【障がい者雇用:行政の責務=民間委託等に伴う民が担う公共分野の考え方】議会質問より

【障がい者雇用】

住まいがあっても仕事がなければ生活を維持することはできません。そこで次に障がい者の雇用について質問します。

国・及び地方公共団体の法定雇用率は、民間1.8%に対して2.1%と若干高めですが、23区区長会では、平成56年にこの2.1%をさらに上回る3%という目標を設定しています。(資料6)来年度から法定雇用率が、民間、国及び地方公共団体とも0.2%引き上げられる機会に、区長会、大田区として0.2%引き上げ3.2%という目標を掲げてもおかしくありません。

このように民間を上回る法定雇用率を掲げて障がい者雇用をリードすべき存在の国・地方公共団体ですが、その中身をみれば、必ずしも民間の手本と呼べる存在になってきていなかったことを指摘しなければなりません。

過去10年間の大田区の障がい者雇用の問題を指摘すれば以下の点になるでしょう。

平成14年に165人だった法定雇用数が、平成24年には128人(資料7)と大幅に減っている。

② 障がい者雇用数は37人と大幅に減っているが、決算規模でみれば、一般会計で平成14年度決算1,786億円から23年には2332億円を計上しており税金で担う公的分野、範囲は拡大している。

し かも、国・行政分野における法定雇用率は、民間の1.8%に比べ2.1%と高かったものの、職員数の85%に対して2.1%を守ればよいという除外規定を 作ってきました。奇しくも2.1%の0.85がけは民間法定雇用率と同じ1.8%に他ならず、公的分野における上乗せ法定雇用率は、除外項目によって自ら 形骸化させてきたと言ってもよい運用をしてきています。さすがにこうした運用は適切ではなく、平成19年の労働政策審議会の意見書等により、廃止を目指す ことが明らかになり、除外率は引き下げられてきています。不適切な除外項目がなければ、平成14年の職員6,220人に対する自主目標3%の雇用数は 187人だったわけで、これが現在、2/3の128人でよしとされているのは、民営化や民間委託による職員の削減によるものです。

そ れでは公務員が担っていないのだから、法定雇用者数を減らしていいという理屈が公共分野において成り立つでしょうか。公共の担い手が拡大するとともに、雇 用形態も変わってきているなか、どこまでを公的責任の範囲として障がい者雇用を行っていくかということについて、考え直さなければならない時期にきていま す。

こ れまで私は、大田区に対して、行政のCSR、あるいは、政策入札、総合評価方式などという形で、社会的責任を果たすよう提案してきました。大阪府では「行 政の福祉化」を目指し庁内での雇用について検討するとともに、事業者選定において、障がい者雇用を評価項目に入れる「総合評価方式」を採用しています。そ こでうかがいます。

大田区の障がい者雇用については、公務員の数だけを対象とするのでは無く、委託先なども含め平成14年の187人程度は確保すること。あるいは、大田区の財政規模に連動し、障がい者雇用に努めること。

公的分野を担う民間事業者に対し、障がい者雇用を守っている事業者を評価するしくみを作ること。

特に金額の大きな事業者選定にあたっては、障がい者雇用など主要な政策目的を事業者に義務として課すこと。

これらの障がいには身体だけでなく、知的・精神も含めること。

といったことを導入すべきと考えますがいかがでしょうか。