大田区が設置した防犯カメラは6年で3倍、【監視】で安全・安心はつくれるか
臨時議会に、防犯対策として機器への補助4億4156万3千円が計上されました。防犯も安全も大切ですが、一方で、経済的困窮状態を政治が放置しながら、大田区では、6年で3倍に増えた防犯カメラ等をさらに増やして監視し、区民の真の安全・安心はつくれるでしょうか。
大田区の今回の臨時議会で、住まいの防犯対策緊急補助事業として、匿名流動型犯罪グループ、トクリュウと呼ばれる、SNS等を利用して実行犯を募集する手口による特殊詐欺・強盗等の対策などとして、防犯カメラや防犯フィルムなどへの補助、4億4156万3千円が可決しました。
報道や警察のHPは、背景に、暴力団や、暴力団と密接に関係する準暴力団の存在を示唆しています。暴力団に所属する構成員も、組織に属さないが活動に関わる準構成員も、昨年度末で、19年連続で減少していますし、犯罪件数も、ここ20年、減ってきています。

法務省犯罪の動向より
https://www.moj.go.jp/content/001410100.pdf
犯罪の抑止に重要な「教育・経済等」根本的対策
コロナで一時的に落ち込み、それが元に戻る形で増えていますが、これらを合わせて考えると、犯罪の抑止に、SNSなどを通じ安易に闇バイトで実行役とならないよう教育することや、経済的困窮に陥らないよう支援するなどの方策も、極めて重要であることがわかります。
対症療法だけの大田区の防犯対策
そこで、大田区に、【機器による防犯対策は、結果として、区民同士が、監視し合うことにより抑止になっている部分が大きいが、それ以外に、犯罪を抑止する方策として取り組んでいることはあるか】と質疑しましたが、大田区の答弁は、防災所管の対症療法の抑止にとどまり、
・背景にある不安定で低賃金な雇用労働環境や、賃金
・それに対し、高くなるばかりの物価
・人間関係の希薄化
などへの対策はありませんでした。
大田区が拡大してきた低賃金労働
それどころか、これまで大田区は、
◆国の雇用労働規制の緩和政策に追従して民営化を進め、窓口業務を派遣会社に委託し、
◆会計年度任用職員を登用し、
◆◆不安定雇用、低賃金労働を拡大させていますし、
民間との給与引き下げ合戦を助長した人事院(委員会)勧告
追従した大田区
国と特別区の人事委員会の勧告ではありますが、
◆官民格差是正に特化した勧告に従ったことで、公務員賃金が、民間賃金の指標とならず、官民の賃金の引き下げ合戦を招いています。
物価高へ誘導する公共需要の激増
◆公共施設改築改修等中期プランを改定し、公共施設だけで実績平均134億円を、2027年までの5年平均で倍以上の291億円にしています。
背景には、国の技術的な助言による全国自治体への公共施設等総合管理計画の策定等に関する指針などがありますから、資材高騰、物価の高騰に拍車をかけるでしょう。
犯罪に手を染めることは許されませんが、一方で、行政や政治が経済的困窮に誘導しながら、そこへの反省も対策もなく、機器への補助をすることで区民間の監視による抑止を高めて犯罪を抑止するだけというのは、あまりに悲しいことです。
6年で3倍に増えた大田区補助の防犯カメラ
2019年に1031台だった「大田区」と「区の町会・商店会設置」の防犯カメラの台数が、今年1月には3700台で3倍に増えました。
防犯カメラだらけのまち
店舗など民間企業の設置するカメラを加えれば、まちは、防犯カメラだらけです。
さらにカメラやカメラ付インターホンなどに助成し、どこまで私たちは監視し合わなければならないのでしょう。
根本的な改善策なく、機器で監視を拡大すれば、ディストピアSFと言われるジョージオーウェルの小説「1984」の監視し合わせる世界が、現実になるようで怖くなります。
補正予算には、反対しました。