大田区が持っている「区民の個人情報」を大田区は守れるのか?国は守ってくれるのか?

大田区個人情報保護条例が廃止され、大田区個人情報の保護に関する法律施行条例が議決されました。

これまで大田区が企業など事業者から守ってきた個人情報が守れなくなるので、反対しました。

これまでの大田区の条例は、事業者から区民の情報を守ってきましたが
今回の条例改正で、事業者から個人情報を守るのは、国の法律に委ねられます。

ところが、国の法律をよく読むと、個人情報を守れないしくみになっているのです。

デジタル関連の法令を改正して、
個人情報を事業者の営利目的で使わせようとしている
動きと合わせてみると良くわかります。

国家戦略特区法が改正され、「スーパーシティ」という仕組みができました。

特区法を改正した時に、
個人情報保護法を同時に改正して、「仮名加工情報」という概念を作り、
他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないことを理由に、マイナンバーで管理する情報は「仮名加工情報」になって、使用が許されるようになってしまいました。

マイナンバーは、個人が特定できないランダムな番号で管理されているからです。

ところが行政が持っているマイナンバーに紐づけられた情報も
企業が持っている情報と組み合わせると個人が特定できます

最近では、
色々な場面でマイナンバーの提示を求められることが増えてきていますし
保険証や免許証とマイナンバーを紐づけようという動きも
出てきました。

そうした情報を企業が持てば、たとえ、番号で管理されている情報でも
企業の持つ情報と合わせると、「誰の情報かわかる」ようになります。

スーパーシティでは、
国や自治体のシステム間の接続仕様であるAIPをオープンにするルールを整備し、法令上義務化し公開するので、国や自治体の保有するデータのシステムの垣根がなくなります。

マイナンバーに紐づけられた行政情報も企業の持つ個人情報も、
ビッグデータとして基盤データに集積され、
国に認可された「スーパーシティ」の事業者が使用を許されることになります。

国家戦略特区法は、外国投資のための経済政策ですから、
マイナンバーに紐づけられた情報含めたビックデータは、
外国資本の投資のため、つまり、一部の外国資本家の利益のために、
使われることを可能にするのです。

以下、討論です。

第104 号議案大田区個人情報の保護に関する法律施行条例について反対の立場から討論いたします。

大田区は住所、氏名、家族関係、収入や所得、健康、障害、介護、成績、本の貸し出し状況から思想ほか、
あらゆる極めて重要な個人情報を持っています。

これらは、企業にとっては、大きなビジネスチャンスにつながる情報であり、
使い方を間違えれば、個人の基本的人権を侵害することになりかねません。

だからこそ、これまで、国に先んじ自治体が独自に個人情報保護条例をつくり
守ってきたのだと思います。

ところが、今回の条例改正により、これまで大田区が国に先んじ守ってきた
個人情報のうちの、事業者から守る部分を、国にゆだねることになります。

国の個人情報保護法にある
「匿名加工情報」は、個人情報を復元することができないものですが、

「仮名加工情報」は、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できませんが、
裏返せば、企業などが保有する番号情報から個人を特定できる情報です。

昨今、保険証、免許証、銀行口座などとマイナンバーを紐づけようと言う
動きは広がっており、様々な場面で、マイナンバー提示を求められる場面も
増えていますから、企業が情報をつき合わせると個人を特定できることになります。

国の法律で区民の個人情報を守ることはできませんし、
区がこの条例で区民の個人情報を守ることもできません。

全体的な個人情報の取り扱いの流れを見れば、
個人情報が営利目的に使われるのが見えてきますから、反対です

 


以下提案条例議案です

第 104 号議案

大田区個人情報の保護に関する法律施行条例
上記の議案を提出する。
令和4年 11 月 29 日
提出者 大田区長 松 原 忠 義

大田区個人情報の保護に関する法律施行条例
(趣旨)
第1条 この条例は、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号。以下「法」という。)の施行に関し、個人情報の保護に関する法律施行令(平成15 年政令第 507 号。次条において「政令」という。)及び個人情報の保護に関する法律施行規則(平成 28 年個人情報保護委員会規則第3号)に定めるもののほか、必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この条例において「実施機関」とは、区長、教育委員会、選挙管理委員会及び監査委員をいう。
2 前項に規定するもののほか、この条例において使用する用語は、法及び政令で使用する用語の例による。
(請求に対する決定等)
第3条 実施機関は、開示請求があったときは当該請求書を受理した日の翌日から起算して 14 日以内に、訂正請求又は利用停止請求にあっては当該請求書を受理した日の翌日から起算して 20 日以内に当該請求に応じるか否かを決定し、その旨を書面により速やかに請求者に通知しなければならない。ただし、法第 77条第3項、第 91 条第3項及び第 99 条第3項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、これらの期間に算入しない。
2 実施機関は、やむを得ない理由により、前項に規定する期間内に当該請求に対する可否を決定することができないときは、当該請求書を受理した日の翌日から起算して、開示請求にあっては 44 日以内に、訂正請求又は利用停止請求にあっては 50 日以内に限り延長することができる。この場合において、実施機関は、当該延長の理由及び請求に対する可否を決定することができる時期を書面により速やかに請求者に通知しなければならない。
(期限の特例)
第4条 開示請求に係る保有個人情報が著しく大量であるため、開示請求があった日の翌日から起算して 44 日以内にその全てについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、実施機関は、開示請求に係る保有個人情報のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの保有個人情報については相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により速やかに通知しなければならない。
(1) この項の規定を適用する旨及びその理由
(2) 残りの保有個人情報について開示決定等をする期限
2 実施機関は、訂正決定等に特に長期間を要すると認めるときは、前条の規定にかかわらず、相当の期間内に訂正決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、訂正請求者に対し、次に掲げる事項を書面により速やかに通知しなければならない。
(1) この項の規定を適用する旨及びその理由
(2) 訂正決定等をする期限
3 実施機関は、利用停止決定等に特に長期間を要すると認めるときは、前条の規定にかかわらず、相当の期間内に利用停止決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、利用停止請求者に対し、次に掲げる事項を書面により速やかに通知しなければならない。
(1) この項の規定を適用する旨及びその理由
(2) 利用停止決定等をする期限
(手数料等)
第5条 法及びこの条例の規定による保有個人情報の開示請求に係る手数料は、無料とする。
2 前項の規定にかかわらず、法第 87 条第1項の規定により交付する写しの作成及び送付に要する費用は、開示請求者の負担とする。
3 前項の費用の額は、区長が別に定める。
(訂正・利用停止の請求)
第6条 法第 90 条第1項各号に掲げるもののほか、何人も、自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは、当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該保有個人情報の訂正請求をすることができる。この場合において、同条第3項の規定は適用しない。
2 法第 90 条第1項各号に掲げるもののほか、何人も、自己を本人とする保有個人情報が法第 98 条第1項各号のいずれかに該当すると思料するときは、当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該保有個人情報の利用停止請求をすることができる。この場合において、同条第3項の規定は適用しない。
3 第1項に規定する訂正請求又は前項に規定する利用停止請求に係る個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該個人情報の存否を明らかにしないで、当該請求を拒否することができる。
(審議会への諮問及び意見照会)
第7条 実施機関は、次の各号のいずれかに該当する場合において、個人情報の適正な取扱いを確保するため専門的な知見に基づく意見を聴くことが特に必要であると認めるときは、大田区情報公開・個人情報保護審議会条例(平成 10 年条例第 67 号)第1条に規定する大田区情報公開・個人情報保護審議会(次項において「審議会」という。)に諮問することができる。
(1) この条例を改正し、又は廃止しようとする場合
(2) 法第 66 条第1項の規定に基づき講ずる措置の基準を定めようとする場

(3) 前2号に掲げる場合のほか、実施機関における個人情報の取扱いに関す
る運用上の細則を定めようとする場合
2 前項に掲げるもののほか、区長が必要と認める事項について、実施機関は審議会へ意見を求めることができる。
(個人情報管理責任者の設置)
第8条 実施機関は、保有個人情報の適正な管理及び保護を図るため、個人情報管理責任者を置かなければならない。
(実施状況の公表)
第9条 区長は、毎年度、各実施機関におけるこの条例の規定による実施状況を公表するものとする。
(検索資料)
第10条 実施機関は、保有個人情報の検索に必要な資料を作成し、閲覧に供するものとする。
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
付 則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。
(大田区個人情報保護条例の廃止)
大田区個人情報保護条例(平成 10 年条例第 66 号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。
(経過措置)
3 次に掲げる者に係る旧条例第3条第3項又は第 13 条第2項の規定による職務上又はその事務に関して知り得た旧条例第2条第2号に規定する個人情報(以下「旧個人情報」という。)をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない責務については、この条例の施行後も、なお従前の例による。
(1) この条例の施行の際現に旧条例第2条第1号に規定する実施機関(以下
「旧実施機関」という。)の職員である者又はこの条例の施行前において旧
実施機関の職員であった者のうち、この条例の施行前において旧個人情報の
取扱いに従事していた者
(2) この条例の施行前において旧実施機関から受託した旧個人情報を取り扱
う事務に従事していた者又は指定管理者に係る公の施設の管理事務に従事し
ていた者
4 旧条例第 10 条の2の規定による個人情報ファイルの保有等、旧条例第 31 条の規定による自己情報の検索資料の作成及び旧条例第 32 条の規定による実施状況の公表については、なお従前の例による。
5 この条例の施行の日前に旧条例第 18 条及び第 19 条から第 21条までの規定による請求がされた場合における旧条例に規定する保有個人情報の開示、訂正、削除及び利用中止については、なお従前の例による。
6 次に掲げる者が、正当な理由がないのに、この条例の施行前において旧実施機関が保有していた個人の秘密に属する事項が記録された旧条例第2条第3号の2に規定する個人情報ファイルであって同号アに係るもの(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)をこの条例の施行後に提供したときは、2年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処する。
(1) この条例の施行の際現に旧実施機関の職員である者又はこの条例の施行
前において旧実施機関の職員であった者
(2) 付則第3項第2号に掲げる者
7 前項各号に掲げる者が、その事務に関して知り得たこの条例の施行前において旧実施機関が保有していた旧条例第2条第3号に規定する保有個人情報をこの条例の施行後に自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処する。
8 この条例の施行前にした行為及びこの付則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの条例の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(提案理由)
個人情報の保護に関する法律の改正に伴い、同法に基づく政令等に定めるもののほか、必要な事項を定めるため、条例を制定する必要があるので、この案を提出する。