23区だけでなく、東京都のほとんどの市町の水道は東京都水道局が担っています。1,300万人を抱える大水道事業者の事業はどうなっているのか勉強しようと、今回、埼玉県朝霞市にある東京都の浄水場に行ってきました。都議会議員選挙を前に、一向に明らかにならない東京都の課題ですが、上水道事業もまた東京都の事業です。


浄水場見学レポート

5月19日(水)、埼玉県にある朝霞浄水場の見学に行ってきました。
私が毎日飲み使っている水も、この朝霞浄水場で高度浄水処理されているということで、この施設を選びました。

東京都民1,300万人の約1/4を供給する大きな浄水場ですが、場所は埼玉県。
原発が東京都内になかったように、都民の生活水を作る施設も東京都の外側にあります。

朝霞浄水場では、技術課長と2名の職員の方に対応していただきました。

見学の前に会議室で浄水場の概要の説明を受けました。
浄水場の敷地は22万8,000㎡、サッカー場32面分の広さがあり、1日あたり170万㎥東京ドーム1.4杯分、東京都の人口1300万人の約1/4の280万人分の水道水の供給能力があるそうです。

施設は昭和38年7月に着手し、41年10月に第一期が完成しています。

利根川及び荒川の水を取水してから、約5時間かけて急速ろ過方式と高度浄水処理により、飲めるきれいな水にして1区5市に排水しているそうです。

最初に水浄化のしくみについて、ポリ塩化アルミニウムの水溶液を入れて泥や有機物などを吸着、沈殿させる実験などを見せていただきました。

その後、沈殿池や濃縮槽、オゾンを混ぜて吸着させているところなど施設を見学し、その後、わからないところに答えていただきました。

水質は、計器による24時間運転管理や6人の人による検査のダブルチェックを行っています。この広い浄水場を110名の職員の方が、日夜管理運転をされているとのことでした。

水道水のほうがミネラルウオーターより水質基準が高いという話を聞いたことがありましたが、そもそも、取水の段階での汚染の状況も違います。
水道水は、取水する場所により汚染の程度も異なり、必ずしも基準値だけで比べられない部分もあるではないかと感じました。

取水した時には泥や木の葉などで濁っていた水が、ろ過したり薬剤に吸着され、みるみる透き通った水になっていく様子に技術の素晴らしさを感じる一方、投入されている薬剤も複数あるとのことで、それらの安全性や、薬剤は原水の物質と結合して沈殿し、水道水には残らないということでしたが、気になりました。

一方で、沈殿物は脱水して園芸用の土として有効利用しているそうです。
水道水には残らない薬物ですが、原水中の物質と結合し沈殿した「土」が園芸用の土として市場に流通しているということも初めて知りました。

一方、想定している物質は除去できても、想定し得ないものが溶け込んでいれば除去することはできません。
中流域からの取水の問題と、そもそも、大勢の人がくらす東京の水を確保するために、上流部分の取水では間に合わなくなっているという東京一極集中の影響についても考えさせられました。

中流域からの取水は、農業や園芸で使われている肥料や農薬はじめ、さまざまな人の活動由来の物質が溶け込んでいる可能性も高いと思います。

見学の最後の質疑の際にでた「カビやすくなったのでは」という質問に、「水道水だけでなく周辺環境もあるのでは」とこたえていましたが、富栄養化の問題も起きているのかもしれないと思いました。

かび臭かったなどの水道水が高度処理でおいしくなりましたが、水道技術を持つ企業などのHPに「水道水は、浄水場で厳格な品質管理のもとに作られた高品質な製品。」という一文をみつけました。すでに水は自然の産物ではなく、工業製品ととらえると、また、様々な問題がみえてきます。水道民営化もそうした流れの中でとらえることで、課題が明確になるように思いました。

【浄水場で使用されている薬品】東京都の資料よりP33、資料8枚目
次亜塩素酸ナトリウム
(消毒)、ポリ塩化アルミニウム(凝集剤)、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム(pH調整)、活性炭(かび臭等の除去) 等

 奈須りえの浄水場見学の感想

高度経済成長期に作った施設が老朽化していて更新の時期を迎えているそうです。
一方で、高齢化や将来の人口減少、節水型家電製品など、水需要が減ることが予測され、巨大な施設を維持する水道料金収入は減っていくばかりです。

そこで、でてきたのが、運営権を民間事業者に譲渡するPFIや上下分離のコンセッション方式という、広い意味での水の民営化です。

麻生副総理が日本の水をすべて民営化すると発言していますし、大阪市では民営化案をパブリックコメントしています。条例案はいったん引き下げましたが、新たな民営化案が出てくるのではないかと言われています。

計画的な更新ができず、人口がへり水需要が減ることがわかっていながら、老朽化した施設の更新が放置されてきたのは、私たちが、水道事業を東京都議会と東京都水道局という行政にお任せしてきたからです。

それを、さらに経済利益最優先の民間事業者にただまかせることで、問題が解決できるでしょうか。

その一方で感じたのが、巨大な水道施設の是非という問題です。

私たちは原発事故で、巨大なシステムの負の部分を思い知らされました。
原発の是非だけでなく、巨大システムのリスクというものを私たちはもっと真剣に考える必要があるのではないでしょうか。

いったん何かが起きると、その影響も大きいのが巨大システムの欠点の一つです。リスク分散が出来ないのです。しかも、その対策にも莫大な金額がかかります。水道事業の場合、水道料金や税として私たちが負担しなければなりません。

東京都に住む私たちが、水源を他の地域に頼らなければならない現状に、水のことを考えても、もう、東京という都市のキャパシティーは限界を超えているのかもしれないと感じました。

 麻生副総理が日本の水をすべて民営化すると発言し、大阪市が民営化案をパブリックコメントして以降、水道事業に関心を持っています。