◆その3◆都区制度下の23区(大田区)からみた都構想について〜今、なぜ、都構想法案なのか〜

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23区は、基礎”的”自治体として位置付けられながら、「東京都(東京市)」の内部団体から、完全に自立できていないというのが現状で、その背景にあるのが、この都区財政調整制度です。

確かに、23区間に偏在する財源を調整する機能はどこかが担わなければなりませんが、それを、担うのは東京都ではなく、財源を持つ23区間で財政需要に応じ調整すればよいのです。

23区は、日本の中でも一番の財政豊かな自治体です。
しかし、だからと言って必ずしも、日本で一番の公共サービスを受けているわけではありません。

保育園の待機児は都市部の問題で、地方では待機児など問題になっていなかった自治体もたくさんあります。特別養護老人ホームの待機者も都市部は多いですね。
そして、その理由を、都市部は地価が高く、人口が集中しているからと説明されています。

しかし、地価が高ければ固定資産税も高く、人口が多ければ頭割りの住民税も多くなります。

ところが、都市部の住民は、意外にも福祉サービスにおいて、こうした都市部の財源を享受できていません。東京富裕論という指摘がありますが、基本的人権に基づいた公共サービスの提供があって初めて論じられるもので、東京富裕論以前に解決しなければならない課題が放置されているのが23区の実態です。

財政調整に係る金額は、調整3税総額で1兆6,027億円。そのうち7,149億円を「大都市事務」として支払っています。しかも、通常、市区町村の財源となる都市計画税については、2,137億円総額が調整もされず、「都市計画のかなりの部分を東京都が実施している」という理屈で、総額東京都が徴収し東京都の財源となっています。

「大都市事務」として支払った7,149億円は、23区の「大都市問題」の効果的な解決につながっているでしょうか。東京都に支払っている都市計画税2,137億円で23区の都市計画はどこも首都にふさわし街として整備されているでしょうか。

下水道建設改修費の横浜市との比較をみれば、無駄な施設建設費、過剰な設備投資の原資になっているとは言えないでしょうか。

霞が関や皇居前、一部の再開発地域がピンポイントで整備されていますが、23区民の生活空間が、東京都の大都市事務の恩恵で整備されたという実感はありません。

23区の財源が豊かなのは、必ずしも23区や東京都の努力だけではなく、東京が首都であり、日本の政治・経済の中心にあるからです。

果たして、私たち23区民は。その一番豊かな都市部23区に住み、日本の首都としてのメリットを享受できているでしょうか。美しいまちなみ、渋滞のない公共交通、安心して受けられる医療、子育て環境、労働環境、居住空間。

都区制度により、住民なき自治体である都が23区の財源を使うことが、税金の使い道のチェックを甘くし、結果として無駄な税金投入を許してはいないでしょうか。