公園用地を買う、買わないはどう決める?!

東糀谷の場合、西馬込の場合

 東糀谷四丁目の公園用地2.8haを35億円で購入する補正予算を2006年の第四回定例会で計上し、可決されています。

 その後、1月に行なわれた公園としての都市計画決定を行う大田区都市計画審議会でも、区からは防災機能を備えた公園整備という説明があり、承認されています。

 大田区では、公園の整備については、区民一人当たり6㎡を目指すとしています。
  
 2006年4月1日現在、大田区民一人当たりの公園面積は、3.79㎡。一人当たり6㎡という数字からみても大田区の公園整備はまだまだ不十分な状況です。

 防災機能を持った公園として整備されることになった東糀谷の2.8haは、東京都が鮫洲の運転試験場の移転地として確保していたものですが、結局、運転試験場として利用されず大田区が東京都から購入を決めました。

 売り出される土地がなければ整備していくことはできませんから、公園や緑地の確保は、購入できる土地があるかどうかにも関ってきます。購入できるチャンスがあれば、それをとらえ、公園や緑地として整備していくことは良いことです。
 
 しかし、出物を待っているだけでは、区内の緑化や憩いの場、そして防災機能などのための公園の整備は遅々として進みません。

 大田区の都市計画審議会の際に、質問にあがった、昼間人口と夜間人口の比較や、大田区全体のそして糀谷地区の区民一人当たりの公園面積などは、大田区内の地域別の公園や防災機能の優先順位などを明らかにするためであったといえます。

 一方で、過去にも何度か陳情としてあげられている、西馬込の東京都交通局馬込車両工場(東京都大田区西馬込1丁目5番、面積約21,300平方メートル)を公園に、という陳情が、今回の定例会にもあげられました。

 現在の公園面積が不足している状況や、大型の土地を購入できるチャンスはそう無いこと、東糀谷において2.8haの公園用地を35億円もかけて取得したことを考えると、西馬込の土地も購入すべきです。(現在馬込車両工場跡地を土壌調査したところ土壌汚染があることが判明しました。土地購入は、汚染土壌の改良の後になります)
 
 「公有地拡大法」という法律があります。
 地方公共団体等が公共の目的のために必要な土地を少しでも取得しやすくするため、一定面積以上の土地を有償で譲渡しようとするときは、知事に届出を求める法律です。
 例えば、東京都では、5,000㎡以上の土地について知事に届出をするよう求めています。

 委員会において、区は、東京都が売る気が無いと言っていますが、民間の事業者がその土地を売却する際に、当該自治体に対して届出を義務付けているのであれば、例えば、今回の馬込車両工場跡地を東京都が売却する際に、当該自治体である大田区に何も声をかけずに売却すると言うことがあるでしょうか。
 
 今回、この陳情を審議したのは、公園整備に係る計画を担当するのはまちづくり推進部まちづくり課であるにも係らず、交通問題調査特別委員会。議会運営委員会において付託の決定をする際に「土地の所有が東京都交通局なので以前から」と付託されてしまいましたが、どう考えても、公園用地を買うか買わないかを決める審議をする委員会が交通問題調査特別委員会というものおかしな話です。

 糀谷の2.8haを購入する審議をしたのは、補正予算であったために総務財政委員会。
 区は購入の説明を、地元からの要望である防災機能を持った公園にとしていますが、一方の西馬込の土地は、陳情が上がっても、その地域の公園の必要性を調査するなど区から主体的に動く気配すらありません。

 糀谷地域が特に大規模公園が少なく住民一人当たりの公園面積が小さい、防災機能を持たせられる公園が少ない、西馬込はその反対に、充足しているなどの理由が明らかであれば納得できますが、そうした理由も説明されないままに、一方は、購入、もう一方は検討すらしていないというのはおかしな話です。

 まちづくり課に公園整備についての指針を求めたところ、明文化したものさえ無い状況。同時に請求した地域別区民一人当たりの公園面積の資料も無し。
 一体、何を基準に買う買わないを決めているのか、これでは、その時々で、「都合の良い理由」を後付けしていると指摘されても仕方の無い状況です。
 
 2.1haという広い土地の購入のチャンスは、たびたび現れるものではありません。
 売却の意思が無いなどと東京都に責任転嫁することなく、大田区として、購入の是非を判断できる指標を作り、区民が納得できるかたちで公園整備・緑地確保に取り組むべきです。

参考資料
 馬込車両工場跡地から土壌汚染
 土壌調査結果