大森南のアスベスト工場跡地からアスベストのかたまりが見つかる

大田区のアスベスト土壌処理対策への疑問

大田区大森南4丁目9番。現在大田区が所有するアスベスト工場跡地の土中からアスベストのかたまりが見つかりました。
 大田区は、第二回定例会において、アスベストの混入した土壌処理予算を計上しています。

 大田区はどのように処理しようとしているのでしょうか。また、そこにはどのような問題があるでしょうか。

◆アスベストはどこからきたか◆

 大田区は、なぜここにアスベストがあるかという原因について特定していません。
 十分な調査を行い、アスベストが埋められている原因を明らかにすべきです。

◆不十分な説明◆

 地域住民とのリスクコミュニケーションは?

 大田区は、現在、この土地に、大森東出張所と民間による工場建設を計画しています。建設にあたり、大田区は、6月28日に、隣接する大森南4丁目工場アパートにおいて説明会を開催していますが、アスベストが土中にあり、その処理を行うことについて十分な説明が行われませんでした。

 この大森南のこの地域は、2006年にアスベストによる環境被害者がみつかった地域で、多くのプラ—ク患者が現在も住んでいます。
 今回、その地域のアスベスト工場跡地からアスベストのかたまりが見つかったことは、非常に重大な事実であり、新たな周辺にアスベストを飛散させないようにするためにも、周辺住民に対して十分な説明を行わなければなりません。
 

◆大田区のアスベストへの認識と土壌処理方法◆

 大田区の施設管理課は、土中のアスベストとその扱いについて次のように考えています
 
①含有建材と同じ扱い(=レベル3・非飛散性)
②28か所のボーリング調査から土の中を想像し、アスベストの含まれる地層を特定。その部分の土地を入れ替える。
③かたまりの出た部分は、密閉し中の圧を低くするいわゆる飛散性アスベスト扱い。
④それ以外のところは、水などでぬらし除去。
⑤アスベストの混ざった土の運搬は2重袋にいれて行う。

◆大田区のアスベストの含まれた土壌処理についての問題◆

区は、土中のアスベストをレベル3=非飛散性としているがその根拠が不明
 しかも、かたまりの出た部分を区は、明らかに飛散性アスベストとして扱っている。飛散性と非飛散性を区分けできるのか。

②3600㎡の土地を28か所ボーリングして地中の地層を特定しているが、それで、土中のアスベストを飛散させないことができるのか 
③水でぬらして処理としているが、アスベストの含まれた水が周辺に流れ出て、乾き、飛散することはないか。 

④土壌を入れ替えるなど手を加えることで飛散の恐れがでる。岐阜県椿洞(つばきぼら)は、アスベストの不法投棄場所となっていたが埋め戻している。

大田区は、2005年にふっ素の土壌処理を行っている。その際に、飛散させていないか。

◆議会への説明不足◆
 
 現在行われている第二回定例会において、補正予算として、このアスベスト処理費用が計上されています。
 
 費目は、建設費として計上されていますが、そのほとんどがアスベスト処理費用です。

 ●出張所建設費として6615万5千円のうち、6938万4千円。(アスベスト処理費用の方が多いのは、建築費用にマイナスの補正予算が計上されてるため)
 ●産業施設建設費として3億5340万円のうち3億4000万円。

 しかし、アスベスト処理についての十分な説明は行われませんでした。

 また、アスベスト処理であれば、東京都の環境確保条例など関連法令の所管でもある環境保全課が、土壌処理方法などの決定にあたって、かかわるはずですが、環境保全課は関わらず。施設管理課が土壌処理について決めたと答えています。

 アスベストの含まれた土壌処理の安全性について、法令を順守し安全に適正に遂行されることの所管は、環境保全課ではなかったのでしょうか。環境保全課の役割とはいったい何でしょうか。

 結果として、今回のアスベストの含まれた土壌処理方法の適否について、議会で明らかにされることなく、議決されようとしています。

【場所】
 大田区大森南4丁目9番18号
 3623.23㎡

【土地履歴】
①1939年まで水田や空地。
 
②その後、1939年、1948年に宮寺石綿理化工業㈱が買収し、同社の大森工場として同敷地に多くの建物を建設して操業を開始した。
 1939年から1978年にかけて宮寺石綿理化工業㈱・大森工場が操業。(宮寺石綿はアスベストを使った断熱材を扱う) 

1978年に米山紙商事㈱の所有となり、敷地内の建物は物流倉庫に建て替えられる。 

2004年に大田区土地開発公社が米山紙商事から同土地を購入を決定。

 土壌調査したところ、ふっ素およびその化合物のあることが判明し、敷地内のふっ素等の出た箇所について数十センチから1.6mの深さまでの土を掘削し処分。その際の環境保全対策として、場内散水を行っている。土壌の運搬の際には荷台にシートをかけている。
 土壌処理費用は、土地購入の際に米山紙商事と大田区が交わした覚書に基づき、大田区土地開発公社と米山紙商事とで1/2ずつを負担した。

⑤2008年12月、大田区が、同土地の28か所をボーリング調査したところ、アスベストの疑いのある物質が目で確認できた。一部はかたまり状になっていた
 
 分析調査を行い、クリソタイル、アモサイトが検出されたのは28か所中26か所


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