奈須りえのメルマガ「目からうろこ第119号」の記事から 【社会保障は投資利益の必要経費】
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【社会保障は投資利益の必要経費】
高齢化だから、社会保障費が増えている、
だから増税したい、というのが国の言い分です。
確かに、高齢化率は上がっていますが、国の言うとおりに見ていていいでしょうか。
先日、財政の勉強会に行った時、こんな資料がありました。
対GDPで増える社会保障費
国民への年金、医療、介護のお金=社会保障給付費は、GDP約500兆円のうちの22.5%になっている、というグラフです。
元のデータが厚生労働省にあったので、リンクを貼っておきます。
001144715.pdf (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001144715.pdf
資料を見ると、1980年に、GDPの10%だった社会保障費が、二倍以上ですから、増税もやむないか、と思ってしまいます。
ところが、
平成24年の厚生労働省白書を読むと、ちょっと印象が変わってきます。
資本主義になって
より必要になった社会保障
社会保障というのは、産業資本主義が進むにつれて、充実してきたことがわかるからです。
それまで、家内工業で、家族が子育てし、介護してきたのが、
家を出て雇われて働き、賃金をもらって生活するようになると、
子育ても介護も、家庭内で支えることができなくなりますし、
働けなくなれば、収入が途絶えるので、年金・医療・失業など福祉という考え方が生まれます。
働いてお金を得る人
産業資本主義社会は、資本家の労働力となって働き、賃金を得て、生きる糧を得て生きる社会です。
雇って投資利益を得る資本家
一方、資本家は、労働者を雇って、投資利益を得ます。
大半が雇われて暮らす社会
国民の大半が一次産業に従事していた時と、国民の8割が雇われて暮らす今の日本では、社会保障費に違いが出るのは当然なのです。
働く人が増えれば、増えるほど、GDPが増えて、働かせて利潤を得る投資家利益も増えます。
大勢が働いても目減りする
一人当たり賃金
ところが、
・女性が働き、高齢者が働き、外国人も働き、働く人は増えますが、一人当たりの賃金は増えないどころか、目減りしています。
働く人が増えて
増える投資家利益
働く人が増えて、投資家利益は増えています。
問題は、社会保障費が増えているから、税金を上げようではなく、
増える社会保障費は、誰が負担すべきか、という視点だと思います。
分配から見たGDPをみると、
「賃金」と「投資家利益」と「利子・地代」と「税金」
に分かれます。
社会保障は
投資利益の必要経費?
働かせて利益を上げている投資家とって、
社会保障費は、必要経費のひとつとは言えないでしょうか。
いまのかたちは構造改革によって
作られたもので、
以前は、
・賃金の分配も
・投資家の社会保障費等の負担も
今よりは大きかったと思います。
一人当たりの分配の小さい国民に負担させる議論が目立ちますが、
その前にすべきことは山ほどあると思います。