大田区の緑を守るため「大田区緑の基本計画」を改定する前に今大田区がすべきこと

 
  大田区は緑の基本計画を改定しています。

 この件に限らず、現区長になり、計画のたぐいの策定や改定が相次いでいます。
 計画作るのに疲れて息切れしてしまい実行には至らないのではないかと不安です。

 さて今日は緑の保全や育成のために「緑の基本計画」策定の前にまず大田区がすべきことについてのお話します。

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 現在大田区は「開発指導要綱」で緑化の規定(第15条)を設けいています。
 
 1000㎡以上の宅地開発に対し一定割合の緑化を求める要綱です。

 先日、区民の方から開発計画があるが緑化の割合が大田区の要綱の緑化規定に満たないと言うご相談を受けました。
 図面をみると確かに敷地面積に占める緑化面積が極端に低くなっています。

 調べると大田区では、緑化面積に満たなくても、2m以上の高い木は1本当り3㎡などと読みかえる規定(細則8条)があり、たとえ緑化面積が要綱で示される面積より極端に低くても良いとうたわれているのです。
 ご丁寧に狭い面積にたくさん植える「寄せ植え可」とまで記されています。

 私は「景観と住環境を守るネットワーク」の会員で運営委員を務めていますが、会の代表である日置弁護士に相談したところ、

「指導要綱による基準は,建築確認の対象外なので,確認機関はチェックしない(できない)し,これに違反しても確認が違法にはなりません。しかし、そもそも、高木の換算率は別途問題になる可能性がある」

とアドバイスを受けました。

 緑化面積割合を要綱で規定していながら、高い木を1本当り3㎡と読みかえ、緑化面積が少なくて良いとすることに緑化政策上何の意味があるのでしょうか。

 実際、ご相談を受けている事例では、高木を植えている場所に日が射さないためすぐに枯れてしまうことは容易に想像できます。

 一方で、別の運営委員からは、

 「植栽は、マンション広告でも大変重要なポイントです。
 枯れて維持が難しいような計画で販売し、枯れてしまったときに購入者からクレームがあれば当然対応が必要で、この部分には大変気を遣っています。広告やパンフレットでパースとして表現されて、実際に継続的に実現不可能なら公取の指導対象になると思います。不動産公正取引協議会の基準でも広告が実際と違うのは違反とされます。
 大げさに言えば詐欺ですが、多くのマンションでやってます。」
 

というアドバイスをいただきました。

 言ってみれば、大田区が、違反を促しかねない緑化規定を持っているという見方もできますね。
 或いは、開発指導要綱の事前協議の際に大田区が同意をしているわけですが、仮に、公取の指導対象になるような緑化であった場合には、大田区の責任はどうなるのでしょうか。

 「緑の基本計画」を改定する前に、高木の換算など廃止し、緑化を条例化するだけで、大田区の開発に伴う緑の減少は大幅に食い止められます。
 

 


なかのひと