松原区長!今期も残すところ1か月なのに福祉・教育で余ったお金を蒲蒲線に10億円も積み立てるんですか?

大田区は、3月まで一か月になったこの時期に、余った予算を蒲蒲線に積み立てる補正予算の提案をしました。このまま期の最後まで残せば、半額は翌年に繰り越され、残りの半額は、使い道の自由な財政基金に積み立てられることになります。
あえて、この時期に、色のついていないお金に色を付け、蒲蒲線に10億円積み立てるほど、福祉や教育は足りているでしょうか。
そもそも、蒲蒲線は必要でしょうか。

区長は、自分で3期でやめると言いながら、それをくつがえし4期もやることに決めました。財政の政治利用、選挙利用ではないでしょうか。

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以下、議場での補正予算反対討論

フェアな民主主義 奈須りえです。

第5号議案「平成30年度大田区一般会計補正予算(第4次)」について反対の立場から討論いたします。

区長の最も大きな権限の一つが予算編成権です。補正予算は、予測しえない事態に対応する場合の予算のはずですが、補正予算を編成することが常態化してしまっていて、本来の財政民主主義から言えば、好ましくないことです。

今年度、大田区は、これまで3度の補正予算を計上し、この第四次補正予算が平成30年度予算の最後の補正予算になります。

 そこで、当初予算と補正後の予算の性質別歳出や、目的別歳出における割合の変化を質疑しました。

 補正予算前とあととで、わかるのは、平成30年度の場合、臨時会に計上した165億円の跡地購入費が、性質別歳出、目的別歳出に大きな影響を及ぼしていることです。

 当初予算の目的別歳出では、福祉・保健費は57.7%で、まちづくりは9.4%でしたが、臨時会で成立した跡地の購入費が大きく影響して、福祉保健費は57.7%から55.7%に減りますし、まちづくりは、9.4%から14.4%に大幅に増えることになります。性質別歳出だと、公有財産購入費が0.3%から6%に大幅に増加しますがこれも、跡地の購入費165億円の影響です。

 当初予算計上の時点で、跡地購入はわかっていたにも関わらず、計上しなかったことで、目的別、性質別歳出割合は大幅に変わってしまいました。

 それでは、区長が提出した当初予算から、補正予算編成までの間に、災害や経済状況の変化があったのかと言えば、そんなことはありません。

「これらの変化は、補正予算計上における、当初予算計上後の、どういった変化に対応したものですか。災害ですか、経済状況の変化ですか、それ以外ですか。それが、当初予算計上時に予測しえなかったのはなぜですか?」

 と質疑しましたが、この質疑に対する答弁はありませんでした。

 災害も起きていませんし、経済状況も跡地購入を必要とする変化は起きていないからです。

 そもそもの大田区の補正予算計上の在り方には問題があります。

 毎回、最終補正予算で、期末までに使いきる見込みのない事業の減額をしていますが、今回、気になるのが、特定目的基金への積み立てを行っていることです。

このまま、基金に積み立てなければ、残った予算の1/2は次年度に繰り越され、残りの半分は、使い道の定まらない財政調整基金に積み立てられることになります。

今回のこの補正予算で蒲蒲線、新空港線に積み立てたことで、福祉にも教育にも使える予算10億円を、蒲蒲線にしか使えないようお金に色を付けてしまったのです。

大田区も認めているように、基金は計画的に積み立てられるべきものですが、平成30年度も残すところわずか1か月の最終補正で、しかも、財源は福祉や教育など余らせた予算です。余ったから積み立てよう、というような安易な積み立てが許されるでしょうか。

使いきれなかった福祉や教育費ですが、認可保育園と認証保育所の保育料の差は歴然としています。介護保険では、大田区は要支援の方たちを1年で「卒業」という名のもとにデイサービスやヘルパー利用を打ち切ろうとしているなか、多くの自治体が独自の支援を決めています。

認可保育園と認証保育所との保育料の差、認可保育園の不足、障がい者へのヘルパー派遣や親なきあとの問題など、正規の先生の不足など、そもそもの福祉や教育の需要に必要な事業は必要量予算計上せず、行う限定的な事業に多めに予算計上すれば「余っても」区民に必要な福祉や教育の環境が整わないのは当然です。

限定的な事業の予算を多めに計上して福祉費や教育費を膨らませて体裁を整え、最終補正で使いきれなかった予算を大規模プロジェクトに振り分けることもできるわけです。

質疑で、補正予算計上における、当初予算計上後の、予測しえないどういった変化に対応したものか。災害か、経済状況の変化か、聞きましたが、答弁できませんでした。

羽田空港の跡地165億円は当初から見込んでいた支出で、予測しえない変化に対応した予算計上ではないのです。

区長は、3期でやめると自ら条例を制定しながら気が変わって4期目もやると言っています。

そうした中で、まだ、事業認可されていない蒲蒲線(新空港線)に当初予算ではなく、年度残すところわずか1か月というこの時期に最終補正予算で10億円積み立てようとしています。

区の決意を内外へ示すために積み立てるということですが、事業化のための合意形成さえされていない状況です。言ってみれば利害関係者に対する政治的なアピールで、補正予算編成の原則を逸脱した予算編成権の政治利用、もっと言えば、選挙利用と言うべき問題のある計上です。

そもそも、蒲蒲線はJR蒲田と京急蒲田を結ぶ路線の整備のはずでしたが、今や埼玉県から羽田への鉄道乗り入れという、首都圏の一大鉄道網整備事業にかわり、名前もそれをあらわす新空港線に変わっています。

埼玉県から羽田までの鉄道網整備総事業費1260億円は、大田区が区民の税金を使って行うべき事業でしょうか。

しかも、停まる駅もダイヤも大田区は決められず、要望することしかできないそうです。京急連立立体事業同じく、区民の税金を使っても、蒲田を素通りされるだけになりかねません。今回は、京急の時のようにそんなはずはなかったという言い訳はできません。

大田区は出資者としてお金を出すだけで、区民の利便性の確保さえ約束されていない事業に区民の貴重な財源を確保する必要性は無く、反対です。