コロナ受診控えで昨年の医療費1兆4千億円減、で心配な世界に誇る日本の医療制度

昨年、コロナで、医療控えが起きて、昨年1年間の医療費は、過去にないほど大幅に減っています。

そこで心配なのが、これから、私たちの医療はどうなるか、これまでのように、受診できるのか、ということです。医療費削減で良かった、と喜べるほど、問題は簡単では無いと思います。

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昨年、コロナで、医療控えが起きて、昨年1年間の医療費が、1兆4000億円(3.2%)と、過去にないほど大幅に減っています。

医療費1兆4000億円減 過去最大の減少幅 コロナで受診控え | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

そこで心配なのが、これから、私たちの医療はどうなるか、これまでのように、受診できるのか、ということです。医療費削減で良かった、と喜べるほど、問題は簡単では無いと思います。

日本の医療制度は、課題はあるものの、国民皆保険、フリーアクセスという世界に誇るべき大きな特徴をもっています。

誰もが医療保険に入ることができ、どこでも、希望する医師に受診できます。
大阪に腕の良い医師がいると知って、東京から受診することも可能です。     

ところが、この医療体制を支える病院や診療所は、昨年の受診控えで、ある意味、経営的な危機に陥っている状況です。

厚生労働省保健局調査課の課長は、「今回の医療費の減は過去にないものであるため、この先ど
うなるかはまだ分からないというのが正直なところ」と前置きした上で、「いったん減った医療費は、完全にコロナがなかった場合の⽔準まで戻るというのは少し考えにくい」と言っておられます。

今年は、コロナワクチンの接種をお手伝いいただくなど、医療費減の影響が見えにくくなっている部分もありますが、今後、病院や診療所が、これまでと同じ状況で、私たちの受診体制を支えることが出来るのだろうか、と心配です。

課題はあるものの、日本の医療は、私たちの健康を支える世界に誇るべき制度により支えられています。

国民皆保険で、誰もが医療を安価で受けられるうえ、フリーアクセスという意思や病院を選べるようになっています。友だちから紹介された医師に受診したり、遠くの評判の病院に通うことができるのは、フリーアクセスという制度に支えられているからです。

福祉の国と言われているスウェーデンですが、病気になってまず受診するのは、病院ではなくアンダーナースと呼ばれる看護師です。
そこで薬などを処方してもらい、それでも良くならないなど、段階を経なければ医師の受診はできないしくみだそうです。

医療費が減って、良かったと思っていたら、いつの間に身近な診療所が減って、病気になっても受診できず、「タブレット先生」の処方でドラッグストア、などという状況になりそうで心配です。

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オマケ

この新聞記事に、

医療費1兆4000億円減 過去最大の減少幅 コロナで受診控え | 毎日新聞 (mainichi.jp)

コロナの医療費は1200億円程度とありました。

昨年、インフルエンザはほぼゼロだったそうです。
厚生労働省保健局調査課の課長が、例年のインフルエンザの患者数1000万⼈程度×1⼈当たり医療費1万円とすれば、ほぼ1000億円程度インフルエンザゼロで医療費が減った計算になると試算しています。

この厚生労働省保険局調査課の課長は、
「医療費減の影響が⼤きすぎて、医療費全体のデータからはコロナによる医療費増を観測することは出来ない」
と言っておられたので、新聞報道のコロナの医療費1200円程度というのがどういう統計の取り方をしたのかわかりませんが、例年のインフルエンザと比べても、ここまでの制限をかけた割に、医療費負担が増えていないことに驚きました。