羽田空港飛行ルート変更についてあらためて考える機会をいくつか与えられ、調べていたところ、新飛行ルートになることで、航空業界は経費削減ができる一方、日本の管制官が横田飛行場に配置されていることがわかりました。

日本の航空行政は、密集した首都圏を低空飛行させて国民を危険にさらし、航空業界の経費削減のために働いているように見えます。


2008年に横田の空域が一部返還されると報告があった時、大田区議会の羽田空港対策特別委員会に、時間と燃料費の削減による約100億円の経費削減効果の報告がありました。

横田の空域は、日本の東から西への移動の際に、高く、大きな壁が存在しているようなもので、急上昇したり、北や南に迂回しなければなりません。

横田の空域により、航空業界は、【遠回り】のルートを余儀なくされいるのです。

そこの角が取れたり低くなったりすると、航空業界はその分、近道になり、時間と燃料費を節約することができます。

2008年の横田空域の一部削減では、約98億円の経費削減になるという以下のような報告がありました。

横田空域の一部削減に伴う羽田空港の出発経路の設定について

https://www.mlit.go.jp/report/press/cab13_hh_000003.html

最初は、「横田空域一部返還」という報告だったので、良いことなのだなあ、と思っていたのですが、いつの間に返還から削減にかわり、横田の空域が返還されたわけでは無いこともわかりました。

一方、今回の羽田空港の新飛行ルートは、その一部が横田の空域に入るにも関わらず、2008年のような大田区議会への報告もなく、不思議だと思っていたら、防衛白書に次のような記述を見つけました。

イ 横田空域

米軍が進入管制を行っている横田空域における①民間航空機の運航を円滑化するため、06(平成18)年以降、空域の一部について②管制業務の責任を一時的に日本側に移管する措置、③横田ラプコン(RAPCON:Radar Approach Control)施設への空自管制官の併置、④空域の約40%の削減(米軍の管制業務の返還)が行われている。

https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2018/html/n24305000.html

①そもそも目的が、民間航空機の運航の円滑化=効率化=経費削減で

②空域の返還ではなく、管制業務の一時的な移管だということ

④しかも、横田の空域の40%にその影響が及ぶと言うのです

分からなかったのが③です。

③横田ラプコン(RAPCON:Radar Approach Control)施設への空自管制官の併置 

の意味が分からなくて調べていたら、

空域削減とは、航空管制を米軍から日本に移管すること
管制官の併置は、横田飛行場に日本の管制官を併せて配置すること

だとわかりました。(文末に質問主意書をリンクします)

航空業界の効率化(経費削減)のために、米軍に日本の管制が入ると言うのは、何を意味するのでしょう。

そして、こんなに重要なことが、国民に知らされず、豊かな経済のためといって、新飛行ルートを国が提案し、自治体の首長が認めてしまいました。

コロナでオリンピックも延期、離発着の便数も激減していますが、それでも、内陸飛行を続けるのは、余計な時間と燃料を使わずに済むからだったわけです。

コスト削減して、株主配当=余剰利益を増やすために、私たちは、騒音と落下物と大気汚染のリスクにさらされます。

日本の航空行政は、他国で採用されているWHOの騒音基準を採用していないうえ、羽田空港など、密集した市街地に隣接していて、緩衝帯が儲けられていません。

行政が行っていることは、政府が変わったとしても、【行政の継続性】の中で守られると言うのが、日本の統治機構における基本にあったはずです。

市場経済に行政が飲み込まれ、市場原理が行政内にはびこり、いつの間にか、その場、その場の、権力の判断が、行政に変わってしまっています。

議会制民主主義に基づき、住民との合意形成の上に積み上げられた意思決定を、時の権力である、大臣や首長が、いとも簡単にくつがえしています。

莫大な税金を投入して、音の沖合移転のために行ったはずの羽田空港沖合移転事業とは、何だったのでしょう。

いつの間に、日本の航空行政が、密集した首都圏を低空飛行させて国民を危険にさらし、国民のためではなく、航空業界の利益最大化のため、経費削減のために働くように変わってしまっています。

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【参照】

国会の、平成十八年二月十日提出 質問第六一号

米軍横田空域の返還に関する質問主意書

質問主意書

共産党沖縄県第1区選出の衆議院議員 赤嶺 政賢(あかみね せいけん)さん 
https://akamine-seiken.jp/

質問

一 「中間報告」は、「横田飛行場及び空域」について、「二〇〇九年に予定される羽田空港拡張を念頭に置きつつ、横田空域における民間航空機の航行を円滑化するための措置が探求される。検討される選択肢には米軍が管制を行っている空域の削減や、横田飛行場への日本の管制官の併置が含まれる」との「勧告」をしている。
 「空域の削減」及び「横田飛行場への日本の管制官の併置」とは具体的にどのようなことか。

答弁書

日米両国政府は、平成十七年十月二十九日に開催された日米安全保障協議委員会で発表された文書(以下「発表文書」という。)において、横田空域(アメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)軍隊が横田飛行場において行っている進入管制業務の対象である空域をいう。以下同じ。)については、「二千九年に予定されている羽田空港拡張を念頭に置きつつ、横田空域における民間航空機の航行を円滑化するための措置が探求される。検討される選択肢には、米軍が管制を行っている空域の削減や、横田飛行場への日本の管制官の併置が含まれる。加えて、双方は、嘉手納のレーダー進入管制業務の移管プロセスの進捗を考慮する。」と表明したところである。
 発表文書における「空域の削減」とは、合衆国軍隊による進入管制業務の対象である空域を削減し、当該削減された空域における航空交通管制業務を合衆国軍隊から日本国政府に移管することを意味し、「横田飛行場への日本の管制官の併置」とは、合衆国軍隊が進入管制業務を行っている場所である横田飛行場に日本国の航空管制官を併せて配置することを意味するものである。