土地が投資財産化する社会の、公共空間としての公園の在り方=公園に保育園を作ってよいのか

公園条例は特別議決と言って、通常の過半数よりさらにハードルの高い、2/3以上の賛成がなければ可決することができません。それだけ、都市における公共空間が重要視されているということです。奈須りえは、ただ一人でしたが、公園の廃止条例に反対しました。

仲六郷保育園の建て替えに伴い、仲六郷二丁目や公園を廃止するための条例が提出されました。保育園建て替えに伴う仮園舎の建築用地として仲六郷公園を使うため、公園を廃止するという説明です。投資のための経済政策である、国家戦略特区では、待機児解消のために、公園を保育園用地としてよいという規制緩和も行われています。これと併せて考えれば、大切な保育園の建て替え用地だから公園を廃止、に賛成することは、経済のために公共の都市空間を犠牲にする根底に流れる公園という公共空間の軽視につながるもので、賛成すべきではないと考えました。
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第80号議案 大田区立仲六郷二丁目公園の廃止については、仲六郷保育園の建て替えに伴い、仲六郷二丁目や公園を廃止するための条例です。

公共施設や公有財産のあり方や管理の考え方が大きく変わろうとしています。

これまで、公の財産の維持管理は、公平性、公共性について厳密に運用されていましたが、昨今は、公益的でありさえすれば、管理者に優先使用や減免利用を認めるようになっています。

良いことをしているのだから、優先的に使わせよう、安く使わせようは、一見よさそうに見えます。しかし、「良いこと」で優先使用や減免利用を可能にすれば、ほとんどの経済活動は、「良いこと」になり、お金のあるもの、力のあるものが、私たちの公共施設(財産)を経済活動のために使うことを許すことになりかねません。線引きが非常にあいまいだからです。

待機児を理由に、保育所等の社会福祉施設について、一定の基準を満たす場合には、都市公園の管理者は占用を許可できるようになりました。公園に保育園を作ってよいと言っているのです。国家戦略特区の規制緩和の一つです。

一見、良いことに聞こえますが、過密な都市空間の貴重な公園を保育園に使わせれば、公共空間は減ります。

大田区は、現時点でも区民一人当たりの公園面積が基準(6㎡)に満たないみもかかわらず、さらに、待機児という需要な政策課題解決なのだから良しとすれば、私たちの住環境はさらない悪化します。

都市空間における、公園、学校、保育園、などは、計画的に配置されるべきで、そもそも、公園を廃止しなければ保育園を作れない異常な都市計画=政策的失敗を反省すべきです。

今回の公園利用は、公園を廃止し、保育園の仮園舎を建設するものですが、公有財産の今後の活用方針案には、活用しない施設を売却する、余剰容積率を活用するといった民間事業者の土地活用を想起させる文言があちこちにちりばめられています。

しかも、以前は行っていなかったことですが、老朽化した公共施設の更新に際し、大田区はプレハブの仮施設を使った更新が目立つようになりました。

一方で、民間の土地を緑のためにと購入し、もう一方で、保育園が足りないからと公園を廃止し、児童館が余ったら売却するという案を作る。

矛盾に満ちた土地利用を大田区はしています。

本当に公園を廃止しなければ、保育園は建て替えられないのでしょうか。
時期や建て替え地の検討、順番などさらなる検討をする必要なあるのではないでしょうか。

保育園の建て替えで、保育園をお休みすることは許されませんが、特に密集する大田区のような都心部における公園や公共空間の位置づけは非常に重要で、安易に公園を建て替え地に使うことは慎むべきと考え、公園廃止条例に反対いたしました。