羽田空港跡地問題を考える 165億円で買っても50年間区民が使えない不思議
羽田空港跡地で何が起きようとしているのでしょうか
財政が厳しいからと認可保育園や特別養護老人ホームは「我慢」ですが、50年間区民は使えない土地(*羽田空港跡地)に大田区が165億円払おうとしています。 (*羽田空港が沖合に移転したことに伴い生まれた空港に隣接した土地)
財政が厳しいのではなく、優先順位の問題だったのですね。
金額も大きくて驚きますが、買ったあと、この土地は50年間の事業用定期借地権(600円/平方メートル)で民間事業者に貸し出されます。
区民が使えない土地に区民の税金が165億円も使われるのです。
http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00154/00155/
大田区は、50年間の地代の総額が212億円で、購入金額165億円を上回るので、買っても良いという判断ですが、だったら国が直接貸し出せばよいのに、なぜ大田区が買うのでしょう。
国有財産は、公共目的なら自治体に無償譲渡されます。
羽田空港の跡地でも、公園や道路の部分は、大田区への無償譲渡が決まっていますが、5.9ヘクタールに9社の事業グループが建設する12万平方メートルの複合施設は、営利目的とみなされたので、大田区は時価で購入しなければならないのです。
減免を求めていましたが、認められなかったのは公共性がなかったということです。
国は、公共性の無い事業に手を出さない、ということではないでしょうか。
大田区が国から羽田空港の跡地を買うということは、大田区民の財源165億円が国の財布に移るということです。保育園や特別養護老人ホームに使える165億円が国にとられてしまうのです。
事業グループは、大田区に165億円の土地を買ってもらったことで、少ない負担で羽田空港に隣接する12万平方メートルのビジネス拠点を手に入れました。
大田区はこの土地の取得にあたり、財産価格審議会さえ開いていない一方、国は、不動産鑑定を行っています。
大田区は、国と見積もり合わせを行って土地の価格を決めたので適正な価格だといいますが、財務省と対等な土地価格交渉ができたでしょうか。
相手は、森友学園の土地売買で国民の信頼を失っている財務省です。
大田区は開発事業者を決めたあと、財務省と交渉しています。大田区として、地価の妥当性を示す客観的指標を持って交渉にあたるべきだったのではないでしょうか。
羽田空港の跡地は戦後GHQの接収により、住民が着の身着のまま48時間で強制退去させられたという歴史的経緯を持っています。跡地は大田区民の土地なのです。
羽田空港の沖合移転に伴いそこが空地となり、国も大田区も空港の緩衝帯として活用すると説明してきたにもかかわらず、それさえなくなり、大田区は、跡地を一部の投資家利益のために使わせようとしています。
このスキームで利益を得たのは、事業グループの株主と165億円の財源を大田区から吸いあげた国でしょう。