令和7年第2回定例会 主な議案や予算と≪奈須りえが考える≫ その意味や影響

政治課題と、課題解決のための政策との矛盾が大きくなっています。

政治が、課題を造り、その課題を解決すると言いながら、さらに、その課題を大きくしている事案が多いのです。

物価高騰や格差の拡大が、深刻ですが、課題の根本的な原因を明らかにしないまま、
減税する
現金等を給付する
無償化する
としても、対症療法にとどまり、根本的な問題は改善せず、問題がさらに深刻化します。

今回の議会には
そうした、物価高騰や格差の拡大や無償化などへの対策と言われている議案が
数多く見られました。

あらためて、
それらが、本当に、私たちが期待している
物価高対策や
格差の是正や
生活の安定につながるか、と言う視点で議案を検証し、賛否を決めました。

以下は、賛否の分かれた議案です

多くが賛成した議案についての、奈須りえが、なぜ、賛成しなかったか
ご報告します。

 

【令和7年度大田区一般会計補正予算(第2次)】

定額減税(調整給付)定額減税不足額給付 15億6,975万円

今回の補正予算で、定額減税の補足給付に約16億円が計上されていますが、
減税しても、その後、所得が増える確証はありません。

現金給付は区民にとってうれしいことですが
現実には、国も区も、国に追従し、インフレ(物価高)に誘導していますから
本気の給付でないことは明らかです。

賃上げと言いますが、
大田区が答弁した通り、本来、「企業の賃金水準については、各企業の経営者が判断すべきもの」です。

では、なぜ、かつては保てていた、賃金水準が、下がったかと言えば、
終身雇用の崩壊や派遣法など雇用規制の緩和があります。

加えて、
公務員賃金が民間賃金の基準になって
民間賃金が下がり過ぎないよう、抑止になっていましたが、
人事院勧告が、公務員賃金を民間賃金に連動させるようになったので
官民ともに、賃金が下がるばかりです。

加えて、公的分野を営利企業に開放したことで
責務と能力に見合った、生活に必要な水準の賃金だった
公務労働を失いました。(人事院勧告で官民給与の引き下げ合戦が拍車をかけています)

仮に、今回のような現金給付を繰り返さねばならないほど、格差が広がっているのであれば、なおさらに、単に、現金給付を繰り返すのではなく、所得を下げてきた構造をもとにもどすべきです。

対症療法の減税と言う名の給付でなく、公務員賃金を民間賃金の指標とし、民営化に歯止めをかけるべきです。

呑川合流改善貯留管設置工事に係る安全・環境対策費 1億3,153万円

呑み川の貯留管設置工事で
20m掘ったら、帯水層だったので、トンネル工事の掘り始めの地盤を
土壌改良工事で固化するための費用です。

陥没事故が増えていますが
掘って初めて地質がわかったと聞くと、調査不足が心配ですし
土の中は何があるかわかりませんからなおさらに、心配です。

相鉄東急直通線、外環道、八潮市ほか、道路陥没事故が相次いでいますが、これらに欠落しているのが、振動は表層地盤に伝わるに加え

・地表や地中を建物やコンクリートで覆えば雨水の地下浸透を阻害する
・開発やシールドマシンの掘削で地表や地中の地盤は固化されている

など、雨水浸透や地下水脈に影響を及ぼす問題です。

雨水が地下浸透しなくなり、地下水脈が変われば、
陥没のリスクだけでなく、
樹木や地表からの水蒸気の蒸発による気化熱も減りますから、
温暖化も含めた十分な解明が必要です。

自然を人工物で固めてしまうのは、もう限界で反対です。

【大田区特別区税条例の一部を改正する条例】

物価で収入が増えた子がいる、親の税負担を軽くするため、
措置特定親族特別控除を新設するための、税制改正です。

日本は、夫婦別姓などもそうですが、

世帯単位の賃金・年金・税制・社会保障等から

個人単位に変わってきています。

今回新設される、「特定親族特別控除」は、この流れに反する世帯単位の控除で、違和感を感じます。
シャウプ勧告に逆らっているのです。

私は、個人単位の税制が必ずしも、良いとは考えていませんが、内容をみると、問題がみえてきます。

 

特定親族特別控除の新設は、物価で収入が増えた子がいる、親の税負担を軽くする措置と説明されましたが、

物価上昇に足りない、わずかな賃金の上昇で、1.7倍も控除の枠を広げ、
19歳から23歳の学業が本文の大学生等の
労働力をより確保しやすい環境をつくっています。

政治がすべきは、学生等が長く働ける税控除の枠を拡大するのではなく

年間、1000時間も働かなければ、学べない高い学費や、親の所得水準を改善することで、
控除枠を拡大し、長時間働かせるようにする対症療法には反対です。


【大田区コミュニティセンター羽田旭条例の一部を改正する条例】

大田区は、廃校後の旧羽田旭小学校を産業創業視線施設とコミュニティセンター羽田旭として活用してきました。

この学校敷地を、50年の定期借地権で民間企業体に貸し出し、
そこを企業体が、マンション+商業施設、工場アパート、コミュニティセンター羽田旭などの開発し、
一部区施設として使用する事業が始まっています。

改築前のコミュニティセンター羽田旭は、小学校の跡地を利用してきたため、補助金の関係もあり、より公共性の強い施設として利用されていました。

それが、今回、周辺の開発に伴う改築に伴う条例改正で、

営利目的で使ってもよくなり
区長の裁量で、優先使用も可能です。

営利目的でも、優先的に使える施設になってしまったのですから
公共施設の位置づけから、民間の施設のようになり、双方の違いが見えなくなりました。

大田区は、他の区施設と同じだと答弁しますが、そうだとすれば、税金で作った区の公共施設が、営利目的の民間施設化してきているということだと思います。

基本構想で、主権者である区民と企業が同列で論じられていますが、それ以外の区民や団体や企業や事業者との公平性は、どう保たれるのでしょう。

そもそも、公共用地や公の施設の活用や使用の在り方に不明点や問題が多く、営利目的の使用が許されているにもかかわらず、明確な歯止めが無いため反対といたします。

 

【大田区保育の必要性の認定等に関する条例の一部を改正する条例
大田区特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例
大田区家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部を改正する条例】

 

今回の条例改正で、東京都の補助金をもとにする無償化による第一子の無償化で、基本、子育て支援に関する保育園や幼稚園の月額費用負担がなくなります。

物価があがり、所得が物価に連動して上がらない状況の中で、行政サービスが無料になることは、良いことにように感じるかも知れませんが、
経費は、0ではなく税や、私費など、必ず、誰かが、なんらかの負担をしています。

無償化を注意深くみると、こども関係の無償化がほとんどだということに気づかされます。

高齢者とその家族は、介護保険料と介護サービス使用料の負担に悩まされていますが、減免策はあるものの、応能負担を理由に、保険料も本人負担もあがるばかりです。

高齢福祉の状況と、子育て支援の無償化は、明らかに異なっていてなぜかと思いますが、
子育て支援をすると、労働力を確保できるからなのかも知れません。
だとすると、行政は、何らかの見返りが無ければ、タダにしないということです。

 

今回、無償化の税負担をする東京都は
国に負担を求めると言っていますし

国は、

国が、こども子育て支援金制度と言うしくみをつくり
子育て支援費を社会保険料で負担する可能性がある

ので心配です。

保育料を東京都が負担して、タダになると思って賛成しても、
(私が)こども保険と呼ぶこのしくみで負担することになると

あとから、医療保険の被保険者すべてに保険料アップという請求が来るのですから、
タダだから良いと手放しで喜べません。

🔴私たちは、広く、健康保険料で、タダになる保育料を上乗せ負担することになります
🔴国民健康保険であれば、国・都・区
🔴企業の保険であれば、保険者(企業に)
負担が生じることになります。

🔴社会保険料は企業にとってコストですから、利益を確保するため、賃金を減らされるかもしれません
🔴多くの企業の健康保険組合は赤字経営ですから、特に中小企業の廃業など経営に及ぼす影響も心配です。

無償化しても
全ての世代が負担する「こども保険」に保育料負担が移行する可能性が高いことから、
無償化が必ずしも未来永劫の無償化といえず、説明不足で、反対です。