景気が良くなると偽り、全額利子補給を止める大田区の中小向けコロナ支援
これまで、繰り返し、大田区のコロナの経済対策の問題について指摘してきました。
特に、中小事業者や個人事業主の向けコロナ支援は、自粛で減った売り上げの確保=営業補償すべきと指摘してきましたが、大田区は、【全額利子補給による融資で支援している】として、事情が違うから、他国や他自治体とは比べられないと答弁しています。
ところが、今回、その全額利子補給を止め、一般貸し付けに移行する補正予算が計上されました。
ワクチンで景気も回復するので、通常に戻すのだそうです。
ところが、見込んでいる融資総額は、これまでより増えています。
困窮する事業者が増えるとわかっていながら、利子補給を止める大田区のコロナ支援は、中小事業者支援ではなく、大資本をみているのではないでしょうか。
残念ながら、この補正予算も、反対はフェアな民主主義 奈須りえ一人。
ほか全議員の賛成で可決しました。中小企業、町工場の町大田区として非常に残念です。
以下は、反対討論、全文です。
______________________________________
第40号議案 令和3年度大田区一般会計補正予算(第2次)に反対の立場から討論いたします。
コロナで、行政は経済活動にも、社会活動にも、また、私たちのプライベートな暮らしの在り方にも自粛を求めていて、昨日(2021年6月21日)から緊急事態宣言が明けたというのもの、まん延防止に移行していて、すっきりしない状況です。
そうしたなか、今回の補正予算には、産業経済費に、新型コロナウイルス対策特別資金と一般運転資金に関る利子補給が計上されています。
コロナ特別融資
全額利子補給をやめ、一般運転資金に移行
利子補給だから支援が継続するのかと思ったら、無利子のコロナウイルス対策特別資金貸付を一般運転資金貸付に変えるための補正予算です。
大田区が、新型コロナウイルス感染症により、事業活動に影響を受けている区内中小
大田区のコロナ対策の目玉
コロナ特別融資 全額利子補給
企業・小規模事業者に対し行ってきた支援策の中心が、この「新型コロナウイルス対策特別資金」の全額利子補給事業だと思います。
海外では、大資本と小規模資本を分け、小規模事業者へは営業補償しているのに対し、中小企業の経済への影響が大きい日本が貸し付けで、一般質問や予特で質問したところ、日本、大田区の実情に応じて行うもので単純に比較できないと答弁していて、大田区の実情にあった支援策が、この全額利子補給の貸し付けとプレミアム付き商品券だと言っていました。
プレミアム付商品券(中小企業支援ではない)経済対策と大田区
プレミアム付商品券は、臨時会の補正予算において奈須りえが過去の推移から検証し、また、大田区自身も経済対策と言っている通り、もはや中小企要支援ではありません。
そのうえ、今回の補正予算で大田区は、最大のそして残る唯一と言ってよいほどの全額利子補給を止めるといっているのです。
中小企業へのコロナ対策はもう不要なのでしょうか。
今年9月以降の貸し付けは、全額利子補給をやめて、一般運転資金貸付に移行し、利子補給の限度を1.6%と一部に変えるため、の補正予算です。
全額利子補給廃止の理由は
ワクチンで景気が上向くから平常モードの戻していかなければならない
なぜやめるかと言えば、ワクチンなどの対応も始まり、景気も上向くであろうという判断もあり、平常モードに戻していかなければならないから、という理由だそうです。
4月から8月までの5か月間の貸し付けに対する利子補給額約7400万円と、9月から来年3月までの貸し付けに対する利子補給額約1400万円が計上されています。
私は、大きくわけて二つの点でこの補正予算には反対です。
ホントに景気は回復するのか
一つが、果たして景況は向上するのか、ワクチン接種で経済活動は平常に戻るのか、という問題、さらに言えば、ワクチン接種で大田区内の中小企業や個人事業主の売り上げは回復するのか、借入金に頼らず、固定費を確保できるのかということです。
私は、コロナの感染防止と言いながら基準の良くわからない「まん延防止」という制限枠を国が作っていることや、緊急事態があけても東京都がまん延防止に移行している事からみても、国や東京都は、本気で、感染防止対策をしようとか、苦境に立つ中小事業者、個人事業主を救おうとかいう視点でコロナ対策をしていないように感じています。
コロナの感染者数は検査方法で増えたり!?減ったり!?
検査機関が決めてたCT値
先日、健康福祉委員会で、PCR検査におけるCT値、つまりはコロナのRNAを見る際の増幅サイクル数は、どうなっているのか伺ったところ、検査機関が決めていると答弁しています。
私たちは連日報道される感染者数に一喜一憂していますが、検査によって、ある時は、感染者が出やすい検査で、またある時は、感染者がでにくい検査で、それが検査機関まかせになっている、ということです。
感染者を多く出したい時はCT値をあげれば良い?
仮に、感染者をたくさん出したい時は、CT値をあげて、出したくない時はCT値を下げる、ことが可能だとすると、私たちは一体何を怖がっていることになるのでしょうか。
そうした中で、感染拡大と判断され、自粛を強いられているのです。
苦境にたたされている事業者さんたちはこれを知ったらどう感じるでしょうか。
以前、航空会社のチーフパーサーだった方から、空港の金属探知機は、混雑時には甘くして、すいている時は厳しくしていると聞いたことがあります。今回の答弁を聞いて、このことを思い出しました。
もう一点が、大田区が見込んでいる融資総額です。
無利子融資総額は120億から180億へ増額を計上
(月平均融資額は24億から26億に増)
大田区は、景気回復を見込んでいるから、コロナ対策の全額利子補給をやめると言っていますが、4月から8月までの無利子融資で120億円を見込んでいる一方で、9月~来年3月の融資総額は、180億円と1.5倍を見込んでいます。
景気が上向くからやめると大田区は説明していますが、9月以降も融資は減らず、増えることを見込んでいるのです。4月~8月で5カ月。9月から3月で7カ月で1.4倍、総額で1.5倍ですから、期間と融資額を加味して比較すると、融資は7%ほど増えることになります。
景気悪化を予想しながら全額利子補給を廃止
景気が回復して融資額が減るどころか、融資を望む事業者は増えると予想しているのに、景気回復とはよく言ったものです。
大田区のコロナ対策の中心はこの融資で、それも、景況の見方をいつわって全額利子補給をやめてしまうのですから、その程度の支援、中小企業政策でしかないという事です。
大田区が見てる景気回復は大資本?グローバル資本?
過去の質問でも取り上げましたが、コロナで困窮する多くは、個人事業主や中小企業で、実は大資本は、逆に業績をあげているところも多いと思います。もちろん、中小企業の中にも頑張っていらっしゃるところもあると思いますが、
結局、大田区が見ている景気が上向ている事業者は、国も優遇して大切にしている大資本グローバル資本なのでしょう。
融資を希望する区内事業者は減らないどころか増え、困窮することが分かっていながら、利子負担を大きくするとは、なんと冷たく非情な大田区でしょうか。
コロナに乗じた構造変化→構造改革
私はコロナが始まった早い段階から、コロナに乗じて社会のしくみや構造を変えようとする力を感じてきました。
経済や雇用の場面で起きていることも、実は、コロナで起きているのではなく、大企業、グローバル企業、機関投資家などが、超高齢化社会への突入で、利益を確保するために行いたい、産業構造のドラスティックな「思い切った」「徹底的な」「抜本的な」転換を、これまでの枠組みでやっていたら、社会的、法的に許されない部分をコロナで一気に乗り越えようとしているのではないかと感じています。
結果として起きている
・中堅飲食業の廃業や統廃合は飲食業界の再編とも言えます。
・大企業の事業撤退は、労働人口構成に合わせた産業構造の転換とも言えます。通常では難しい解雇などもコロナでやむなくとなるでしょう。
・在宅勤務も感染防止より、企業のコスト削減の効果に目が向いてしまいます
・遠隔教育、遠隔医療なども、教師の退職不補充と合わせれば教育費の削減になりますし、遠隔医療も社会保障費や企業負担の減につながります。
売り上げ増が見込めない中
融資に特化した支援では
資本(土地や預貯金)は金融機関へ
売り上げの増が見込めない状況で、資本力の小さな中小企業に貸し付けるだけの支援策にはそもそも反対です。返す見込みなく貸し続ければ、最後、土地や預貯金を担保に取られてしまうからです。
しかし、景気が良くなると偽り、全額利子補給をやめる大田区の中小企業に対するコロナ対策には到底賛成できるものではありません。
売上補償する海外の事例に対し、それぞれの国の状況があるから単純に比較できないとした結果が今回の補正予算です。反対です。