横浜寿町を訪ねて 排除されるまち・人

大森駅東口に広場があり、そこに路上生活者が休んでいることがあります。
大田区は、広場を改修しようとしていて、誰もが憩える場所にすると言っています。路上生活者はどうなるのかと質疑したら、「居座らないようにする」と答弁したので、それは行政の言葉ではないなあと思いました。
路上生活の原因は行政にも大きな責任があると思います。

寿町も戦後横浜の顔だからと桜木町から移され、今の場所にあるそうです。
オリンピックを前に、排除が加速しないようにと思います。
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石川町と言えば、横浜の元町に行く時に降りる駅ですが、北口を出るとすぐのところに寿町という、簡易宿所(ドヤと言われたりしていますね)がたちならぶ区域があります。
友人の精神科医を訪ねて、寿町に行きました。
かつては日雇い労働者の宿泊所として使われていた施設も、高齢化で9割以上が生活保護受給者になり、介護状態の方も少なくないそうです。

部屋は三畳とか四畳半。テレビ、布団、冷蔵庫付き。
トイレ、シャワー、炊事場(ほとんど使われてる様子無し。電子レンジあり)共同。

ある施設にお風呂場が有りましたが、介護保険の入浴サービスを受ける場所として使われているそうで、基本バスタブの付いている風呂は有りません。中には10分100円のコインシャワーが付いてる施設も。


基本宿泊施設なので、一泊1500円、1700円と言った表示があり、一泊で支払うことも、一月まとめて支払うこともできるそうです。


日雇いで働けなくなった方が、生活保護を受給するようになると、アパートに住めるのかと思えば、そうではなく、引き続き、その簡易宿所に住み続けているそうです。
空き家も多いし、一人当たりの生活空間が広くて快適になるはずが、特区民泊や旅館業法の規制緩和で、簡易宿所の環境も悪化こそすれ良くならないのが本当に腹立たしい気持ちです。
日本の住宅政策は、市場経済にまかせた結果、完全に失敗しています。
簡易宿所の管理人さんが、管理人の給料しかもらっていないのに、100人くらいいる住民に対して、家族のように気遣っている様子をうかがい、個人に頼るこの国の福祉もまた破綻しているなあ、と思いました。
狭い街の中に、2007年に競艇場外船券売場「ボートピア横浜」ができたそうです。パチンコ屋さんもありました。生活保護者が使い批判されるこれらの施設ですが、2007年にここに競艇場外船券売場「ボートピア横浜」を作ったのは行政です。なにか悲しい気持ちになりました。


そして、カジノが京浜地区にもできるのではないかと言われています。
そもそも、それまで桜木町にあったドヤ街を横浜の顔だから、とここ寿町に移転させたのが始まりと聞きました。問題を解決するのではなく、見えないところに追いやられたのが寿町の始まり。戦後の混乱期も今も、お上のすることは進歩していません。
たくさんの矛盾を抱えた寿町を医師と歩いていると、あちこちから声がかかり、先生の慕われている様子が伝わってきます。親切な管理人さんから、「先生、早く議員になってよね」と言われていました。
先生なら、きっと弱いものに暖かくて、巨悪に厳しい、良い議員になるでしょう。