令和7年度予算への意見(討論)【地方分権で地方で無駄遣いするから格差が広がった】地方から税金が富裕層、外国資本に流れる
日本の所得格差は、大きくなったものの、国は、それを、税と社会保険で是正していると言っています。
ところが、消費税は反映されていませんし、調査の年には、低所得者へ現金給付しているので、格差が是正されているように見せています。
所得再分配調査は、実態を表していないのです。
しかも、保育や介護の社会保障分野を営利企業に開放し、企業の株主に税金で利益を払うようになったので、社会保障で格差を是正したことにしていながら、その一部が、高所得者層に、再分配されるので、実態はさらに格差を広げています。
ほかにも問題はあります。
地方分権で社会保障の責任主体を地方自治体に整理したので、その財源として、税収を地方自治体に集まる仕組みをつくりました。三位一体の改革と当時言われました。小泉構造改革です。
責任が地方に来て、その責任を果たすため、地方に税収を集めたのに、国も都も、民営化したら、補助すると言ったので、都内も日本全国も、民営化が進み、大田区など地方自治体は、その分、自由に使える税金を確保できました。
区は、それを、努力で縮減したと言っています。
社会保障の名目で引き上げてきた消費税ですが、消費税は、地方自治体に交付されています。
ところが、国が地方交付分を社会保障財源と位置付けたのは平成26年4月からで、それも一部です。
大田区は、消費税の一部と扶助費区負担額との差が大きく、消費税が足りないアピールをしています。国が社会保障財源と位置付けていない消費税は、社会保障に使う気が無いという事です。
こうして集めた税金を、大田区は、基金に貯めては引き出して、土地、箱モノ、開発に使い、蒲蒲線、蒲蒲線のまちづくりなどに使おうとおうとしています。
今回、東京都との財政調整金割合が1%程度上がりましたが、児童相談所にも触れていますから、地方分権と三位一体改革で、保育が大田区の責任になり、自由になる財源を増やしたのに、結局、国と都が補助したので自由になる財源を増やした時を思いだします。
そのうえ、介護保険に続き子育て支援を税から社会保険に移行させますが、社会保障を税から社会保険に移行させるという意味は、扶助費(社会保障費)の税負担が減って配分できる財源が増えるということです。
それだけでなく、労働者の社会保険は企業と半々なので、労働者の賃金が抑制されたり、法定福利費負担に耐えられない中小企業などが淘汰されるリスクが生じます。賃金を減らせば、企業の利益が増えますし、中小等企業がつぶれれば、市場が大資本などに寡占化されます。
ところで、分配と配分は経済的に使う場合には、大きく意味が違います。
資本主義経済における分配は、経済活動で得た利益を、労働者と資本家でどうわけるか、それが分配です。
配分は、経済活動において、資源、労働、土地、資本を何に使うかという意味です。
大田区は、集めた税で、資本主義経済のいびつな労働者と資本家の分配を是正するのがその役割のはずです。
これまでは、分配という言葉を使っていましたが、今回、大田区の答弁はほぼ配分に、終始しました。
大田区は、集めた税金を、市場経済に、投資家利益の為に使っているという事です。
地方分権で、大田区に集めた税金を、社会保障に使い、格差を是正せず、逆に、富裕層である資本家にお仕事で配分し、投資家利益に区民の税金の一部が使われるから、格差が拡大するのです。
更に問題は、日本の経済付加価値の約半分が、ウオール街に流出していることです。
日本企業の株が外国資本に買われ、働いて生み出す日本の富の一部が、海外流出し、日本全体が貧困化しているのです。
さらに社会保険料の算定に資産割が採用されれば、預貯金だけでなく、固定資産まで吸い上げられ、このままだと、資産を持てない、資本家になれない、労働力を提供するだけの区民層が増えるばかりです。
公民連携で企業の声を聴くなど、区長部局に権限を集中させ、議会は少数意見の発言機会を抑制すれば、相対的に主権者の代表である議会は無力化し、国がダボス会議で言った価値観だけの民主主義、新しい資本主義になってしまいます。
所得再分配調査をもとに、大田区の実態を明らかにしようと質問してきましたが、主権者である区民を守るべき全体の奉仕者大田区は、制度の評価は国がすべきと、実態を明らかにしようとさえしません。
私がこの予算と現状を明らかにし、評価するしかありませんから、反対です。
=============
令和7年度の一般会計~国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の3特別会計予算の反対討論です。(与えられた討論時間が短く、5分しか与えられていませんので、わかりやすくなるようキャプションつけてみました)
フェアな民主主義 奈須りえです。
第1号から第四号議案、令和7年度大田区一般会計、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険3特別会計の全ての予算案に反対の立場から討論いたします。
【所得格差が大きくなってしまった日本】
日本の当初の所得格差は極めて大きく、
・それが、税金と社会保険料を徴収して再分配し、
・社会保障を給付して再分配すると、
常軌を逸して格差が大きいと判断されるジニ係数0.4をかろうじて下回るというのが、国の所得再分配調査の結果です。
【消費税が反映されていないから、実際の格差はさらに大きい】
当初の所得から、税金で大きな所得の山を減らし、低い所得の上に社会保障で乗せると、山の高さの差が縮まるというのが、所得再分配の考え方ですが、税収の約3割を占める逆進性の高い消費税が反映されていませんから、調査結果より実際の格差は大きくなっています。
【現金給付と消費税で、格差をごまかす政府】
しかも、令和3年も昨年も、調査の年には、低所得者への現金給付をしています。今の徴税と社会保障の再分配だけでは、格差を是正しきれならないほど、極めて不平等な社会になっていると国もわかっているから、ジニ係数に影響しない消費税の増税を繰り返し、再分配調査の年になると、低所得者に現金給付するのです。
【民営化で、営利企業の株主が儲かり、実質格差はさらに広がっている】
しかも保育や介護など社会保障分野を営利企業に開放したので、社会保障で再分配すると、数字上は格差が是正されたことになりますが、現実には、その一部が営利企業の利益として主に高所得者の株主に再分配され、格差をさらに広げています。
【地方分権で社会保障名目に地方に増えた税収】
大学院の講座で厚生労働省の課長から、地方分権で社会保障の責任主体は地方自治体に整理されたと学びました。
年金と企業の健康保険以外の生活保護、障がい、保育、児童手当、介護、国保、後期高齢医療などほとんどの社会保障の実施主体が基礎自治体になったということです。
【保育を民営化し、増えた税収を自由に使える財源として確保した大田区】
社会保障の責任が大田区にきたから、
・三位一体の改革で住民税定率化、
・都区財調割合52から55%など
税源が大田区に集まる構造になりましたが、
国と都は補助金で民営化に誘導したので、区は保育園の民営化を進め、自由に使える財源を大幅に増やし、区は努力で縮減したと言っています。
【社会保障のための消費税も大田区では、社会保障に使わない】
社会保障の名目で引き上げてきた消費税ですが、国が地方交付分を社会保障財源と位置付けたのは平成26年4月からで、それも一部です。
区は、その消費税の一部と扶助費区負担額との差が大きく、消費税が足りないアピールをしていますから、国から言われた分だけ社会保障に使えば良いと思っているのでしょう。
【社会保障の責任主体になったから増えた大田区の税収
➡余らせ基金に貯めて土地・箱モノ・開発!】
それらを基金に貯めては、引き出して、
・空港跡地などを買い、
・公共施設等をつくり、
・指定管理者制度など、安く、無償で営利使用させ、
・蒲蒲線とまちづくりなどに配分しようとしています。
【三位一体改革の再現?児童相談所名目で地方に税収を増やし・・・?】
今回、財調割合などが上がり、児童相談所にも触れていますから保育を自治事務にして民営化で自由に使える財源を増やした三位一体改革を思いだします。
【社会保障財源を税から社会保険に移行させると・・市場が大資本等に寡占化】
税金を浮かせ箱モノ等に使え、
企業負担が生じるので賃金が抑制され、
法定福利費に耐えられない企業が淘汰され、
・・・・市場が大資本等に寡占化
介護保険に続き子育て支援を税から社会保険に移行させると、扶助費の負担が減って配分できる財源が増えるだけでなく、労働者の賃金が抑制され、法定福利費負担に耐えられない中小企業などが淘汰され、市場が大資本などに寡占化されます。
【分配と配分は違う 分配は賃金か配当か 配分は経済活動】
日本大学浅田義久経済学部教授は、配分とは、資源、労働、土地、資本を何に使うかで、市場で決定される。所得分配は生産された付加価値が賃金として労働者に分配されるか、資本に分配されるかで市場で決まる。
所得分配に公平性がないと国民が考えれば、政府は所得再分配をする必要がある。と「経済学から見た不動産市場」というコラムでふれています。
【区は、税金で経済活動=企業にお仕事を配分していると答弁】
区は令和5年決算委員会で再分配と答弁したのに、今回は再配分と答弁し、分配と言ったのは1度でした。再配分(はいぶん)の言葉通り、区は地方分権で集中させた税金で、営利企業を介して、ものやサービスや体験の機会など市場が行うべき再配分をしているから、一部が資本家の配当になり格差が広がるのです。
【日本の経済利益の半分が海外へ流出し、貧困化する日本】
福田泰雄一橋大学名誉教授は「後進国化する日本」という講義で、日本の経済付加価値の約半分が、ウオール街に流出していると指摘しています。日本企業の株が外国資本に買われ、働いて生み出す日本の富の一部が、海外流出し、日本全体が貧困化しているのです。
【次は、保険料の資産割で土地や家屋まで奪われる!?】
さらに社会保険料の算定に資産割が採用されれば、預貯金だけでなく、固定資産まで吸い上げられ、このままだと、資産を持てない、資本家になれない、労働力を提供するだけの区民層が増えるばかりです。
【主権者を無力化し、株主(と言っても半分は外資?)優遇の大田区】
公民連携で企業の声を聴くなど、区長部局に権限を集中させ、議会は少数意見の発言機会を抑制すれば、相対的に主権者の代表である議会は無力化し、国がダボス会議で言った価値観だけの民主主義、新しい資本主義になってしまいます。
【区民を守らない大田区の形だけの地方分権】
~大田区がやらないなら、フェアな民主主義奈須りえが実態を明らかに!~
地方分権が日本の構造を変えてきましたが、主権者である区民を守るべき全体の奉仕者大田区は、制度の評価は国がすべきと、実態を明らかにしようとさえしませんから、私がこの予算と現状を明らかにし、評価するしかありません、反対です。