リニア中央新幹線は、都市部の土地の地下を「収用」と言って、強制的にJR東海に使わせないと成り立たない事業です。

土地収用というのは、憲法に定められている土地の所有権という非常に重たい権利ですから、そうそう簡単に奪うことはできません。

権力が土地を奪った事例には、たとえば、大田区ですと、敗戦直後の羽田空港周辺住民にGHQが48時間以内に出ていきなさい、と言って家を奪った悲しい経験がありますが、これも「敗戦」という非常事態下にあったからです。
土地収用法と大深度地下法の土地収用の違い

土地収用法

現在、土地収用法という法律に基づいて行われる土地収用は、課題はあるものの、手続きが定められていて、

 

「公共の利益となる事業」について、「地権者を確定」し、「丁寧な説明」が行われ、それでも、合意が得られない場合には、「土地一筆ごと書面を作成」し「事前に補償」することで、その土地を公共の利益となる事業のために使わせることができるとされています。
大深度地下法

ところが、大深度地下法に基づく、深度地下利用は、本来、土地収用法に基づいて行う「地下の土地の権利」を、【土地収用法】でなく、【大深度地下法】という法律でJR東海に使わせます。

大深度地下法だと、
「事前の補償は不要」ですし、「土地一筆ごとの書面の作成も不要」です。

地下深くは使っていないところだから、良い、という理屈のようですが、だからと言って、憲法に定める権利が、法律で侵害できるわけがありません。
当時の国土庁は、政府の広報紙で、大深度地下法特集というのを組んで、法律制定の経緯や意味合いについて説明するとともに、この国民の権利を侵害するのだから、ということだと思うのですが、十分な説明をすると言っています。
ところが、地権者の方たち=リニアの計画路の真上に住む方たちにお話をうかがうと、聞いていなかった、知らなかったという方が非常に多いのです。
中には、亡くなったお父さまに説明したと、最近になって言われた方もいらっしゃいます。
法律制定の時に、国が国民に言っていた十分な説明は行われたのでしょうか。

私は、マンション紛争などで、説明が行われたかどうか、確認することがありますが、チラシをポストに入れて説明したことになっている場合が多く、気づかない方もたくさんいます。
リニアが地下を通る問題については、大深度地下法の法の制定経緯や趣旨から
①リニアが地下を通るとわかる資料か
②地権者に届いているか
③意見募集や公聴会など意見表明の場があったが、意見表明できることを知りえたか
④そもそも、大深度地下法に基づく地下使用というのがどういう法的意味を持つか、住民に説明しているか
などについて、説明が必要でしょう。

そこで、国土交通省にJR東海が、「誰に」「どのような説明」をしたのか、時系列にわかる資料について情報公開請求してきました。
公開されましたら、それをもとに説明が十分だったのか、考えたいと思います。