少数会派には委員会も選ばせない大田区議会大会派のやり方はフェアな民主主義か
議員になって、会派というのがあって、それが議会活動に大きく影響していることを知りました。
代表質問は交渉会派(現在4人)しかできませんし、総務財政委員会も議会運営委員会も基本交渉会派しか入ることができません。
都議選のあと、お二人なくなったこともあり、区議会の現員数が45人で、常任委員会の定数が10人だと、少数会派でも選べる可能性があったのですが、委員会の定数を10人から9人に減らして、それさえ選べないようにしてしまいました。
特別委員会も、交通臨海部特別委員会も少数会派が2名入れるはずでしたが、メンバーを確認した後で、1名定数を減らし、少数会派の人数を制限してしまいました。
民主主義は、意思決定の場面で多数決を採用することがありますが、運営方法まで多数決で決めると、多数派に有利な運営方法も可能です。
これが続くと、少数意見が排除され、全体主義が進むのではないかと心配です。
以下、討論です。
フェアな民主主義 奈須りえです。
委員会提出第2号議案 大田区議会委員会条例の一部を改正する条例につきまして、反対の立場から討論いたします。
この議案は、大田区議会の委員会条例第2条2項に定められている常任委員会の委員の定数を現在の10名から9名に変更するための条例改正です
地方政治は、議院内閣制の国政と違い、二元代表制で首長と議員とが別の選挙でえらばれています。しかし、現状の大田区議会の議会運営の在り方は、会派を中心に運営されるミニ国会のようです。
議員になって、議会運営や情報公開の在り方で、民主主義は多数に有利に運営することも可能だと気づかされました。
発言の順番も、委員長などのポストも、委員会報告も、区議会便りの紙面構成も内容も、数に応じて配分されるため、数の多い会派の意見が区民の目に触れやすくなっています。
委員会を選ぶのも、大会派が先に選んで残った委員会から少数会派は、選ぶことしかできません。
しかも、今年は、いったん調整し、少数会派がどこの委員会を選んだか大会派が確認した後に、少数会派の枠を減らした委員会もあります。委員会のメンバーをみて、拒否されたかのようです。
そういうなかで、今回、常任委員会の定数を10人から9人に減らす条例改正案が出されています。
定数50名の大田区議会には、5つの常任委員会があり、長い歴史的な経緯の中で、常任委員会の定数を10人としてきました。
委員会の名称の変更はありましたが、定数を減らしたことはなかったと聞いています。
委員会の定数を減らすと、少数会派が選択する委員会がさらに狭まり、入りたい委員会にさらに入りにくくなります。
なぜそこまでして、委員会構成を多数会派できめ、少数会派の議員の所属委員会を門前払いするようなことをするのでしょうか。
大会派は、各委員会において会派の意見を表明することが可能ですが、少数会派は人数分の委員会にしか所属できず、その委員会での意見しか申し述べることができません。
委員会の数に満たない会派の意見は、すべての委員会の議題について申し述べることができませんが、その委員会さえ大会派が調整することを許せば、審議に大会派の意向が加わることになります。
多数決で大田区議会の運営のルールを決めるようになっています。これまで、少しずつ制限が加わっていたものの、時間の制限を設けてこなかった議案の質疑や討論ですが、本臨時会から、制限がかかるようになっていますが、これも、共産党以外の大会派が多数決で決めたことです。これにより、少数会派の中でも一人会派の発言が大きく制限されました。
今回の委員会条例を改正する案も、議会運営委員会の中で、全会一致ではなく多数決で決められたことです。
大田区議会が、長い歴史的な経緯の中で行われてきたことが、正当な理由なく、多数決でいとも簡単に変更されるようとしていますが、議会運営を多数決で変え始めれば、多数派に有利な議会運営も可能です。
全会一致でなければ議会運営は変えないという議会もあります。。
しかも、変えている内容は、少数意見を排除し、現状に異を唱える声を、議会・委員会で発しにくくすることばかりです。多数会派が議論する前から、異論の出にくい、出ても少しだけに制限する議会・委員会審議の流れを作ってきています。大田区議会は、誰のため、何のために、結果として少数意見に制限がかかるような議会運営をする必要があるのでしょうか。
正当な理由なく多数決で異論を排除し、少数意見が議会で表れにくくすることを決めることを許せば、この流れが加速し、民主的な大田区議会が、全体主義へ傾いていくのではないかと心配です。
いま、NHKの17歳の帝国というドラマで17歳の閣僚が議会廃止を提案しています。有権者の想いのどこかにある議会そのものが無駄だという気持ちをドラマが救い上げているのだと思います。こうした有権者の気持ちに寄り添うためには、区議会が異論を排除するのではなく丁寧に時間と手間をかけ議論を尽くすことだと思います。
平成18年2006年に地方自治法がかわり、複数委員会に所属することが可能になっています。いま、大田区議会がすべきは、定数の削減ではなく、常任委員会の定数を増やし、委員会開催日を同日ではなく分けることで、複数の委員会に所属することを可能にして、議論をさらに闊達にすることです。
以上を持って反対討論といたします。