大田区のコロナ対応補正予算は総額で785億円。

ここには、一人10万円給付される特別定額給付金が含まれるため、当初予算の3割という激増です。

特別定額給付金の740億円+事務費ほか教育のためのタブレットなど総額767億円は国費で賄われますが、国の財源は赤字国債です。

ここまでして行っているコロナ対策ですが、困窮者への給付は遅れ、議決や入札は行わず、効果も乏しく民主主義が後退しています。

補正予算の問題について奈須りえの議会での討論をご紹介します。


第49号議案令和元年度大田区一般会計補正予算(第二次)に反対の立場から討論いたします。

今回の臨時会の議案は、この補正予算含め、新型コロナウイルス感染症の感染予防や、感染予防の自粛による経済対策などがほとんどです。

私たちは、今、歴史の転換点にいる
~グローバル経済下の流血無き戦争状況~

いま、私たちは、まぎれもなく、歴史の転換点に居ると思います。今を戦争にたとえて発言される議員もいますが、私も、国家間の富の収奪が戦争だとするなら、今はグローバル経済下の流血無き戦争状況のようだと思っています。

新型コロナ感染症とその対策、自粛など感染症対策からくる経済・社会・政治などあらゆる分野への影響は、後年、歴史が評価することになると思います。

ただ、今の時点でも言えるのは、コロナの感染予防や経済対策ということで、行われていることの中には、
・必ずしも効果的でないもの、
・効果とその影響を考えれば、影響の方が大きく、講じるべきではないもの、
・速やかに行わなければならないにも関わらず、一向に行われなかったこと

があるということです。

感染のリスクへの不安や、予防対策として講じた自粛の経済的影響のあまりの大きさへの衝撃から区民からは、見えにくくなっている

・優先順位や、
・費用対効果、
・財政投入の影響
・スピード感

なども十分考慮したうえで、将来の世代への影響含め責任ある判断を議会はすべきと考え、そうした視点から討論いたします。

 

コロナ対策の財源は国庫補助金

特に、今回、私たちが議論する補正予算の総額は、第二次が784億円、第一次と合わせると、約785億円にも及びます。

そのうち、国庫支出金が767億円、都支出金が1億円、と大半は国や都の財源で、大田区の一般財源の負担は割合としては2%と少ないもの、大田区の財政基金からの繰り入れ額も約17億円にも及びます。
当初予算は、一般会計で2874億円でしたが、今回の1次二次補正を加えると、補正後の総予算は、約3割増の3659億円にもなります。

今後恒常的に増える財源の財政フレーム、財源確保手段は示されず~財源確保で心配な人件費抑制~

そのうえ、今回の第二次補正予算の全小中学校ICT環境整備のためのタブレット端末追加配備費用は、

機器購入費20億円の一部を国から補助されれ、大田区の財政にメリットはありますが、5年のリース契約で、今回購入すれば、将来にわたり、タブレット端末費用を負担し続けることになります。

コロナによる税収の落ち込みが心配ですが、教育費のどこを削って負担するのでしょうか。学校の老朽化が課題になっていて、今回も大森第四小学校校舎ほかの改築工事約6億1600万円の契約議案が一切の契約変更なく送付されています。
そうなると、教育費の人件費が抑制されることにならないか心配です。

国の補助金頼みではなく、タブレットを導入するなら、それにみあった財政フレーム、財源確保の手段を示すべきです。

リーマンショックの定額給付金2兆円がバラマキ批判、今回12.8兆円は?

今回の補正予算の論点は、何と言っても特別定額給付金でしょう。

リーマンショックの影響から、2009年から総額2兆円規模の景気対策として国民全員に一人1万2千円。こどもと高齢者には2万円の定額給付金が支給された定額給付金は、バラマキという批判がありましたが、今回はほとんどと言っていいほど、そうした批判が表にはでてきませんでした。

 

突然変わった生活困窮者へ30万円→全世帯10万円

当初、国が、生活困窮世帯1世帯当たり30万円を支給すると説明していたから多くの国民は困窮者対策とこころづもりしていたからだと思います。それが、直前に全員に一人10万円に変わってしまったのです。

定額給付金の総額が2兆円でしたが、今回の特別定額給付金は、12.8兆円。国の総額補正は25。5兆円にも及びました。財源は全額国債です。

確かに困窮している、区民、個人事業主、中小企業経営者などに手を差し伸べなければなりませんが、全員に一人10万円の給付は、適当と言えるでしょうか。
国債は、将来の税収の先取りです。私たちの子どもや孫の世代の税負担が増えるのではないでしょうか。教育、福祉、医療の財源は大丈夫でしょうか

竹中平蔵氏「全国民へ現金給付し高額所得者に返済させる」
「全国民に急ぎ現金を給付し、後にマイナンバーに紐付けて高額所得者には返済させる。」

今の政府の施策に大きな影響を持つ竹中平蔵氏が次のような発言をしています。

●政策を誤れば、今回の経済危機は、「コロナ経済危機+第二のリーマン・ショック」という二段階の経済危機を招く。そうなれば、被害は大恐慌クラスのものになる。
●それを抑えるための重要な手段は二つ。従来とは発想の異なる「国民生活救済政策」と「資金繰り支援政策」を準備することだ。
●具体的には、政府小切手で全国民に急ぎ現金を給付し、後にマイナンバーに紐付けて高額所得者には返済させる。

竹中氏の言とおり、「国民生活救済政策」が特別定額給付金でおこなわれ、
政府小切手、つまりは国債により、全国民に急ぎ現金が日本全体で12兆8千億円、大田区で740億円給付されようとしています。

でも、竹中平蔵氏は、こう言っているのです。

後にマイナンバーに紐付けて高額所得者には返済させる。

必要な人に必要な財源を給付するため、それを、高額所得者が負担しなければならないこともあると思います。

しかし、それほど必要でない人、全く必要ない人まで含め、今回の国民全員が一人10万円を受け取り、それを高額所得者にご負担いただくとするなら、理解が得られるでしょうか。

しかも、竹中平蔵氏の言う高額所得者からの返済が、配当、利子所得者への税制変更による増税を想定しているとは思えません。

いずれにしても、特別定額給付金の12.8兆円は、国民が負担しなければならない金額だと言うことは明らかです。

特別定額給付金、全員給付の本当の意味

そのうえ、手続きに無関係なマイナポータルに申請すると、区民の口座番号に紐づけされたマイナンバーの番号情報の同意を求められます。国会で審議中の国家戦略特区法の改正にが成立するとスーパーシティで、企業と国が行政情報、個人情報、企業の情報を駆使して事業を立案することが可能になります。

困窮者でなく、国民全員給付に代えたのは、ここに理由があるのではないかとみています。

特別定額給付金は、

・財政負担の増加と、
・国債発行、それを
・高額所得者負担する構図も問題ですが、
竹中平蔵氏の言う通り、
・スーパーシティで、口座番号がマイナンバーに紐付けられるので、さらに問題です。

地方分権で始まったにもかかわらず、強くなる中央集権

特別定額給付金は、自治事務なのに、国の関与が極めて大きくなっています。
2000年前後に始まった地方分権ですが、徐々に中央集権になっていて、自治体は、選択の余地が小さくなっています。

大田区というより、国の制度に警鐘をならす意味からも、反対といたします。

コロナの影響は、中間所得層から富裕層へ

今回のコロナの影響は、低所得者にも大きな影響がありますが、個人事業主や中小零細企業はじめ中間所得層から富裕層にも大きな影響が及んでいるのが特徴的で、かつて分厚かった日本の中流と言われる層がさらに縮小しようとしています。

大田区独自の経済支援が無い、影響の大きな個人事業主や中小零細企業、診療所や社会福祉法人、学校法人など、非営利法人への支援

内部留保も大きく体力がある大資本に比べ、経済的に大きな影響を被っている、個人事業主や中小零細企業、診療所や社会福祉法人、学校法人など、非営利法人への支援は、雇用や地域経済への影響を考えれば、優先しなければならない問題です。

他自治体の中には、取り組んでいるところがありますが、補正予算からは、そうした問題意識や緊迫感も感じられないことも、反対の理由です。