形骸化した職員定数条例から考えたい、公務員の数の上限を決める理由
大田区は、職員定数を4135人にしていて、この数字を「指標=メルクマール」とすると言っています。人口が増えても、高齢化が進んでも、民営化で外部化されてもこの数字は変わりません。何をもってこの指標はできたのか、聞きましたが明確な答弁はありませんでした。
この数字を固定化することで、財源が足りなくなれば、職員給料を下げることになるでしょう。
そうなるとあたらしい仕組みの「会計年度職員」という賃金が安くて身分の不安定な雇用が拡大する恐れがあります。議案に対する討論を掲載します。
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フェアな民主主義 奈須りえです。
第9号議案
大田区職員定数条例の一部を改正する条例に反対の立場から討論します。
大田区は、平成29年度から平成33年度(2021年度)までを計画の期間とする、現行の大田区職員定数基本計画において、計画対象期間における職員定数を、平成28年度の職員定数である4,135人を指標として適正に管理するものとしています。
この4135人という指標に対してメルクマールという言葉を使っています。
大田区における、区民の公共サービスに対する需要を増減させる要因は、人口、年齢別人口、高齢化、経済状況、区民の所得、民営化の進展具合など多岐にわたります。
にもかかわらず、条例定数4135をメルクマールと言いながら、このメルクマールである4135人がどういった基準で定められた数字なのか、大田区は説明することができません。
4135人が職員定数の上限として位置づけられれば、今後、大田区が支出する公務員人件費の枠が決まります。根拠のない数字が固定化されると、会計年度職員のような有期職員が拡大する可能性があり問題です。
特に大田区の場合、区長が公約にやり残したこととしている中央防波堤帰属に伴う開発や羽田空港跡地、蒲蒲線など、大型プロジェクトを積極的に行おうとしています。
補正予算への10億円の基金積立てからもわかるように、大型プロジェクトの財源は確実に予算に色を付けて確保するため、今後松原区長の予算編成方針が続けば、足りなくなった財源の確保のために、それ以外の分野の際限のない市場化が始まり、会計年度職員が増える可能性もあり心配です。
私は、公務員人件費をコストととらえ、小さな政府を合言葉に進んできた職員定数削減や、民営化は、正当な対価と権利に支えられた公務労働という雇用を縮小させ区民生活を悪化させたととらえています。
公務員が民間に雇われた職員や非常勤に変わって削減されたコストは、大田区民に還元されず、民間事業者投資家の投資の対象になり、新規参入分野を広げ、削減されたコストは、民間委託などの財源に使われてきています。
私は、職員数に意味をもたせ、区民サービスを適正な雇用と身分の全体の奉仕者である公務員に担わせることには賛成です。
しかし、「メルクマール」というのであれば、定義づけ、いたずらな雇用の不安定化と公共サービスの市場化に歯止めをかけるための数値としても職員定数を位置づけるべきです。特に大田区は公民連携の施策をとっているため、定数の考え方があいまいだと、身分が不安定な会計年度職員を増やす可能性もあり問題です。
よって反対します。