リニア新幹線審査請求の審理の課題と確認事項

リニア新幹線の審査請求して1年近くになりますが、昨年末、審理員を決定したという通知が来ました。

今後は、認可を下した国と請求人である私たちの意見を元に、審理員が意見書を作って、それをもとに行政不服審査会が是非の判断をします。

はじめてのことなので、どう進めるのか審理員に説明を求めましたが、公平性を担保するため、審理員は来られない、と言われ、認可をおろした所管課の職員が来て説明しました。

審理員は公平性の点でダメで、訴えている大深度地下所管課がくるという不思議なことが行われました。

そもそも、審理員も国土交通省の職員です。審理員は審査の途中でも、人事異動で変わることもあるのだそうです。

大深度地下の認可をした職員が審理員になることはできませんが、審理員を務めた職員が、大深度地下の担当になることは認められています。

そう簡単に、国土交通省の不利になる意見書は作れないしくみではないでしょうか。

「公平性」を理由に審理員と審査請求人を会わせない判断をしたのですから、ぜひ、審理員には、公平で事実に即した意見書の作成に努めていただきたいものです。

__________________

1. 今後の審査請求の審理の流れ

① 審理員が、大深度地下の認可をした国土交通省に対し弁明書提出を求める
審理員からすでに都市局に対して2020年4月20日までに弁明書提出を求められている。

② 審理員は、国土交通省の弁明書を審査請求人(この場合私たち)に送付

③ 審査請求人が反論書を審理員に提出
反論書を出す際に、主張の補充を思いつかれれば、そこで補充が可能。
その反論に対し、処分庁が返すことになる。
意見陳述の間にも質問が適宜できるが、あらかじめ文書で質問内容を出せば、処分庁も適切に判断できる。反論書に質問を出せば、処分庁が弁明することになる。

処分庁(国交省)から弁明書が出てきたら、弁明書のボリュームなどで反論書提出の期日を判断。

④ 行政不服審査法に基づく審査請求は、基本的に書面主義(文書主義)だが、この例外として口頭意見陳述が認められている。
申し立てをしている人については意見陳述できる。また、申し立てを希望していなかったが意見陳述したいものは、意見陳述が可能。
代理人を立てることも可能。
意見は誰でも言える
請求した全員が意見を言える。
非公開
*請求人が事業者(JR東海・工事業者など)に質問することは可能か
可不可の根拠 

⑤ 弁明書と反論書の行き来があり、口頭意見陳述を終え、審理員は審理を終結

⑥ 双方の言い分に基づき、審理員が意見書を行政不服審査会(総務省)に提出審査会が判断
第1部会
会長・部会長(常勤)
原 優(はら まさる)元名古屋高等裁判所長官
 委員
中山 ひとみ(なかやま ひとみ)弁護士
委員
野口 貴公美(のぐち きくみ)一橋大学大学院法学研究科教授
第2部会
部会長(常勤)
戸谷 博子(とや ひろこ)元東京高等検察庁検事
委員
伊藤 浩(いとう ひろし)行政書士 
委員
交告 尚史(こうけつ ひさし)法政大学法科大学院教授
第3部会
会長代理・部会長(常勤)
戸塚 誠(とつか まこと)元総務省総務審議官
委員
佐脇 敦子(さわき あつこ)弁護士
委員
中原 茂樹(なかはら しげき)東北大学大学院法学研究科教授
2. 総代
  連名で提出している人、共同で審査請求している場合には、総代(代表)を選ぶことが
可能。代表なので一切の行為を総代を通してのみ行える

個人で出している人は、個々人で反論できる。総代については、希望しなければ考えなくていい。個々に取り扱う

3. 質問権があるが
口頭意見陳述の中で、処分庁に対し質問権を行使できるか

4. 個々の国民の権利義務が争われるので、意見陳述は原則非公開(口頭意見陳述31条)
*法律上の根拠はあるのか。
*審査請求人が公開を求める場合には公開されるか。

5. 参加人
*参加人になれる時期はいつなのか
*JR東海は参加人になるのか 事業者の判断
審理員が必要と認める場合には事業者が認めれば参加人になる
*申し込んでいない人が、申請し意見陳述するのはいつまでか。

6. JR東海が持っている物件(書類)を請求できるか
物件提出要求は審理員として判断
求めた方が良い

7. 事業認可に対する審査請求は旧法。外環道も旧法なので、行政不服審査法改正後のこれほど大人数の審査請求は初めて。

外環道に関わる審査請求スケジュール
平成26年3月の認可処分 5月異議申し立て
口頭意見陳述を終え、平成29年手続き完了
審査請求人1000人くらいいた
旧法新法大きく変わったのは
旧法では審理員がいなかった。旧法では処分庁=行政庁が採決して終わりだった

8. 参考人の申請、現場検証などを求めたいが、どう考えているか。
審理員が必要性を判断して行うかどうかを決める。

9.  大深度地下法の認可に際して、守るべき法的要件に疑義のある問題が起きているが、処分庁として把握しているか。把握している問題について懇談を求めるが。
審査請求中のため、応じられないと一度は言ったが、福島みずほ参議院議員より、国政調査権を指摘され、情報は収集している、事業所管部署として応じる。

10. 

審査請求の問題点
① 第三者性の確保というが、審査庁が審査請求にかかる処分に関係した職員以外でなければならないという9条2項に従い決定に関与していないものが選定されている。というだけで、国交省の職員が選ばれている。
大深度地下使用の認可をおろした処分庁(国交省)に所属する職員が審理員となり、双方の言い分を聴取し、第三者委員会に提出する意見書を作成する。第三者性は担保されるのか。
弁明書、反論書による書面のやり取りや質問に対する回答が不十分なまま、審理の打ち切りなどの無いよう、出来る限り正確で詳細な事実確認を求める。
② 審理員にも人事異動があるというが、意見書作成における調査の在り方などで国土交通省側にとって問題があれば、移動させることが可能になる。恣意的な運用の可能性があり、適正な運営を求める。
③ 

今後の課題
◆審査請求は、着工を止められないため、審査請求中もリニアの工事は進む。
疑義があるから審査請求しているのであり、着工は止めるべき。
そのうえで、正確で詳細な情報収集と速やかな判断を求める。
  
  ◆リニアの工事が一部で始まり、また、大深度地下法に基づく大深度地下使用認可のおりた、外環道問題はじめ、いくつかの自治体で、大深度地下法に基づく地下利用が始まっていて、問題もおきている。
  大深度地下使用に関わる前提が事実でないことの証明となりうる事象について、国土交通省が把握している情報を教えてほしい。
鉄道局に関わる部分は鉄道局が把握している。大深度地下使用に関わる審査請求中ではあるが、必要な情報は福島みずほ事務所を通じ、報告を兼ね意見交換に応じる。