法律が変わっても、翌日から社会が変わるわけではありません。
今の社会の状況は、1990年ごろから始まった、「国債の無秩序な発行」と「行政改革という名の制度の改正」にあると思っています。
2000年に地方分権一括法で475の法律がかわり、2001年の省庁再編のために、1999年に省庁改革法で17本、施行関連法で61本の法律が、一括審議で可決されています。
「地方分権」も「省庁再編」も、私たちが、社会が良くなると信じて疑わなかった改革ですが、注意深く改正された法律の中身を点検すると、必ずしも私たちが望む改正が行われていなかったことがわかります。

省庁再編は、縦割り省庁の非効率な意思決定を批判する声から、行われたものだと思います。

しかし、省庁再編で、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の暮らしを守る」ために必要だった内閣総理大臣と同等の権限を持っていた「社会保障制度審議会」が廃止され、代わりにできたのが「経済財政諮問会議」です。
国民は、省庁再編により、縦割りで国民の暮らしを守らない政府が、省庁再編で各省庁が協力して国民生活の問題に取り組むことを期待しましたが、省庁に「経済利益(投資家利益)」という横串がさされて、この国の予算も財政も制度も、投資家利益のためにまわるようになっています。
同時に、福祉を営利企業で担わせることを可能にしています。

日本のしくみは、この間の制度改正により、投資家に利益が流れるように作られてしまったので、税金を集めても、国債を発行して福祉に使っても、それだけでは格差の是正ができません。
地方分権で国の大きな権限が、自治体に分権されました。
「政治に私たちの声が届かない」と不満を抱いていた私たちは、中央集権による閉そく感が、その原因だと考えて、地方分権を支持しました。
住民に最も身近な自治体に権限が委譲されることで、住民の生活課題を解決しやすいように、と私たちは期待しました。
権限は地方自治体に降りてはきましたが、権限を持ったのは住民ではなく、首長で、私たちの生活課題、貧困や社会保障サービスの不足は、解決するどころか、悪化しています。
松原忠義区長は、前区長の多選を批判をして2007年に初当選しました。
4月の統一地方選挙で、松原区長は、再選され、4期目の任期に入っています。
最近の大田区政を見ていると、多選の弊害を強く感じます。
地方分権で大きくなった首長の裁量権は、住民ではなく、さらに、企業の利益のために使われています。

区長と議会は、全体の奉仕者であること、地方自治体は、住民福祉のために在ること、地方分権で大田区は、社会保障の責任主体になっていることを忘れ、投資家(経済)利益のために裁量権を使っています。
税金を使って社会保障サービスを提供しても、担うのは営利企業で、使われた税金は賃金というコストを削減して投資家の利益に流れています。
施設の管理運営も、指定管理者制度で民間企業に税金が流れる仕組みができあがっています。
そのうえ、PFIで、資金調達、建設、管理運営などを一体で事業者が担うことが可能です。
日本の制度がすっかり変わってしまっていることを理解したうえで、そこから、どう、投資家利益のためでなく、私たちの安定した暮らしを支えるための政策を作るか、新しい年も、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。