ全国展開するしくみになっています。
そこでうかがいます。

・区長は、特区による規制緩和が、一部の投資家の利益のための経済政策であり、同時に、区民をはじめとした投資家以外の人たちの不利益につながるかも知れないことについてどのようにとらえ、国家戦略特区を区長の目玉の政策としているのでしょうか。

【答弁】

 国家戦略特区による規制緩和の効果を、どのように捉えているのか、また、国家戦略特区の政策的な位置づけについてというご質問でございますが、現在、国家戦略特区に指定された地域においては、各地域における課題解決を目指し、現在36項目の規制改革メニューが活用されております。これらの取り組み一つ一つが各地域でのリーディングプロジェクトとなり、日本経済の再生につながることで、一部の人々のみならず、地域の皆様へ広く効果が行き届くものと認識しております。     

大田区においては、特区民泊において、既に地元銭湯や、商店街と連携し、利用者が区内を回遊していただけるような取り組みを行っております。

区としては、道路法を活用したエリアマネジメント、都市計画法を活用した羽田空港跡地も加えた、3つの事業が区内産業・地域経済の活性化につながるよう、引き続き取り組んでまいります。

 

・また、区長は、特区の規制緩和によって区民の雇用や医療、安全や環境が守られなくなることについてどのように考えていますか。少なくとも、国が規制緩和の影響について事前に検証していない以上、大田区として規制緩和による影響を検証したうえで、区民生活に影響を及ぼす規制緩和策は行わない、必要な対抗策を講じるなどが必要だと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】

国家戦略特区の規制緩和による、区民の雇用や医療・安全・環境への影響についてのご質問でございますが、特区民泊においては、関連する条例・規則・ガイドラインを整えるにあたり、近隣住民の皆様への周知や説明、ごみの適切な処理、苦情対応窓口の設置、緊急時対応等、利用者だけでなく、周辺住民にとっても安全・安心な滞在施設となるよう、各ルールを設けております。

さらに、いわゆる「違法民泊」への抑止力ともなっていると考えております。区民の雇用機会や安全面にも寄与しております。このような規制緩和においては住民への配慮にもしっかりと対応し、地域経済の活性化へ好循環をもたらすことが出来るよう取り組んでまいります。

こうした規制緩和による外国投資家のための経済政策は、区民生活だけでなく、経営者にも大きな影響を及ぼすととらえています。 そこで心配しているのが政府が今年の秋の国会承認を目指しているTPPです。TPPはモノの関税だけでなく、サービス、投資の自由化を進めるアメリカ、カナダなど太平洋12か国で結ぼうとしている国家間の経済協定です。

アメリカでは、いずれの大統領候補もTPPに反対の姿勢ですから、そう簡単にTPPが批准されることにはならないと思われますが、だからと言って、こうした国を超えた投資利益拡大政策がそう簡単にストップすることにはならないでしょう。同様の自由貿易協定は、TPPだけでなく、ヨーロッパを含めたTisaや二国間協定など様々な可能性があるからです。

今年2月に署名が行われたTPP協定について協定文の公開以降、日本、アメリカはじめ各国でも、国会議員や市民団体が分析と問題提起を続けています。それをみると、TPPが大田区内の事業者に与える影響が、いかに深刻か、規制がいかに区民生活を守っているのかがわかります。

今日はその中の政府調達と言われる物品購入や入札の影響について取り上げたいと思います。

たとえば、大田区では、建設工事や物品調達などにおいて、大田区内業者に限定した制限付き一般競争入札や指名競争入札を行っています。大田区内に限定しているのは区内産業育成の視点であり、その事業者が競争力を持った企業に成長発展していただくことが期待されるからです。区内の景気向上、雇用や受発注の確保という経済波及効果も狙っています。今回の補正予算に計上されているリフォーム助成もそうした視点で計上されているのでしょう。

ところが、TPPはこうした国や地域に限った制限も経済障壁とみなし、外国資本含め誰もが入札や契約に参加できる状況をつくるためのしくみです。一般原則として、外資と国内企業を区別し「現地調達」や「自国物品の購入や利用優先」をしてはならないとされています。

内閣官房のTPPについてのQ&Aでは、国と都道府県および政令市に限ると説明されていますが、協定文書には「協定締結後3年以内に適用範囲の拡大を達成するため地方自治体も含んだ交渉を開始する」「交渉開始前でも地方自治体を対象とすることについて合意できる」書かれていますから、当初から自治体を対象としているとみるべきで、国の説明のニュアンスとは、大きな温度差があります。しかも、批准後は政府調達に関する小委員会をおいて、対象機関の拡大、基準額の改定、差別的な措置の削減と撤廃を議題にしていくとしていますから、大田区の契約や入札は熾烈な競争にさらされる可能性が大きいということです。

大都市として一体的にみられることも多い23区が対象に加わる可能性は、他の自治体に比べれば高いとみるべきでしょう。

現時点での対象金額は物品で3300万円。建設で24億7000万円。建設技術サービスで2億4000万円。その他サービスで3300万円となっています。

今後のTPPの交渉で、地方自治体が対象になれば、今回の議案の防災毛布購入は消費税込みで9000万円を超えますから制限付き競争入札ができなくなり、たとえばアメリカ防災毛布という外資系企業が落札するかもしれません。大田区は、可燃ごみの民間委託の受け皿として一般社団法人を設立しようとしていますが、対象機関が拡大すれば、そこでの契約にも制限なしの入札をといった競争性を求められるようになるかもしれません。

対象が広り金額が引き下げられれば、区内事業者への影響は拡大し、区民生活にも影響を及ぼすでしょう。

受託会社が変わっても、現場で働く人は同じ、という話を聞きますが、外資が大田区の契約をとっても、働く人は同じで、賃金が下がったり下請け、孫請けの利幅が少なくなったりするのかも知れません。

今後は、水道、道路、建物などあらゆるインフラの施工・管理について民営化も視野にいれた外資との競争がおきる可能性が高いのです。TPPなど自由経済貿易で経済障壁が無くなったとき最も大きな影響をうける分野の1つがこの公共調達であると私はとらえています。

そこで、うかがいます。

日本政府は、TPPについて、秋の臨時国会での承認を目指していて、仮に承認されれば2年以内に発効する可能性があります。

私は、TPPは批准すべきではないと考えています。区長はこうした区内産業への影響を考えれば政府に対し、TPPに異を唱えるべきと考えますがいかがでしょうか。

異を唱えることをしないのであれば、少なくとも、TPP批准前までに、区内産業育成のために、制限付き競争入札などを行ってきましたが、それらをルール化条例化して、区内産業を育成するとともに区民生活を守るべきではないでしょうか。

【答弁】

TPPと公共調達に関するご質問ですが、TPP協定では、第15章に政府調達に関する規定があり、政府機関等が一定基準額以上の物品・サービスを調達する際のルール・手続きを規定しております。この規定が適用となる地方公共団体の対象団体でございますが、TPP政府対策本部によれば、都道府県及び政令指定都市であり、それ以外の特別区を含む市町村等において、新たな市場を外国企業に開放するものではないとしています。このため区は、TPP協定に関する国の動向を注視しつつ、引き続き現行の国内法令等に基づき、契約手続きの透明性、公正性等を確保し、区内産業の適切な育成に努めてまいります。

準区内と言って大田区に机と電話を置いている事業者も区内ですから、外資も区内になりえます。

そこで重要になるのが、大田区という行政がなぜ区内事業者を優先しているのか、してきたのか、ということです。

区内で安定的な雇用を支え、区内調達で循環経済に資する。法令順守は当然のこととして、環境を守り、障害者雇用を支えるなど社会的責任を果たす。こうした事業者だからこそ、大田区民の税金を投入する意義を持つのではないでしょうか。

いま、規模の大きな事業者が大田区の仕事をとる。契約そのものの規模が大きくなっている。ように見えます。今回、解体と建設の一括発注議案が送付されていますが、最近の究極の一括発注といえば、点検を行わせ見つかった必要な個所の修繕までゆだねている本庁舎の耐震補強工事でしょう。大田区がTPPの対象になれば、契約金額の引き下げも気になりますが、こうした大きな契約が増えている状況は、大田区自ら外国資本に対して有利な契約を用意する形になっていると見ることもできます。介護保険の単価の改正により小規模事業者が厳しい経営を迫られているのも大規模資本優遇とは見られないでしょうか。

今や日本の大企業も大株主は外資というところが少なくありませんが、政府や大田区の外国資本優遇がこうしたところにも表れているのかもしれません。

しかし、日本の7割の雇用を支えているのは中小企業です。こうして大きな事業者に集約されたり、契約規模が大きくなれば、公共調達に限ったことではありませんが、淘汰されたり、下請けや孫請けが発生し、下請け孫請けの利幅が小さくなる可能性もあります。

日ごろの維持管理を怠り、まとめて大規模工事を大規模事業者に発注するより、手間がかかっても、地域の中小事業者にこまめに発注することで、長く大切に区民の建物の維持管理をすべき。物品調達すべきというのが私の基本的な考え方です。

グローバル化の潮流の中で、区民生活を守り、区民の雇用を守るのは大田区の責務です。

TPPという一つの危機を機に、少なくとも公共調達については、区民の税金で区内雇用を安定的に支える。区内調達で循環経済に資する。法令順守。環境配慮。障害者雇用。などを評価する政策入札・公契約条例のしくみを導入するなど、大田区の契約の在り方を見直すべき時期にきているのではないでしょうか。

TPPなどの貿易自由化により入札や契約を自由化すれば、税金の一部が外国投資家に流出し再投資される保証はありません。区民からお預かりした税金をどう使うべきなのか、区長の見解をお示しください。

【答弁】       

国戦略特区の規制緩和による影響の検証と、区民生活の影響に関するご質問でございますが、国家戦略特区の規制緩和によって、区民生活が脅かされることはあってはならないと考えます。同様に、国家戦略特区における規制改革のメニューの活用は、国際都市おおたが飛躍する絶好のチャンスであると考えております。区民生活や安全を第一に、この機会をしっかりと活かし、区内産業・経済の一層の発展に繋げていくことが重要だと考えております。                       

【低空飛行巡り区議会緊迫】東京の自治体専門紙都政新報がとりあげました。(奈須りえ取材協力)

8月16日に引き続き、9月26日29日の羽田空港対策特別委員会にも多くの傍聴者がつめかけました。

委員会終了後、都政新報の記者から取材をうけ、これまでの経緯などもお話ししました。

 

出来上がった記事のタイトルには「区議会緊迫」の文字。

大田区民、東京都民。、首都圏住民の安全と「経済」の間で、大田区議会も、緊迫した議論を続けています。

次回の羽田空港対策特別委員会は10月25日です。

緊迫した議論をさらに深められるかどうかは、傍聴者にかかっています。

大勢の傍聴者とともに、東京の空、首都圏の空、日本の空のゆくえを議論します。

羽田空港飛行ルート変更には【環境アセスメントが必要】

騒音、安全、大気汚染など、心配の尽きない羽田空港飛行ルート変更ですが、実は環境アセスメントが必要なのではないかと考えています。
大田区議会羽田空港対策特別委員会での審議の中で、法文を指摘したところ、大田区が、国と東京都に確認することになりました。
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8月16日に委員会に報告された、新飛行ルート案についての、
国の安全策、騒音対策ついて、
国の提案は具体性に欠けるので、大田区は、引き続き説明を求めると発言しています。
本日9月26日の議会では、
●安全、環境対策が取れないのであれば、新飛行ルート案に反対して欲しいという陳情2つと、
●オープンハウス型説明会ではなく、教室型説明会をしてほしいという
陳情があがり、審査を行いました。
安全や騒音、環境についての不安がおさまらず、こうして陳情があげられるのは、これまで行ってこなかった都心低空飛行を行うからです。
こうした、
●これまでにない、
●しかも著しく環境に影響を及ぼす問題は、
●環境アセスメントを行いリスクを評価し、
●事業を行うことで、問題が生じると予測できる場合には、その対策を講じるよう事業者に求めるなどして、
●住民の住環境を将来にわたり守ろう
というのが環境影響評価の目的です。
今回の飛行ルート変更は、
●その影響が大きいにもかかわらず、
●滑走路の建設や増設ではないため、
●環境影響についての評価は行わない
というのが国の考え方だと大田区は説明してきました。
ところが、今回の飛行ルート変更に伴う国の概算要求で、大田区の説明では、航空保安施設の設置経費が含まれることが判明しました。
航空保安施設は、空港法、航空法等から、空港施設と位置づけられています。

総務省

社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/99758.html

下記のリンクのP66下部に書いてあります。
空港施設
http://www.soumu.go.jp/main_content/000144997.pdf

環境影響評価法は、その第二条で「空港その他の飛行場及びその施設の設置又は変更」を対象にしています。
となれば、今回の事業は、航空保安施設を設置しようとしていて、航空保安施設はその他の施設に入るので、環境アセスメントの対象になり、今後、国は東京都に対し環境影響について準備書などを作成し、将来にわたる環境への影響がないことを示さなければならない、と考えられるのです。
今日(2016年9月26日)の大田区議会羽田空港対策特別委員会において、私がこれを指摘したところ、大田区はこの指摘を受け、国や東京都に対し、この事業が環境影響評価法の対象であるかどうか、確認することになりました。
また、着陸やり直し(ゴーアラウンド)について、大田区上空を飛ぶことは想定されがたいと国は回答していますが、だからと言って着陸やり直しが0になるわけではありません。
そうなると「どう着陸やり直しをするのか」が重要になります。
大田区は、いったん海上に出てから、(埼玉や東京都北部あたりの上空まで戻り、)着陸のやり直しをするのではないかと言っているのですが、燃料費などのコストカットを第一に考えている航空業界に対し、国交省がそれを強制できるのかという問題もあります。
そこで、大田区が、ゴーアラウンドによって、大田区上空を飛ばないことを確認する
ということになりました。
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大田区を通るリニア中央新幹線の【ストップリニア訴訟の第一回口頭弁論】意見陳述

家の真下を通る計画があるのに、まだまだご存じない方が多いのがリニア中央新幹線です。
大田区の場合、洗足池の近くを通りますので、池の水が枯れないか、も気になる所です。
空は飛行機、地下はリニアで、さんざんの大田区だと思うのは私だけでしょうか。資産価値も下がってしまうのではないかと心配している方もいるようですし。
さて、大田区を通るリニア中央新幹線の【ストップリニア訴訟の第一回口頭弁論】意見陳述が行われましたので、ここに、全文をご紹介します。

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意見陳述書

                  原告団団長 川村 晃生

2007年4月に、JR東海が自社費用でリニア中央新幹線を建設するとの構想を発表して以来、私たち沿線住民と一般市民は、まさかここまで事態がこじれるとは予想もしないことでした。そしていま思えば、それはひとえにJR東海という事業者とそれを監督、指導する所管官庁・国土交通省の傲慢さと不誠実さによるものであったと指摘せざるを得ません。

私たちは、これから行われるリニア新幹線の工事によって、さまざまな被害を蒙ることになります。それはこの裁判の過程で明らかになるであろう、残土処理、水涸れ、騒音、日照、景観、電磁波等、多岐にわたるものですが、問題は私たちにそうした実害を与えてもなお、リニア新幹線が必要なのだという合理的説明がなされていないことであり、一方的にリニア新幹線を造ることが前提となって事態が進行していることです。従って当然のことながら、私たちはそれに合意できようはずもなく、私たちの理解が得られないまま着工に至ったのでした。

さらに私たちは、この工事によって、それとは別に大事なものを失うことも強調しておかなければなりません。その最も象徴的なものは、南アルプスのトンネル掘削による自然破壊でしょう。神々しいまでに美しい威容を誇る南アルプスは、これまで先人たちが敬い、愛してきた大きな自然遺産です。そしてそうであるがゆえに、ユネスコのエコパーク登録も可能になったのでしょう。自然と人間が共生可能な場として高く評価されたエコパーク・南アルプスに、大きなトンネル穴を開けて、在来型新幹線の数倍ものエネルギーを消費して、時速500㎞で通過させようというのですから、リニア計画は自然に対する冒瀆以外の何ものでもないと言ってよいでしょう。そしてここでも問題は、それほどの犠牲を払ってまで、リニア新幹線が必要なのだという合理的説明がないことです。

以上の状況を日本国憲法に照らして言えば、私たちは憲法によって保障されている生存権や人格権また幸福追求権を一方的に侵害されているということに他なりません。

いったい、なぜリニアが必要なのかと言えば、東海道新幹線の輸送力の限界とか老朽化といった、真実とは程遠い偽りの理由がいくつも数え上げられ、本音を吐かせれば東京〜大阪間を高速で結んで7000万人のメガロポリスを作るという、他愛もない欲得ずくの理由が透けて見えてきます。巨大都市を作って、国民をひたすら東奔西走させ、あくせく働かせることによって経済力を上げて、日本を、というよりも日本の一部の人間だけを豊かにする、ということが、リニア新幹線の真の目的のように思われます。もとより戦後の、さらに言えば明治以来の日本の近代化は、その路線を走り続けてきたと言えるでしょう。

しかし、問題は「それによって日本は、あるいは日本人は幸福になったのか」ということです。GDPにおいて日本よりもずっと低いブータンの国民が、幸福度においてなぜ日本よりはるかに高いのかを、私たちは真摯に考え直す必要があると思います。

こうした問題を考える時、私には思い起こされる一つの事件があります。それは1993年、和歌山市の万葉の故地・和歌浦の架橋問題をめぐる景観訴訟の最終弁論において、原告団副団長の多田道夫氏による「景観とは何か」という意見陳述です。彼は架橋推進側の「万葉では飯は食えん」という乱暴な議論に対してこう言うのです。

「(私がここで言う倫理とは)、再度「万葉では飯は食えん」の一言に関わって言えば、飯を食う以外の人生の意味のことです。もっと思い切って言えば、飯と引き換えにしても、少しも惜しくない人生の価値のことです。」

私たちはこの裁判で、多田氏が言う「飯を食う以外の人生の意味」を問いたいと思います。リニアでいえば、壊される平穏な暮らしや南アルプスの自然破壊がそれにあたります。そして日本人の幸福度が低いのも、こうした飯を食う以外の人生の意味をないがしろにしてきたためではないでしょうか。経済力だけを絶対善と頼む人たちに対して、私たちは飯を食う以外の人生の意味を強力な武器としてこの裁判の根底に据えたいと思います。

さて最後に裁判長にお願いがあります。

いずれ詳細に陳述したいと思いますが、これまで日本の行政訴訟は、自由裁量論によって、行政側が圧倒的に有利な立場に置かれてきました。しかし、法学者・松下圭一が説くように、わが国が国民主権を基本とする限り、権力の源泉は国民にあるのであり、行政は国民の信託に基づいてこれを執り行う機関にすぎません。とするならば、行政の裁量権が真に権力の源泉たる国民の信託に基づいているかどうかという点についても、問うていく必要があると思います。その意味で、私は本訴訟を通じてあるべき行政訴訟のあり方を追求する機会にしたいと考えており、その点で裁判長のご理解を願うものです。

以上で陳述を終わります。

2016年9月23日

「日本の報道が全てではない」藤田早苗さん:『TRIDE magazine vol.02』

今年の4月に、国連人権理事会・表現の自由に関する特別報告者のデビッド・ケイ氏が来日しました。
来日の実現に尽力した一人が藤田早苗さんで、大田区大森で、講演していただきました。
その藤田早苗さんが、日本の若者に向け、約10,000字のメッセージを情報誌『TRIDE magazine vol.02』に寄稿しました。

藤田早苗さんご本人から、ご案内いただきましたので、ご紹介させていただきます。
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皆様
 
英国の藤田です。4月の企画の際はありがとうございました。
 
私は先日、創刊したばかりの情報誌TRIDE magazine (http://www.kandtpublishing.com/
に寄稿いたしました。
 
いつもの「論文」とは違って「若者に向けて、わかりやすい言葉で」という出版社の依頼に従い、日本のメディアの問題、国連特別報告者の勧告、緊急事態条項の危険性などの解説に加え、私が国連などに働きかける現在の活動を始めたきっかけや、留学に関するマイストーリ-も紹介しています。国連でのデビッド・ケイさんとの写真やエセックス大学での写真も載せてあり、まだ政治や社会問題にあまり関心のない若い人たちにも気楽に読んでもらえると思います。
本稿がそういう人たちにとって考えるきっかけになれば大変幸いです。
 
東京の前田能成さん(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会/出版労連)が紹介文を準備してくださいました(添付します)。1540円でAmazonでも購入可能です。
 
多くの方にご紹介いただき、広くご活用いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 
藤田早苗
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(紹介:「秘密保護法」廃止へ!実行委員会/出版労連 前田能成)

情報誌 『TRIDE magazine vol.02』

「日本の報道が全てではない。広い視点で日本の問題をみてほしい」

―執筆:藤田早苗-

イギリスのエセックス大学人権センターフェローの藤田早苗さんが、9月に発行される情報誌に、日本の若者に向けた約10,000字のメッセージを寄稿した。

今さら紹介するまでもないが、藤田早苗さんは「特定秘密保護法」が法案として姿を現すとすぐに友人と二人で英訳して、国連の「表現の自由に関する特別報告者」にもその情報を伝えるという重要な役割を担ってくれた人だ。このような藤田さんの動きは、国内で特定秘密保護法の制定に反対して活動していた人たちに、とても大きな勇気を与えてくれた。

藤田さんの行動の背景には、17年におよぶイギリスでの学究の過程で培ってきた国際感覚と、人権感覚がしっかりと位置付けられている。そしてその感覚は、ロンドンを拠点にして活動している、表現と情報の自由の専門家が集まるアーティクル19という国際人権NGOとの繋がりの中で、日々磨かれてきた。今年の4月に、国連人権理事会・表現の自由に関する特別報告者のデビッド・ケイ氏が来日したが、その実現の背景に、このような藤田さんの活動があったことは疑う余地がない。

藤田さんは情報誌の中で、自身の活動を振り返りながら日本の若者たちに訴える。「日本国内の報道が全てではない。世界にはさまざまな政治・経済・思想・宗教・自然環境などの中で、飢餓や貧困、差別や抑圧などに苦しんでいる人がいるという事実を、もっと視野を広げて知る努力をしてほしい」と。藤田さんのこの想いの原点は、イギリスのメディアに初めて接した時に受けたショックにあった。

それは、日本のメディアには見られない光景だった。藤田さんはイギリスで、読者や視聴者の知る権利を保障するために、危険を冒してでも取材を行って情報を伝えなければならないというジャーナリズムの使命感を、目の当たりにしたのだ。藤田さんが現在もイギリスにとどまって発信を続けているのは、このようなメディアの在り方の違いを通して、海外から日本を見ることの大切さを実感しているからでもある。さらに藤田さんは、本来権力の番犬であるはずのメディアがその役割を十分果たしていない日本の現状を憂慮し、日本のメディアの独立性の問題にも警鐘を鳴らしている。

このメディアに対する考え方が、その後の藤田さんの表現の自由に対する取り組みの場が、国連という国際的な舞台に近づいていった理由にも繋がっている。だから藤田さんは若者たちに対して、日本国内で起こっている戦争に繋がるような危険な動き、それはつまり、人権に大幅な制限を加えることになるであろう「緊急事態条項」の問題や、憲法改正に関する国民投票の危険性などだが、これらについても、若者にもわかりやすく説明し注意を喚起して、「国際的な視野からその本質を見極めてほしい」と呼びかけているのだ。

この情報誌は、大阪の出版社・K&Tパブリッシングが発行している『TRIDE magazine vol.02』だ。まだ創刊されて間もない無名の情報誌だが、大阪の隆祥館書店が販売に一役買っているそうだ。ウエブサイト(http://www.kandtpublishing.com/)も立ち上がり、Amazonからの購入もできる。

藤田さんのメッセージは若者だけでなく、国内の慌ただしい政治の動きに翻弄され、国際的な視野を持てなくなっている私たち熟年者にも、心に響くものになっている。

ぜひ、一読してほしい。