SDG’sの限界 省エネ設備設置で機械室等の容積率不算入は、本当に環境のためになるか

SDG’sはいいことがたくさん書かれていますが、環境を守ることと経済成長を両立させなければなりません。ところが、環境を守らない経済成長は許されないイメージですが、意思決定の場面にいると、そうなっているとは感じられません。

経済成長は「必須」なのです。
環境を考えない経済成長ではなくて、環境”も”考えた経済成長、というわけです。

条例改正が提案された給湯設備の容積率不算入も、環境に配慮した給湯設備をつけさえすれば、特定行政庁(=大田区)の許可なく、給湯室などを容積率不算入にできる仕組みに変えた、ということです。

一定の土地に建物を建てる場合には、土地に対し建てられる建物の範囲=建ぺい率と、床面積の合計が決められています。

100平米の土地に、建ぺい率50、容積率100なら、50平米の部分を建物とし、総二階なら2階建ての建物を建てられるということです。

ところが、1997年に、共同住宅の共用部分の容積率を容積率に入れなくて良いという規制緩和が行われました。廊下、階段、エレベーターなどです。

これによって、同じ容積率でも、住宅部分を増やすことができるようになりました。
それまでは、もう少し、小さなものしか作れなかったのです。

売る側から見ると、売り物にできる面積を増やせたことになります。

今の建築関係の法令は、そこで暮らす住民の視点ではなく、開発し売却し、あるいは、貸し出し利益を上げる事業者の視点で作られているのです。

居住用資産ではなく、投資用資産として、住宅をみているのです。

今回の改正は、高性能の給湯設備を設置すれば、それまでは、建築審査会の同意により許可制だった容積率不算入が、審査会の同意なく、大田区の認定で可能になります。

つけた給湯設備は、増えた容積率による環境悪化より、環境のためにいいことでしょうか。

一定の土地から少しでも床面積を確保する考え方=規制緩和が、都市部などの密集を進め、環境を少しずつ悪化させてきました。

都市部の気温を上げてきた大きな理由の一つが、こうした規制緩和による、都市の密集だと思います。

ルールが変われば、相対的にさらに密集することになります。さらなる密集が環境に良いとは思えません。

国の法律改正ではありますが、自治体でしっかり歯止めにしていかなければならないと考え、賛成できませんでした。
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以下、討論です。

 

第38号議案大田区手数料条例の一部を改正する条例は、

脱酸素社会実現のため
給湯設備を容積率に算入しない際の許可を認定にする、省エネ設備の高さ制限の特例制度を設け、申請手数料を新設し、一団地認定、連担などにおける省エネ改修を可能にする、ための条例改正です。

これまで住宅や老人ホームなどの機械室などは一定の要件のもと、建築審査会が同意という形で、特定行政庁である大田区が許可すれば、容積率に算入しないことが認められていました。

それが、省令で規定される高効率給湯設備などの要件を満たせば、脱酸素省エネということで審査会の同意なく、大田区が認定し容積率に算入しなくてよくなります。

環境のためと言いながら、容積高さなどの緩和になっていて、機器等で環境影響を抑制する効果が、容積率が緩和され密集し周辺環境に及ぼす影響より優位か疑問です。

今回の議会で同じように提案されている第37号議案(大田区に入る森林環境税が、環境のため、と言いながら、区内に樹木を増やすためではなく、国内木材消費のために使われる)同様、

持続可能な経済成長を前提とした、「環境との両立」というSDGsの限界でもあると思います。

環境のため行うべきは、一定面積に、何人がどう暮らすのが適正か、

・都市のキャパシティを基に都市計画を定め、
・最低敷地面積を広げ、
・建蔽率容積率を低くして、

土にコンクリートでふたをする開発や密集を避けることだと思います。

経済採算性、収益性からの視点が大きく、真の環境のための制度になっていないことから、国の制度改正ではありますが、反対いたします。