【質問】
よく企業の社会的責任の第一番目は、従業員の雇用を守る事 といわれます。日経に安い人件費などを求めて工場を中国や南米に海外に進出している中、アメリカでの雇用(=工場をアメリカからださない)にこだわっていたリーバイスが、GAPなどの価格競争に負けて、赤字をだし、工場を閉鎖せざるを得ない状況になったという記事を見ました。「CSRの先駆的な会社として有名なリバースが、アメリカにこだわった結果、何人もの失業者を出してしまった。このことで、CSRに疑義をとなえる動きがでている」ということで締められていたように思います。この関係をどう捉えるのかが、わからないのです。
【答え】
例えば、子どもの労働という部分で、問題があるといわれていたナイキですが、そもそも、国内から海外移転し、自国の雇用に対する責任を持たないで何がCSRなのかという発想は、今、失業率が上がっているアメリカに生まれてきているそうです。
ウォルマートなども、輸入額の10%をウォルマートが占めているといわれていますが、実態は、海外移転による安い労働力の賜物が、エブリデイロープライスにつながっているわけで、そうした部分に批判が集まりつつあります。
今後は、国内雇用を確保しているために、結果として価格が上がってしまった商品に、その理由をつけて売ることがCSRを果たしている企業として支持されていく風土は出来上がっており、そうした企業が支持され、また、商品やサービスが売れていくと斉藤槙さんは考えていらっしゃいます。
そうなって欲しいものだと思います。
MBAを取得し、大企業に就職しCEOを目指すのがエリートだと思っていたのが、エンロン事件や9.11以降を境に、トップの私利私欲のために利用されていたのでは、と気付き働き方の選択が変わってきています。
現在では、MBAを出た若者たちは、大企業からCEOへの選択ではなく、社会をよくしようとするビジネス=NPOや弁護士etc・・などに着くことが多くなってきているそうです。
ライフスタイル(=LOHASUと呼ばれている)が変わってきていて、こうしたライフスタイルを志向することがCSRであるといった形に変わってきています。
子どもの労働についても、単に雇用しない、撤退することがCSRとして認められるのではなく、リーボックなどは、子どもの雇用が問題になった時に、工場の横に学校を作り通わせて、15才以上になった時に採用するということまでやってのけたそうです。実際子どもを雇用してはだめだといえば、困るのは現地の人たち。
このリーボックの事例に、私自身、大変驚くと共に、更にCSRについての可能性を思い、今後も引き続き学んでいきたいと考えています。