戦時体制下、強固な国民支配組織として使われた「隣組」を復活させないために

戦時体制下の隣組とその廃止

隣組は、戦時体制下、行政の下部組織として位置づけられていましたが、敗戦後に、廃止されています。

ネットで調べると、

家族や地域のつながりを、行政が、強固な国民支配組織として使っていた。
戦時生活の物質的・精神的統制を行なおうとしていた。

これらの機構は内務官僚の指導のもとにきわめて強固な国民支配組織として機能するようになった。 42年8月には大政翼賛会の下部組織として位置づけられた。 47年マッカーサー指令に基づいて廃止された。(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

 

連帯責任制のもと戦時生活の物質的・精神的統制を,地方官庁,町内会・部落会を通じて行おうとした。(百科事典マイペディア)

 

などと書かれています。

 

西洋のキリスト教社会ような一神教が根付いていない日本において、国の国民への意思伝達手段(よりもっと強固なものだと思いますが、)として、町会などの地縁組織が「隣組」として使われていたのでしょう。

 

ところが、大田区では、近年、自治会町会を行政の下部組織的に使うようになっています。

大田区は、2016年に大田区地域力を生かしたまちづくり条例を改正し、自治会町会に、財産権に関わる承認権を与えています。

 

任意団体に財産権に関わる承認権をあたえる前代未聞、大田区のまちづくり条例改正の問題点 – 大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から! (goo.ne.jp)

 

 

これは、条例制定当時、日本全国でも初めてだと、当時、相談したまちづくりに詳しい弁護士や大学教授から指摘を受けました。

 

大田区は、包括連携協定で、企業との連携するずっと前に、条例で、自治会町会に、大きな権限を与えているのです。

 

ひとくちに承認を求めると言っても、
・町会長が承認すれば町会が承認したことになるのか、
・町会の会員にはかるのか、
・その際には役員会などで合意形成の場を持つ必要があるのか、

など、あいまいです。

自治会町会の組織率の低下が問題になっていますが、地域の住民の何割以上が自治会町会に参加していること要件とするか、などもはっきりしません。

 

場合によっては、会員が過半数をきる町会であっても、残りの過半数以上が希望する地区計画の提案を理論上は拒否できるという条例改正でした。

 

ところが、いま、大田区が策定中の基本構想のデータブックに、地域の課題として、

自治会町会の加入率の低下や高齢化があげられていました。

しかも、自治会町会の加入率が低いから、地域のつながりが希薄化していると書かれています。

地域のつながりが希薄化しているから、加入率が低いのですから、大切なのは、どう、地域コミュニティを再生するかだと思います。

それを逆にしているのです。

いま、策定中の基本構想でも、自治会町会の組織率の低下を課題としていますが、いち任意団体の組織率向上を、行政が取り組むことは、自治会町会を、戦前の隣組のように、大田区の下部組織として位置づけることにつながらないでしょうか。