公共工事が上げる家賃と マンションの固定資産税
資材高騰は原油高と円安だけじゃない
マンションなど家屋の固定資産税が下がりません。耐用用年数が長く、再建築価格をもとに計算するので下がらない。と言われますが、資材高騰は、原油高騰や円安だけではありません。
都の工事単価を元に決める固定資産税評価額
固定資産税の算定の元になる再建築価格は、東京都など工事単価を元に計算します。
マンションなどの家屋の固定資産税の場合、耐用年数が50年と長いうえ、工事単価が上がっているので
再建築価格が高くなるのです。
前年より高くなることは、ありませんが、工事単価が上がれば、固定資産税の評価額があがり、固定資産税が下がりにくくなります。
増える公共工事需要が資材高騰に
大田区の投資的経費は近年急増し、2024年度は前年に比べ24.2%も増えました。しかも予算を多額に計上し、補正予算で大きく減らすことを繰り返しています。「複数年度にわたる大規模な公共工事費(記事3・5)」も増え、巨額な需要を大きく見せるようになっています。
令和6年度(2024年度)当初予算で、547億円で計上した投資的経費は、補正予算で496億円と、51億円も減らしています。
435億円も積んだ債務負担行為と呼ばれる、次年度以降の投資的経費も370億円と65億円も減りました。
当初予算で見せた982億円(=547億円の予算+435億円の債務負担行為)のインフラ需要が、866億円になり、116億円も減るのは、予算編成の失敗だけでなく、需要を大きく見せる意図を感じざるを得ません。
国の、デフレ完全脱却政策に歩調を合わせているのです。
デフレは、物価が下がると言う経済用語ですから、デフレを脱却する、物価が下がるのを脱却して、物価を上げようとしているのです。
政策的に、物価高へ誘導しています。
本来は、1年でその年の予算を使い切るのが基本=単年度主義ですから、複数年にわたる大規模な公共工事を行ってきませんでした。
需要と供給のバランスを崩し、物価に大きな影響を及ぼすことを可能にするからです。
単年度主義の原則の逸脱と基金の濫用と国の巨額な国債発行が、公共工事の総量という歯止めを壊しているのです。
いまは、労働力人口が減っています。
しかも、ものの流通における中間の卸売り問屋などが減り、メーカーと消費者がほぼ直にやり取りするようになっていて、供給が主導する生産体制に変わっています。一定数の需要を見てから生産する、在庫を持たない供給体制に変わってきています。
物の値段は需要と供給が大きく影響します。人も物も足りない時に、さらに公共工事等で需要を増やすので資材が上がり工事単価が上がるのです。
大田区は、ただちに物価に影響しないと言いますが、国も同様で、公共インフラ需要が増えているのは、大田区だけではありません。
🔴リニアは総工費が5.5兆円から7兆円に増え、
🔴蒲蒲線は年初に1250億円で認可申請したうえ、
🔴区は蒲田の駅ビル建て替えを補助金で誘導しようとしています。
いずれも民間企業や区の第三セクターの事業ですが、私たちの税負担や資金援助(財政投融資)があるから進められます。
国策で物価高へ誘導
デフレは物価が下がる意味の経済用語です。国も大田区も「デフレ完全脱却政策」でこうして物価高へ誘導しているのです。