改選後の大田区長の肉付け予算を、以下のように評価し、反対しました。

今回、補正予算に反対したのは50人の議員の中、私、奈須りえと生活者ネットだけで、のこり48人は全て賛成しています。

また、この補正予算の賛否に対し、反対討論したのは、私だけ。共産党と緑の党が賛成討論しています。

 
議案番号 件名 自民 公明 共産 民主 維新 次世代 フェア民 改革 ネット 無所属 結果
58 平成27年度大田区一般会計補正予算(第一次)
賛成討論

賛成討論
×
反対討論
× 可決

会派略称は次のとおりです。

  • 自民:自由民主党大田区民連合
  • 公明:大田区議会公明党
  • 共産:日本共産党大田区議団
  • 民主:大田区議会民主党
  • 維新:維新の党大田区議会
  • 緑:大田区議会緑の党
  • 次世代:次世代の党
  • フェア民:フェアな民主主義
  • 改革:闘う改革の会
  • ネット:大田・生活者ネットワーク
  • 無所属:大田無所属の会

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今回、討論は、区長の肉付け予算を取り上げて行いました。
(通常の補正予算の中にも問題の見えるものもありましたが、「区長の予算編成方針」に対して特に意見を述べる形にしました)

第58号議案「平成27年度大田区一般会計補正予算(第一次)」につきまして、反対の立場から討論させていただきます。

【区長らしさを反映させた予算の財源は基金=貯金の取り崩し】

今回の補正予算は、再選された松原区長らしさを反映させるいわゆる肉付け予算といわれる予算です。

本補正予算のなかでも、区長の肉付け予算の財源は、財政調整基金の取り崩しによって確保されています。

財政調整基金は、区政の計画的な財政運営を確保するための貯金です。

補正予算の私の質疑に際し、大田区は

「平成27年度予算は、骨格予算として編成したが、基礎的自治体として推進すべき施策事業については盛り込み、70万区民安全安心をまもり、福祉の向上をはかる役割を確実に果たせる予算とした。」

としたうえで、本補正予算は、

「政策的事業と状況の変化に速やかに対応するための経費を計上した」

と答弁しています。

【肉付け予算は基礎的かつ緊急性のある事業か】

それでは、税収の増える見込みの無い中、今回の補正予算に盛り込まれた事業は、財政調整基金を取り崩してまで行うべき「基礎的かつ緊急性の有る事業」だと言えるでしょうか。

たとえば、今回の補正予算には、根拠のあいまいな予算が多く見られます。
根拠があいまいということは、緊急性があるかどうか判断できないということでもあります。

【どう使うか決まっていなくても土地を2億8100万円で購入】

たとえば、補正予算では、老朽化した工場建て替え期間の移転用地として「工場建て替えなど促進のための土地購入費」2億8100万円を計上しています。

ところが、大田区は、この土地をどのように活用するかの方針すら定めておらず、現時点で、公表できる文書は無いと聞きました。
工場アパートのような建物を「大田区が」建設するのか、「事業者が」建設するのか、1200平米の土地を全て一事業者で使う程度の規模の事業者を想定しているのか、それとも、分割で使用するのかも決まっていなければ、挙句の果てには、建て替えにかかわり、土地交換するかもしれないとまで言っています。

【大田区が行ってきた計画の定まらない土地購入】

大田区は、これまで、「公用目的」で土地交換しながら、その後、目的を大幅にかえ、民間事業者に50年の定期借地権で大森駅前一等地を「普通財産」として貸し付けてしまっています。
蒲田五丁目区役所近くに使用目的のあいまいな土地を購入し、長期間放置させたあげく、私の指摘により、ようやく駐輪場を整備し、結局、民間事業者に売却してしまったこともあります。
また、羽田空港の跡地は3500万円かけて調査委託させてコンベンションセンターを置きこむプランを示し、国家戦略特区の提案に盛り込み、区議会は、平成25年にボストンのコンベンションセンターに視察にまで行っていますが、つい先日5月27日の羽田空港対策特別委員会で突然跡地活用の目的を大きく変えてしまうということも行っています。

区民の莫大な税金を使ってプランを示しても、何ら根拠も示さず、プランを大きく変えながら、プランの変わったことやその根拠さえ委員会で議会に示さない大田区ですから「工場建て替えなど促進」というあいまいな言葉をきいただけで、大田区の産業に資する土地購入かどうか判断することは到底できません。

【土地は活用方針を作ってから購入すべき】

しかも、土地の所有者は東京都で有り、特に緊急性を要するわけでもなく、じっくりプランを練り、方針を明確にしてから提出すればよい補正予算ではないでしょうか。
このようなあいまいな説明で2億8100万円ものの土地購入を許すことは、行政への白紙委任も同様であり、賛成するわけにはいきません。

【計画の無い無電柱化事業】

たとえば無電柱化事業は、都市計画道路の改良に伴い進めていると言いますが、景観や通行上の安全性などを考えれば、優先度の高い道路はほかにも数多くあります。
そもそも、大田区の無電中化事業に関る方針やプランがないなか、都市計画道路だからというだけで無電中化を認めるには無理があります。

議案質疑の際に、基本構想のもと、各種計画に基づいて場当たり的恣意的では無い計画的な執行が必要だという原理原則に対し、大田区は、「施設の整備にあたっては、公共施設整備計画や個別の計画に基づき行っていくことが必要。」だと言っている一方で、「社会経済状況に的確に対応していくことも重要」と言っています。しかし、だからと言って根拠も無く無計画に予算投入して良いにはなりません。

【そもそも計画的でない大田区の施設整備】

特に大田区の老朽化した公共施設の整備は、深刻な状況にあるにも関わらず、新規の取り組みに予算投入され、補修は先送りになるばかりです。

本庁舎10階の女子トイレの天井から雨漏りしているにもかかわらず、そのまま放置されているのにはたいへん驚きました。雨漏りによって、さらに施設が痛まないか心配です。こうした放置された施設整備の問題は、本庁舎の雨漏りに限ったことではないでしょう。

これまでも指摘しているとおり、区道の補修プランが計画的に行われていないなど、区道全体の適正な補修計画があってこその無電柱化であることを指摘しておきます。

【都区制度でも心配な二重行政】

また、今回の予算の中には、オリンピック・パラリンピック関連の予算が数多く計上されました。
議案質疑の際に、「大田区が支出すべき予算かどうかを都区財政調整制度における都の事務区の事務の視点からお示しください」に対し、
大田区は、

「オリンピック関連については、大都市事務かどうか都と特別区で明確な整理はしていない。区政にとって有益で、区民福祉の向上につながるため、区が支出すべき予算と判断したところ」

という答弁をしています。

大阪都構想で、大きな論点になったのは「二重行政」というキーワードでした。
大阪都構想では、都構想という都区制度に似たしくみになれば二重行政は廃止できると主張されました。

しかし、昨今の大田区政は、医療、労働など、本来都の事務として行うべき問題まで区の財政負担を伴い行なおうとしていないでしょうか。

【不足する社会保障サービス】

大田区本来の事務を十二分に行い、住民サービス供給量が足り、公平・適正に執行されていならともかく、たとえば、保育園も特別養護老人ホームも高齢者の在宅支援も地域で安心して暮らすにはサービス量が圧倒的にたりない状況です。

【数字ほど改善されていない保育園の待機児対策】

今年、154人に減った保育園の待機児も、小規模保育所に入った方や行く宮中の方を歳入しないなど待機児のカウント方法を変えたことによる数字のマジックで、昨年同様にカウントすれば420人になると聞きました。大田区は、今年度の待機児対策で420人を見込んでおり充足されるから問題ないと言うのかもしれませんが、認可保育園と認証保育所の保育料の差額の一部補てんを行っても、経済的負担の不公平は残ったままです。

しかも、子育てプランには、おかれている環境に応じてサービスを提供すると言った利用者の選別といった言葉もみられ、保育は公共が責任をもってサービス提供していた事業から、八百屋で大根を購入するような、「消費」に変わろうとしています。

国は待機児の問題が深刻になるたびに、認証保育所入所者を待機児童数に入れないなど、カウントの仕方を変え、問題をすり替えてきました。

表面上のみせかけの待機児数が減ったとしても、認可保育所と認証保育所の保育料や環境など区民のおかれている不公平な状況は残ったままでかわらず、多様な運営主体と言いながら、区民が選べる状況にはありません。

地方分権により、子育て、介護、障がいといった社会保障の責任の主体は基礎的自治体に整理されています。

【規制緩和でさらに厳しくなることが予測される基礎的自治体の社会保障】

国の規制緩和は、雇用をさらに流動化させ、医療を経済成長分野として位置づけたことにより、今後、医療保険料はさらに上がるとともに保険で担保される範囲は縮小し、企業の組合健康保険と国民健康保険の差はますます大きくなっていくことが予測されます。

私は、連合審査会において、日本の経済の中心、経済のけん引役とまで言われる東京都のしかも都心部に位置する23区の住民サービスが、なぜ日本で一番良いと胸を張ることができないのかという問題提起をさせていただきました。そして、そのなかの理由の一つは「都区制度」にあり、もう一つが、大田区の税金の使い方の優先順位に有ると考えています。
社会状況がかわり、財政構造がかわり、大田区の税金の使い方の優先順位をかえなければならないときに来ています。

大田区は質問に対し、
・少子高齢化の進行など人口構成に対する対応、
・首都直下地震、
・オリンピックパラリンピック、
・国家戦略特区
を4つの柱とする予算編成方針を示しました。

この方針では、厳しい財政状況下における優先順位をつけた社会保障の責任主体として責任を果たせる予選編成には程遠いと言わざるを得ません。優先順位ならぬ、選択と集中という言葉が、不要不急の課題に予算投入し、大田区が本来取り組まなければならない課題を先送りしていることの言い訳にさえ聞こえます。

区長は国家戦略特区を政策としてあげていますが、国家戦略特区における規制緩和による区民生活への影響を考えれば、緊急に取り組まなければならない問題は別のところにあり、到底賛成することはできません。