指定管理者の指定の議決が年度開始直前の第一回定例会にずれたことについて、奈須りえはこう考える

公の施設の維持管理を民間事業者に行わせる指定管理者制度は、事業者の指定に際しては、議決が必要です。

これまで、年度開始前の12月に開催される第四回定例会で議決していましたが、今回、事業開始の直前2月末の第一回定例会に議案が送付されました。契約開始直前に指定が決まることは、職員の募集や引継ぎなどに影響がでる恐れがあり、問題です。仮に、議会が否決すれば、事業への影響も少なくありません。可決を前提にした議会軽視の議案送付とも言えます。

以下、討論です。

___________________________________________

 

第23号議案青少年交流センターの指定管理者の指定について

第24号議案大田区立大森スポーツセンターの指定管理者の指定について

第25号議案大田スタジアムの指定管理者の指定について

第26号議案大田区賃貸工場の指定管理者の指定について

第27号議案大田区中小企業者賃貸住宅の指定管理者の指定について

第28号議案大田区創業支援施設の指定管理者の指定について

第29号議案大田区産業連携支援施設の指定管理者の指定について

反対です。

反対の立場から討論いたします。

指定管理者の指定について大田区ではこれまで、第四回定例会で議決してきました。

今回、これらの議案は、第一回定例会で議決することになります。

第四回定例会で議決することには意味があります。

これまで第四回定例会で議決していたのはなぜかという質疑に、大田区が、円滑に導入するためと答弁している通り、事業者を選考したのち、人を募集したり、業務の引継ぎをしたりと言った時間が必要です。

第一回定例会に上程すれば、

・否決された場合運営に支障がでる

・引継ぎ期間がとれない

・職員の確保ができない

など、様々な問題があります。

 

区は支障の無いよう説明し、配慮すると言いますが、第四回定例会なら、仮に否決されても、直営で運営するなど、時間的な余裕がありますが、第一回定例会では、難しいと思います。

私は、大田スタジアムの改修の際、改修期間、施設が使えないだけであり、廃止する必要は無いにもかかわらず、条例を廃止したことを問題であるとして、大田スタジアム条例の廃止に反対しました。

一連のスケジュールの遅れは、必要のなかった条例廃止は影響していないでしょうか。
条例手続きの不備も指摘しておきます。

 

また、大田区は、指定管理者の指定は今後も第一回定例会で行うか。それとも今回限りか。

の質疑に対し、個々の状況を踏まえて適切な時期に、と答弁していますが、適切な時期は第四回定例会で第一回定例会はあり得ません。

 

指定管理者の指定は、あらかじめ、時期も決まっていて、いつ募集するのかのスケジュールも、契約期間の開始から逆算すれば、いつ何をすべきかは明らかです。

にもかかわらず、今回、7つもの施設が第一回定例会での指定議案を送付しています。

何が起きているのでしょう。

 

そのうえ、

第23号議案青少年交流センターは、

他の施設は、契約時期と運営開始時期が同じにもかかわらず、青少年交流センターだけ、5月に施設の指定管理者を始めると言っていて、期間が3年11か月と中途半端なうえ、施設の区民利用の開始は、他の施設と異なり10月からと聞いています。

また、

第26号議案大田区賃貸工場

第27号議案大田区中小企業者賃貸住宅

 

は期間が3年ですが、

 

第28号議案大田区創業支援施設

第29号議案大田区産業連携支援施設

は期間が2年、で、期間に違いがありますが、期間の違いの明確な説明がありません。

男女平等推進センターとコラボ大森が施設の在り方を検討するという理由で、期間を短くしたことがありましたが、検討内容も結果も示されませんでした。

期間を短くするなら、その理由を示すべきですし、施設運営についての検討をするなら、課題を明らかにしたうえで、調査し、その報告書も作成すべきです。

安易な期間の設定も問題です。

一方で、

指定管理者制度導入の当時は、事業者の応募資料について議会に情報提供されていましたが、一昨年は課長が資料をもって説明に来たものの資料提供はなく、みただけ。昨年に至っては、情報提供しないことにしたと説明を受けました。

民営化したら経営内容は民間のノウハウで、選考理由さえ説明されないなら、それだけで税金投入にはふさわしくありません。

大田区は、様々な場面で、説明責任をはたさなくなっています。

民間のノウハウを守秘義務として公開しない、できないなら、その時点で民営化を採用することは誤りです。

少なくとも、大田区が事業者の立場に立って、事業者を守り、区民から情報を遠ざけるようなことはすべきではありません。

反対いたします。