無策への不安から都構想が支持されるなら、私たちが考えなければならないこと

以下のコメントをいただいた。

大阪の過去の負の遺産はどうやってできたか分析してもらえませんか?
毎日四億づつ金利を払っています。赤字がなければ他の政策に使えたお金です。
都構想否定したら次に何があるか?反対派はまともな答えを出せません。
私が都構想を応援するのは、自公民共の無策への不安です。

これは、東京都にもそして今の日本のほとんどの政治に言えることだと思いました。

少しだけ大阪より人口が多くて、税収が良くて、少しだけ好景気の影響もうけているから、見えにくいけれど、大阪市と問題の本質は同じ。

たぶん、あと何年かすれば同じ状況になるでしょう。

否、東京都がそんな状況になったら、日本の統治機構の破たんですから、その前に、「何か」をして、ごまかしちゃうのかもしれません。

東京都や23区がやっている再開発も道路も港湾整備も、長期的な財政の裏付けなど無いままに始め、計画的補修もせずインフラは老朽化している、にもかかわらず、新たなインフラ整備にいそしんでいるというのが今の日本の多くの行政の「トレンド」でしょう。

都区制度では、23区には用途地域の変更権すらありません。大阪都はどうなるのでしょう。
大規模開発ほど環境・財政・景観等々住民生活に影響を及ぼすにもかかわらず、東京都は、発意は事業者と地権者にあると言っています。
そして、23区民の多くは、そうしたしくみすら知らず、声をあげることさえほとんどありません。
しかし、声をあげる機会はあっても、その声をきくことも無い。

今の日本は地権者主導のまちづくりですが、莫大な税負担を伴う開発までが、利益を得る事業者・地権者の発意で決まっていきます。
財政は大丈夫でしょうか。

昨年4月から、法人住民税が国税化されました。その時、東京都は23区と法人住民税を分け合っているのですから、東京都分担分45%の影響をうけるはずでした。

ところが、国は法人事業税の国税化を戻す形で、実質影響額をほぼ無しにして、法人住民税の国税化は、23区側により大きな影響を及ぼしました。
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インフラ整備や大規模開発などが長期的財政の裏付けなしに進む現状が容認されるのも、自治体には原価償却という考え方が無いから、あるいは、
政治が極端な利益分配になり、予算は多く付けば良くて、前年より予算が増えれば積極予算都評価されるようになっている、というのも理由の一つでしょう。

では、何をすればよいのか。

ひとつ、ひとつに、優先順位をつけ、決着をつけていかなければならない。

土地を買うより、保育園。箱モノつくるより特別養護老人ホーム。といった。

ひとつひとつを深く掘り下げ、究極の議論を始めなければならない。

駅前広場をもっときれいに使いやすくしたい。老朽化したビルを建て直したい、防災機能を高めたい。
ところが、再開発は莫大な税負担を伴うけれど、それでも、駅前広場は必要か。

公(区)営住宅は、世帯当たり人数が減り、同じ戸数で入居者は減るばかり。
莫大な税金を投入しながら、区営住宅に住める人は減り、一定年月以上を経過した公営住宅改修費用はでなくなる。
漫然と公営住宅の補修を続け、一定期間を過ぎたら、国の補助金ほしさに新たな公(区)営住宅を「建設すること」が本来の住宅政策なのか。
住宅政策とは何か。
等々

いま、政治は「市民の手」にありません。

中央集権で自ら考えることをしてこなかった地方自治体、特に基礎的自治体は、ある時(地方分権の流れに沿うように)から、政策立案にシンクタンクが入り、そのまま深い思考が停止されている。

シンクタンク(=企業の利益最優先の政策をつくる)が、考えることを一手に引き受け、行政も議会も勉強不足。

政治を誰かにまかせていれば、その誰かに都合よく政治は進む。

だまっているのは積極的な賛成。

だから、市民の出番。議員になる前の私も含めた多くの政治にかかわってこなかった人たちが「知って」「考えて」「声をあげていく」ことが必要だと思います。

23区の45%と都市計画税100%を東京都が使っていながら、予算規模12兆円の東京都は、あまりにも住民から遠く離れた自治体です。

それをもうひとつ創っていいんでしょうか。

いまは、まかせた誰かのつくった「都構想」が本当にいいのか、みんなで考えないと!
決まってしまってからでは遅いから。