これまで、議会や委員会において、何度も、この日中独居高齢者の介護保険利用について議論されてきました。
しかし、同居家族がいる場合には、その同居のご家族が仕事をしていて、日中はご本人がおひとりで過ごされる場合(日中独居)であってもサービスを使えないというのが大田区の姿勢です。
たとえば、議会において、
日中独居家族が日中は不在でも、休暇や出勤等の前後にできる家事もあるのが一般的であります。したがいまして、日中独居であるからといって、無条件に障害、疾病と同様のやむを得ない事情に該当するものと考えることは難しいということをご理解いただきたいと存じます。
といった答弁がされてきました。
しかし、実際の運用になると
こういったケース(*日中独居高齢者で、ご家族に障害など特別な理由の無い場合:奈須)の方の場合は、ご子息と同居者がいるという状況の中での介護保険の利用が困難だということになっているわけでございまして、そうした場合には従来から申し上げているとおり、いわゆる社会福祉協議会とか地域のサービスとか、それから食事であれば通常の宅配業者のそういったサービスもあるということで、そういったところの選択と、あとご家族の食事づくりと、そういった組み合わせの中で選択をしていただくということでお願いしたいと思っております
といった回答になってしまい、ご家族が働いている場合は、仕事していない時間に家族の支援を受ければよいというのが区の判断です。
しかし、すべての自治体において同居家族がいる=サービスが使えないという判断をしているわけではありません。
高齢者の生活を働く家族にあわせることは、現実には困難です。
昼間、おひとりでいる高齢者が、必要なサービスを受けることによって、介護度が進んでしまうことを抑制する効果も期待できます。
昨年の12月、厚生労働省老健局振興課は、日中独居高齢者に対し、一律にサービス提供を抑制する状況が一部の自治体で起きていることから、自治体などに、「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス及び介護予防訪問介護サービスの生活援助等の取り扱いについて」と題した通達を出しています。
この通達の中で、厚生労働省は、明確に、
同居の家族の有無によって介護サービス支給の可否を一律に判断せよと厚生労働省は言っていない。
介護保険の自立支援に必要なサービスを提供するという基本理念に立ち返り、個別の利用者の状況をきちんと踏まえたうえで、適切に判断せよ。日中独居=給付不可ではない。
としています。
大田区で、これまで、行われてきた給付や、議会での答弁・ケアマネージャーや事業者に対する指導からは、明らかな行き過ぎた給付制限が見られます。
高齢者ひとりひとりの状況にあわせ、必要なサービスが、必要な高齢者に給付される適正な介護保険の運用が求められます。
*通達の概略は次のとおりです。
同居家族等がいる場合の、介護予防訪問介護サービスの生活援助の取り扱いは、自立支援につながる必要なサービスが提供されるよう厚生労働省としても運用を指導してきた。
しかし、一部の自治体で、個別具体的な状況を踏まえずに同居家族がいることとのみを判断基準として一律機械的にサービス提供しているという情報がある。
同居家族などの取り扱いは、以下のとおりであることをもう一度周知徹底していただきたい。
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①「障害、疾病のほか、障害、疾病が無い場合であっても、同様のやむをえない事情により家事困難な場合」には、生活援助できることになっている。
これは、障害、疾病に限定されるものではなく、個々の利用者の状況に応じて具体的に判断されるもの。同居家族の有無のみを判断基準として一律に介護給付の支給の可否を機械的に判断しないようにされたい。
②「利用者が可能な限り自ら家事など野を行うことができるよう配慮するとともに、利用者の家族、地域の住民による自主的な取り組みなどによる支援、他の福祉サービスの利用の可能性についても考慮しなければならないこと」としているが、これも、同居の家族等の有無のみを判断基準として一律に予防給付の可否を機械的に判断するのではなく、個々の利用者の状況に応じて適切に判断されたい。