ある弁護士さんから、こんな会議が有りますよとご連絡をいただいた。
調べてみると、「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)」 にたどりついた。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/index.html
行政情報を、どう商売に使おうかと考えているのじゃないか?
預金口座(という民間情報)まで対象にといった報道もある。
http://www.asahi.com/articles/ASG485DZFG48ULFA01L.html
議論が深まることを望む。
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マイナンバー(社会保障・税番号制度)について内閣府のHP には こんな風に書いてある。
【導入主旨】
番号制度は、複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるということの確認を行うための基盤であり、社会保障・税制度の効率性・透明性を高め、国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤(インフラ)である。
簡単言うと、
マイナンバーは、国民に背番号をつけて、効率的にだれでも見られるようにして、国民が便利で公平な社会をつくるための制度。
で、その効果は、
【効果】
①より正確な所得把握が可能となり、社会保障や税の給付と負担の公平化が図られる
②真に手を差し伸べるべき者を見つけることが可能となる
③大災害時における真に手を差し伸べるべき者に対する積極的な支援に活用できる
④社会保障や税に係る各種行政事務の効率化が図られる
⑤ITを活用することにより添付書類が不要となる等、国民の利便性が向上する
⑥行政機関から国民にプッシュ型の行政サービスを行うことが可能となる
このあたりは、行政情報を読みなれていないと感じられないかもしれないが、長い間、議会活動してきた経験から、私ならこんなところが気になりながら読む。
①正確な所得把握が可能になるのは誰か?⇒行政「だけ」なのか。主語が無く民間事業者も可能では?
②だれが真に手を差し伸べるべき者なのか⇒民間事業者にとってのサービス供給対象ではないか?
③②を裏付けるように、③では「大災害時」とあるが、②には行政サービスなどと限定されていない。
こうした場合の、順番というのは、実は重要で、良く言われている、税や保険料をきちんと取る、は、4番目。災害時の活用は3番目だし、国民の利便性は5番目だ。
私が心配しているピンクの部分が、1,2番目になっているのだ。
で、私は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略t本部(IT総合戦略本部)で、把握した情報をどう民間事業者が「合法的に」活用できるか、検討しているのではないかと思っている。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/index.html
ここにも、言葉の理解の違い、同床異夢ならぬ、同じ日本語でありながら、ことなった把握しているところに問題があると思っている。
もう一つ気なるのが、⑥のプッシュ型行政サービスだ。
古い議事録だが、平成22年10月28日(木)の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部第2回 電子行政に関するタスクフォース 議事要旨に以下のような発言が有る。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/denshigyousei/dai2/gijiyousi.pdf
IDの個人情報を保護することは非常に重要であるが、ただしそこで考えられているものは、自由で自律的な国民が国家の干渉を受け20世紀前半までに悲惨な経験をしたため、それに対して如何に国民の自由を守るかという観点から述べられている権利だと思う。
20世紀の後半に入って、それに加えて福祉国家の時代になってから、特に社会的弱者に対して国家がきちっと生活を保証する、またその保証を求める権利を国民に保証する時代になってきた。
その場合、具体的には認知症の一人暮らしの高齢者の方にも確実に福祉サービスを提供しなければならない。医療を提供しなければならない。
このためにはいわゆる国家の介入を遮断する権利の保護だけではなくて、そういう人たちにまさにプッシュ型のサービスを供給していかなければいけない。そのためのきめ細かく行き届いた仕組みをどうするか、これが現代国家の責任だと思う。
これだけ読むと、非常に良いことを言っている。
いわゆる、申請主義と言って、権利が有っても、本人が役所に申請しなければ権利が発生しないという考え方を改めて、サービス受給権利を持つ国民に政府が積極的にサービ提供しようと言っているのだ。
しかし、私は、ここでも懐疑的だ。
なぜなら、オレンジのプッシュ型サービスをしなければならない国家の把握(=黄色マーカー部分)が、誤っているからだ。
日本は福祉国家だろうか。少なくとも、それを目指しているだろうか。
国家が社会的弱者にきちっと生活を保障しているだろうか。
保障を求める権利を国民に保障する政府になっているだろうか。
全てNO!
全く逆だ。
昨年の生活保護法改正をみても、政府の政策の不備により、社会的弱者にならざるを得ない国民に対し、自己責任、努力不足と、支援と称し、最低賃金以下で働かせるしくみを作る状況を考えれば、プッシュ型サービスが、福祉国家の実現のために提供されるとは決して思えない。
生活保護者の家族を捜し、支援を求めるといった、家族の連帯責任を強めることにならないだろうか。
私も議事録の存在に気付いたばかりなので、ぜひご一緒に、行政情報をどのように活用しようとしているのか、検証してみましょう。
*以下、三鷹市で、マイナンバーについて質問した嶋崎議員に対しての三鷹市長の答弁を要約したので、参考にのせておく。
マイナンバー制度が、個人情報の宝庫である自治体でなく、国にゆだねられていること。
しかも、国ではなく、第三者機関「特定個人情報保護委員会」により管理監督されていること。
はわかったものの、運用基準やルールは全く知らされていない。
一体だれがどこで決めるのか。
結局、国民は、個人情報の集積されたデータベースの運用について、たとえば審議会とはいえ選挙で選ばれてもいない人たちに、白紙委任してしまったことになっているとは言えないだろうか。
不安が尽きないマイナンバー制度だが、それでも、ここまで答弁する情報公開の姿勢や、実際の職員との取り組みなど見る限り、三鷹市は誠実に取り組んでいると思う。
大田区がどこまでやっているんだろうか。
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共通番号制は、国の制度。三鷹市の意思決定で無いところで決められた。
しっかり情報収集している。
国が構築するので、運用範囲においての責任は国。
情報連携に必要な情報提供ネットワークシステム、インターフェイスシステム、個人番号歩番等システムなど新たに構築することになる。国の定めた仕様により国が構築。運用範囲においては、国に責任がある。
2014年4月より地方公共団体情報システム機構が運用を行う。
自治体職員は、番号制度における情報連携として、情報照会と情報提供の業務を行う。制度にかかる運用は、番号制度における個人情報保護を目的として、 2014年1月に新たに設置された第三者機関である、「特定個人情報保護委員会」によって管理・監督される。違反があれば罰則がある。
事業を行う自治体職員と国のシステム運用している地方公共団体情報システム機構システムの厳格な運用ルールが課せられる。
国システム管理者と実務担当者が運用ルールを遵守することでセキュリティーが保たれるということになる。
国は平成25年秋より都道府県担当対する説明会開催。全国市長会共通番号制度検討会の座長を務めていたので内閣府の説明を直接聞き続けてきた。一般には基 礎自治体は都道府県より資料提供という形で説明をうけている。希望すれば国の担当者が説明に来る。三鷹市は昨年6月19日全庁的なプロジェクトチームとし て社会保障税に関る検討チームを立ち上げ総務省自治行政局住民制度課長に来てもらい、説明会を実施した。25年度は制度の詳細をつめる期間だった。職員が 最新の情報により制度を理解できるよう三鷹市職員のための番号制度導入ハンドブックを作成し情報共有に役立てている。