アベノマスクに似たことが大田区でも起きている!議決もせず特別定額給付金、入札もせずマスク購入は本当にコロナが理由ですか?

大田区は、特別定額給付金の給付を急ぐことを理由に、事務費について議会の議決をしないで専決処分で行いました。

それだけでなく、①マスクや消毒液、②防護服などの購入も入札にかけるところ、議決もせず、入札もなく随意契約で行っています。合わせると約6350万円。

ちょっとアベノマスクに似てますね。アベノマスクは、マスク代だけで466億円。配布料もありますから総額はもっとですね。ちなみに、私の事務所にも配布されてましたから、マスクの数も配布料もいい加減だと感じました。

うまい大田区版、「○○のマスク」のネーミング想いついたら教えてくださいね。

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以下、議会で行った討論です。

報告第10号~第12号の地方自治法第179条の専決処分について承認に反対、第49号議案の補正予算に反対の立場から討論いたします。

地方自治法第179条の専決処分とは

地方自治法第179条の専決処分は、
・除斥のため議員定数の半数に達しない時や、
・同一の事件について再度招集しても定数の半数に達しない時
・議会において議決すべき事件を議決しないとき、
そして
・「普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」
など、地方公共団体の議会が成立しないときに、当該普通地方公共団体の長が、その議決すべき事件を処分することができる、と定めています。

【特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がなかったか】
今回は、その中の、

「議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき」

という条文に基づき、行われた専決処分であると説明を受けました。

【適法なら不承認手も有効】
専決処分をした場合、直近の議会に報告し、承認を求めることとなっていて、今回がその承認の場ですが、専決処分が適法になされていれば、議会が不承認でも長に政治的責任が残るのみで、処分の効力は有効であると解されています。それだけ、重みのある処分だと言うことです。

【適法でなければ無効】
一方、要件にある、「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がない」ことが明らかでなければ、効力は有効にはならない、ということです。

そこで議案質疑において、

【中央防波堤の時のように夜間休日開催できなかったか:答弁無し】
① 大田区議会では、区長が2017年10月に、中央防波堤の帰属に関わり議会初の日曜議会を開催していることもあり、休日開催や夜間開催を考えなかったか

うかがいましたが、考えたか考えなかったのかの説明もいただけませんでした。答弁は、副区長からいただきましたので、専決処分の権限を持つ区長に再度うかがいましたが、こたえはありませんでした。

・4月7日の閣議決定で緊急経済対策が行われることが公表され、
・4月20日に補正予算について閣議決定。同日総務省特別定額給付金室長名通知で「市区町村は直ちに実施組織を設置し、システム改修や印刷・郵送の準備に着手する」よう国からの要請をうけた流れを見れば、
4月20日から補正予算の準備をして4月30日の国会議決後、5月7日の専決処分までに速やかに臨時議会を開催することは可能だったと思います。
「感染症対策用物資」と「感染症対策用防護服」の購入は決めていたわけですから、補正予算の計上はできたはずです。

【他自治体でできているのに大田区ができなかった理由は?:答弁無し】
しかも、
② 専決処分を行わず臨時会で対応した自治体は数多く、23区の中でも専決処分はわずか8区と答弁しています。そこで、

他自治体が開催できているのに、大田区が特に緊急を要するため、議会を招集する時間的余裕がなかった理由は何なのか、他自治体とは違う理由について質疑しましたが、大田区独自の明確な理由について答弁はありませんでした。

【議会から要望されたから?:奈須りえは要望してません!】
 そこで気になるのが、

③答弁の中で、区長が区議会からの緊急要望を重く受け止め専決処分したと言っていることです。

専決処分は、地方自治法の規定に基づき区長の判断で行うもので、議会から言われたら専決処分をしてよいと地方自治法はうたっていません。

今回、専決処分について議長は、個別に議員や会派に打診していますが、議長が区長と議会をとりもち事前審査をしている構図にも見え、問題だと思います。

少なくとも、今回、私は、議決をせず予算措置を講じるよう大田区に要望していません。

質疑と答弁からは、この専決処分が、議会の議決すべき事件であるにもかかわらず、特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認められず、承認には反対です。

【緊急・迅速の目的は達成されたか?】
1%にもなってない給付(5月22日時点)

一方、大田区は、緊急、迅速などという言葉を使い、特別定額給付金の予算措置とマスクや防護服の購入契約の必要性をいいますが、特別定額給付金の給付済み額は、5月22日の時点で2162世帯、4億3000万円で、総給付額の1%にもなっていないうえ、特に困窮している方たちを選んで給付しているわけではないそうです。

【専決処分の前は流用・予備費で対応】
しかも、第10号の専決処分は5月7日ですが、大田区は、4月20日の総務省通知以降、流用や予備費で事務の準備を始めています。

【4億3千万円は専決処分も議決も無し】
一方、総額で740億円にものぼる10万円の給付は、すでに4億3000万円の給付が終わっていますが、専決処分も行わず、本日第二次補正予算の議決をするところです。

流用や予備費ではできないから専決処分だと説明を受けてきましたが、現実には流用や予備費ので対応しています。
だから良いと言うのは無く、だからこそ、きちんと議決に付すべきです。

【専決処分で入札無し!大田区版アベノマスク!?】
松原区長が、報告第10号特別定額給付金にかかわる補正予算に関する専決処分をしたことで、

報告第11号の
医療用マスク20万枚、
KN95マスク10万枚、
医療用手袋2万5千枚、
医療用ゴーグル1万1千個の
合計3,323万6,500円の購入契約と

報告第12号の、
感染症対策用防護服 1万1千枚 
3,025万円の購入契約を

随意契約で行うことの問題がみえにくくなっているのです。

・コロナの感染症対策用物資、
・区内の病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会、柔道整復師会1260か所に配布

など反対しにくい内容になっていますが、購入配布は必要でも、入札すべきです。

【入札無しで担保されない公平性・適正な価格・品質・・】
急ぐことで、議決や入札など大切な手続きが省略されれば、議決や入札など手続きにより担保されていた説明責任や公平性や、適正な価格、品質が担保されなくなる可能性が生まれます。

委員会では業者への信頼性などの問題について取り上げる委員もいましたが、入札資格が無くても随意契約できるのですから、指摘は当然だと思います。

【拍車のかかる大田区の入札の形骸化→崩壊へ】
すでに、大田区は、2019年第二回定例会で、池上駅上の図書館の内装工事5億1,454万円を入札せず、債務負担行為で決めるなど、入札の形骸化が始まっています。

そうなると、安易に緊急性が使われ、入札制度が形骸化するどころか崩壊してしまいます。

【議会の自殺行為:首長の言うことなら大丈夫だから議会を開かなくて良い?】

 そのうえ、首長の言うことは良いことだ、から議会は開かなくてよい、が始まれば、議会の自殺行為であり、行政の独裁の始まりになることを恐れます。

だからこそ、議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかなことを、区長自らの言葉で、説明すべきだったと思いますが説明されませんでした。

入札なく、随意契約で行われた業者選定の適法性も担保されないと思います。

 よって承認には反対です。