解消されない待機児、低い保育士賃金など課題が山積する保育園問題ですが、大田区が保育料を引き上げる議案を出しました。私は運営経費に占める保護者負担割合が増えていること、保育のために増税までした三位一体の改革、に関連付けて反対しました。残念ながら議案は、自民党、公明党、民進党、維新、ほか一人会派の賛成多数で決まってしまいましたが、みなさんはどう考えますか。
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17分50秒から

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大田区の保育料改定案は「保育園・学童保育 保育料検討委員会」の報告に基づき

① 公平性の視点

② 受益と負担の関係性の視点

③ 少子化対策の視点

④ 子供の貧困対策の視点

⑤ 保育の質の確保

の5つの視点で

1. 負担能力に応じた階層のみなおし

2. 階層区分における税額幅の見直し

3. 保育料の収納率向上

など、8項目にわたる見直しについて提案されています。

大田区は、報告に基づいた大田区の考え方は公表せず、報告をそのまま受け入れる形で保育料改正議案を送付したと聞いています。

今回の保育料改定において私は、様々な問題点、論点がありますが、特に約10年前に行われた保育料検討委員会の平成15年の保育料データと比較してみました。

平成15年といえば、まだ民営化も民間委託も始まっていません。

認可保育園全体の運営経費に占める保護者負担割合は、

平成15年が10.4%で、

平成26年は12.3%と約2%増えています。

私は、民営化や民間委託で経費削減になり、それが区民の負担を軽減するとばかり思っていたので、運営経費に占める区民負担割合が増えていて大変驚きました。

それが、今回の保育料改定でどうなるのかというと、保護者負担割合は、12.6%になります。

これは逆にみれば、大田区や国、東京都などの公費負担が減っているということです。
保育の現場では、保育士の処遇の問題が大きく取り上げられていますが、認可保育園の総運営経費から公務員の保育士の人件費を支払っていたときより、民間保育園が増えて、ワーキングプアと呼ばれるほどに給与が安い保育士が増えている今の方が保護者負担割合が大きいのです。

民営化や民間委託は進み、保育士の給与も全体として下がってきていますが、大田区民には還元されていないどころか区民負担割が増えています。誰のために保育料を値上げされているのでしょう。

私は、全体の運営経費における保護者負担割合で今回の保育などの引き上げの是非について検証してみました。

総運営経費は平成15年で146億6469万円。保護者負担割合は10.43%。

平成26年は190億円で保護者負担割合は12.28%。

平成29年は209億7000万円で12.6%になると試算していて、大田区が保育料を引き上げることで1億7000万円の増収を見込んでいるという基礎データをいただきました。

一方で、たとえば全体経費に占める保護者負担割合を、平成26年並みの12.28%にすれば、保護者負担は25億7512万円に抑えることができ、引き上げ保育料を約7000万円減らせます。

たとえば、大田区は、区政70周年の記念事業に5800万円。空の日に4000万円。これだけで引き上げ保育料1億7000千万円のうちの約1億円は捻出できます。

そうすると、合わせるとほぼ、保育料引き上げで見込んでいる増収分をねん出することができ保育料をひきあげなくてすむのです。

今回の、保育料引き上げには様々な論点がありますが、これらからわかるように、何よりも問題なのは、保育料の引き上げの理由が大田区の負担割合が減っているということです。保育は三位一体の改革で自治事務になっていて大田区の責任なのです。

それに加えて国や東京都の負担も減らされてきていて、その分を利用者に転嫁しているということです。

これは、国庫補助が減り続け、引き上げられ奨学金問題を引き起こしている国立大学の授業料と全く同じ構図です。

しかも大田区は保育料における「受益」を「年齢ごとのサービスの内容」と答弁しています。花火や空の日のイベントの受益者負担は不問にし、区民生活に欠かせない保育料に受益者負担を持ちだす大田区の感覚を疑います。受益者負担どころか、行政責任を問うべきではないでしょうか。

行政需要を受益と負担の構図で支給すれば、税の基本は崩れ、行政需要は消費という経済活動に変わります。しかもそこに負担の公平を持ちだせば、たとえ、低所得者のための措置を講じても、政府の目指す雇用の流動化と行政の自己責任化により中間層が益々疲弊し、格差は拡大します。

本来、適度な累進性を働かせて徴税し、低所得者等の措置は講じるとしても行政需要に対する支給は公平に行うことを原則とすべきです。負担の公平を持ちだしながら、今回の保育料負担の推移と保育士の低賃金化から見れば、結果として、区民の保育料も、税金として投入された運営経費が、企業の配当や内部留保にまわるしくみを作ってしまったのが民営化ではないでしょうか。そして、大田区や国東京都の負担割合を減らし、区民にその内部留保と株主配当まで負担させる構図が今回の保育料引き上げであるとみてとれます。

しかも、区は、認証保育所との負担の公平は保育料検討会では行わないとしましたが、だからと言って十分な対策はとられていません。大田区は、これほどにも不公平な実態をいつまで放置するのでしょうか。重ねて言いますが、三位一体改革で保育は自治事務となり大田区のでき人です。不作為と言うべきではないでしょうか。

今回、0歳児保育料を作ろうとしていますが、

平成15年には53万251円かけていた0歳児ひとりあたり保育料ですが、平成26年には62万3207と9万2956円も増えています。0歳児保育料も民営化や民間委託前の方が運営経費は低く抑えられているのです。

保育士の給料は下がりましたが、何の経費が増えているのでしょうか。これも株主配当や内部留保に流れるなら区民はたまりません。

今回の保育料改定には到底賛成することはできず反対といたします。