フェアな民主主義 奈須りえです。

 主権者である国民・区民が望んでいることが提案されて、議会が決めて行政が執行すると思って議員になりましたが、誰が提案したのか、誰が希望しているのか、議員である私からも見えない議案や予算が少なくありません。

 大田区は、いまラズが建っている土地と、かつて入新井図書館と入新井出張所があった土地を、大森地域庁舎も合わせて移転させるからと言って、交換しました。ところが土地交換した後に「にぎわい」を理由に大森地域庁舎の移転をやめて、民間投資家の投資の対象REIT(不動産投資信託)にさせ、雑居ビルにしてしまいました。地域住民とワークショップまでして積み上げた計画が、ある日突然変わってしまいました。だれが望んでそうなったのでしょう。

小中学校の複合化の問題が明らかになってきましたが、当時の複合化こそ、意味のある複合化だったと思います。

羽田空港跡地も、それまで大田区で積み上げてきた計画がいったん止まったと思ったら、和泉洋人(いずみひろと)内閣総理大臣補佐官が座長の「羽田空港周辺・京浜臨海部連携強化推進委員会」ができて、大田区で積み上げた計画は消えてしまい、国主導の国策になりました。国策なら大田区が165億円も払うことは無いのに、区民の莫大な税金が国に吸い上げられた形です。

羽田空港の沖合移転は、区民の声に後押しされる形で大田区議会が決議し、大田区も一緒になって区民の安全と環境を守るために国を動かし、海から入って海へ出る飛行ルートが実現しました。

ところが、来年の3月から予定されている羽田空港飛行ルート変更による都心低空飛行は、2007年から2009年までの間に航空鉄道運輸他の企業と学識などをまじえ、運輸政策研究所が取りまとめたもので、こうくうほか企業の思惑で始動したことがわかります。

大田区は「飛行経路の設定や国際線の増便等は国家としての航空政策であり、しかるべき手順を踏みながら国の責任において判断していくものと理解」に代わっています。

最近では、サウンディング型市場調査、公民連携などという耳慣れない言葉も使われるようになりました。

サウンディングは、事業発案段階や事業化段階において、事業内容や事業スキーム等に関して、民間企業との直接の対話により民間事業者の意見や新たな提案の把握等を行うこと、だそうです。

田園調布せせらぎ公園の開発について、大田区は、今年2月にサウンディング型市場調査を実施して事業者から聴いた意見をもとに、3月に庁内で公園の活用や運営方法についての検討を行っています。

今年の2月に大田区が行った仮称文化施設の住民説明会で多くの住民が、大量樹木伐採を伴う公園の開発について、異議を唱えています。しかし、その直後に行われた庁内検討会の議事録に住民意見に応えようという議論はなく、あったのは、地元住民への説明の時期だけでした。住民へは、説明すればよいという大田区の姿勢が表れています。

しかも、公園は区民の財産であるにもかかわらず、そこで収益活動して利益をあげようとする事業者はリスクとして「地元住民や関係団体の反対等による事業継続リスク」をあげています。反対する住民をリスクとする事業者と大田区が歩調を合わせるのがサウンディング調査なのだと、衝撃を受けました。

その後、5月に行われた説明会で、富士見会館下の駐車場も体育館建設も、まだ決まっていませんと説明していましたが、3月の庁内検討会議では、体育館も駐車場も建設を前提に話し合われているばかりでなく、どうやって企業がより収益をあげられるのか、参入しやすくなるか、が議論の中心になっていて、2月に集まった多くの区民の声は反映されず、本当に住民は蚊帳の外で軽視されていると感じます。全体の奉仕者であるはずの大田区が、住民に寄り添うのではなく、みんなの公共財産公園で利益を上げてもらおうと、投資家に寄り添っているのです。

最近大田区は、公民連携で大資本との包括連携協定を進めています。一つひとつの事業ごとに、事業者と委託や協定を締結するのではなく、事業者が行政情報を共有し、政策立案にかかわる意思決定の仕組みに組み込まれる。

これが包括連携協定の本質ではないかと思います。

ラズでも、羽田空港飛行ルート変更でも、跡地でも、せせらぎ公園でも、大田区は、区民の声は聴かないけれど、国に従い、企業とはいつでも会い、要望を聴き、情報を共有して同じテーブルで、区民の財産や税金で、どうやったら事業がうまくいくか、事業利益をどう確保してあげられるか、一緒に考えてあげている。これが今の大田区です。

そこでうかがいます。

 サウンディング調査、公民連携、包括連携協定など、企業と行政の連携が目立ちます。国や東京都からおりてきたものにそのまま従っているものも目立ちます。

大田区行政は、主権者である区民の声ではなく、憲法や地方自治法の規定にも無い、企業や団体の発意で始まるしくみばかりが担保されています。

区民の発意や意見はどのように尊重されますか。

 

 

しかも、大田区は、区民の声を聴かないだけでなく、十分に情報を提供せず、説明責任を果たしていません。決まってから提供される情報も少なくありません。

「羽田空港飛行ルートを3月末から変更する」と、増便が決まったかのような報道になっていましたが、国土交通大臣はあの時「手続きを進めていく」と発言しています。

先日、国土交通省は、航空法に基づく、飛行ルート周辺の建築物の高さ制限のためのパブリックコメントを行いましたが、これも手続きの一つです。

大田区の下丸子から田園調布にかけての多摩川沿いは、航空法に基づく高さ制限がかけられていません。内陸飛行しなかったから、KAMTで9000ft確保しているから、と言った理由があったかもしれませんが、今回のAC滑走路の南向き着陸で、広範囲にわたって高さ制限が新たにかけられることや、新ルートになれば、大田区上空へのゴーアラウンドの可能性もありますから、高さ制限をかけるべきだったのではないかと思っています。少なくとも、議会に報告し、議論の俎上に載せるべきでした。

現在それに加え、有視界飛行が禁止されている特別官制区指定のパブリックコメントも行われています。この安全飛行のために計器飛行する特別官制区に、大田区の一部高さ200~1200mの部分も入ります。新飛行ルートで大田区は真上を飛ばないから影響が無いのではなく、影響のある区域だということです。2月から試験飛行という名の実機での飛行が始まりますがこれも委員会報告はありません。

せせらぎ公園内の駐車場の整備は、8月9、10日の説明会の時点では、まだ決まっていない、検討中と言っていましたが、先日住民に対して「配置については・・・ご意見・ご要望を踏まえながら検討してまいります。」と決めたように住民に回答しています。

体育施設・防災備蓄倉庫についても、大田区は、8月9日・10日開催経過説明会その他の住民説明会等において、まだ決まっていない、検討中等の回答をしていましたが、住民の要望書に、体育施設について「地域からの長年の要望等を踏まえ・・・整備することとしました」、と回答しています。公園における公民連携基礎調査の議事録を読むと、駐車場も体育館も3月の時点で、整備を前提に、事業者がいかに利益をあげられるか、という視点で打ち合わせをしています。

特に、住民は、富士見会館下の国分寺崖線の駐車場を整備せず緑を守りたいと願っていますが、

・駐車場などは収益性が高く駐車場事業だけで2億円程度の売り上げがあるため、民間にまかせることにより、例えばニーズに応じて駐車場を増やすなどすることで、

という発言から、事業者の利益を考えて、駐車場を作ろうとしているのではないか、という背景も見えてきます。

せせらぎ公園の飲食店は区長の要望で設置することになったことが情報公開請求してわかりましたが、住民からは、飲食店を設置したことで、こどものボール遊びのスペースを奪われたと批判の声があがっています。

この飲食店ですが、事業者はある程度のグレードを持たせることを希望しているので、業務委託は難しいと言っています。

区長の要望で飲食店を入れたら、委託ではなく指定管理者でなければ受けないと事業者から言われているようなものです。

また、議事録の、

・駐車場、駐輪場の歳出入について、現時点でかなり利益をあげているときいている。

・収益の柱となりうる施設として一体管理の対象としたい。

・社会教育団体委への減免条件の見直しに伴い、新施設は減免無しとする予定。

などという区の発言を引き出す質問から、この「公園における公民連携基礎調査」が、大田区が事業を行うための調査というより、事業者が大田区の公園を使って、何ができるか、どう確実に利益を上げるか、値踏み交渉するための調査の色合いが強いことがわかります。

こうやって企業とは、内部で、体育館と駐車場設置を前提に具体的な事業化を検討しながら、2000通を超える署名を提出した住民にはまだ決まっていないと言い続け、突然、10月末になって大田区は「地域からの長年の要望等を踏まえ、、、整備することとしました」と答えているのです。しかも、内部で整備を前提に準備していながら、来年度になったら、コンサル主導で、ワークショップをすると言い始めています。

 公園内の施設整備を区に要望したと言っている田園調布の元町会役員が、住民に知らせないこうした進め方は良くないと思う、と言っておられました。

一部の水面下の声と事業者の声だけで、区民意見など聞かずに決めた後に、ワークショップを行い、住民意見を聴いたことにするのでしょうか。

そこでうかがいます。

大田区は、8月の説明会まで駐車場も体育館整備も決まっていないと説明しています。

大田区は、いつ、誰が、誰の意見をもとに、この公園の駐車場や体育館整備を決めたのですか。

地域住民との合意形成も無く行われる、こうした、不透明な意思決定の在り方について、大田区はどのように考えていますか。

 

行政内部や一部の人たちの声で水面下で進め、区民の声を聴かず、情報提供も不十分で説明責任を果たさず、説明しても合意形成は行わず、国と一部の事業者とで事業者の利益のために、区民の税金や土地を使わせ、決めてからワークショップで区民の声を聴いたことにしようとしている。

これも区長の裁量権なのでしょうか。

たとえば公園管理についての議事録には、こんなことも書かれています。

維持管理運営を一元化することで、これまでの関連事業者に加え、大企業などが新たに参入することが見込まれるが、区内業者等への配慮をどう考えるか。

公園の維持管理運営を分離発注してきた意図は、区長はじめ上層部が各業務3000万円程度で地元企業へ発注することにより、地元での雇用創出を意図したもの。一元化すれば、契約額が1~2億円と大きくなり、地元企業は受注が難しくなる。

 

果たして、これらの対象となっている地元企業のみなさんは、大田区が大企業の意見を聴きながら、こんなことを考えているのをご存じでしょうか。

 

「地域力をいかしたまちづくり条例」第12条には、協議会の認定の要件をすべて満たさなければならないとして、

「活動対象地区及び当該活動対象地区を含むまちづくり拠点地域内の全ての自治会等、商店会、居住者、事業者及び土地所有者等に自発的参加の機会を保障していること。」と区民の参加を保障しています。

ところが、まちづくり協議会に、地域の方たちが入ろうと要請してきましたが、入り方も明らかになっていなくて、未だに入会を確認できていません。第一回の協議会の時、大田区も参加していたので私も指摘しましたが、一向に改善されていません。

しかも、個人の入会を想定せず、町会員は町会として入っているから入会手続きをしなくて良いと説明しています。

そこでうかがいます。

広く区民の参加の機会を与えないまちづくり協議会を大田区は認めて良いのでしょうか。まちづくり条例違反にはなりませんか。

まちづくり協議会は、住民の土地や建物という財産権に係るまちづくりのルールを変える提案ができます。地域力をいかした大田区まちづくり条例は、任意の地縁団体である町会自治会に、認定の拒否権を与えています。2016年3月に条例改正案が上がったとき、弁護士や上智大学の教授にも相談し、全国でも稀な条例であり、拒否権を与える部分についての修正案を共産、緑、ネットで出し否決された経緯があります。

ところが、このまちづくり協議会は、会員が、その町会・自治会でもない、連合町会ただ一つだけで、各町会も会員になっていません。

大田区も同席していた総会で議決した時と大田区にまちづくり協議会を申請した時では、まちづくりの区域も、役員も異なっています。

たった一人の会員だから、総会も開かず、総会での決議事項を変更したのでしょうか。

このまちづくり協議会の設立総会で、地域の町会員から、まちづくりの動きについてまったく知らなかったという声があがりました。

各町会長が会員に伝えるかどうかは、各町会にまかせているのだそうです。住民が知らない間にできて認定された協議会の会員になりたくてもなれない。これで、民主的なまちづくりができるでしょうか。

そこでうかがいます。

企業や一部の人や行政の発意で始まり、区民には情報も十分に提供せず、説明責任を果たさず、広く、自由な区民の参加の機会も与えられず、説明しても合意形成は行わず、どこで、どのような理由で決めたかも明らかにせずに行われる大田区の意思決定や税金の使い方でいいと思いますか。これも区長の裁量権なのでしょうか。

このやり方では、行政が大企業や大資本に、実質支配(コントロール)され、主権が区民から企業に奪われることになりませんか?

このようなやり方は、区政の私物化、行政の独裁であり、民主主義とは言えないことを強く警告し、質問を終わります。