令和7年度予算議会を終えて 考える 【やっぱりあきらめられないフェアな民主主義】
令和7年度予算議会が終わりました。
エレベータで偶然区長と乗り合わせたところ、「奈須は、全ての議案を良く見ているから」というようなことを言っていただきました。
一般会計から特別会計まで、全ての議案に反対しましたし、提出された議案の反対も、一番多かったのですが、明確に反対理由を説明できる議案だけに反対しました。
例えば、安くなったから、とか、高くなったから、という理由だけでなく、その背景にある、根拠や公平性や他の制度との整合性などに掘り下げ、区民生活への影響を考えました。
議会が終わり、エレベータで乗り合わせた区長はじめ、何人かの議員や職員と話す機会がありましたが、賛否はともかく、深く掘り下げていること、良く勉強していること、言っていることはわかる、反対することは大切だ、などと言ってくださったのは、
少し意外であると同時に、区長はじめ、議員も、職員も、私の主張をよく聞いてくださっていて、日本は、まだまだ、捨てたものではないと思いました。
あきらめず、フェアな民主主義のために、今日からまたスタートです!
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以下、令和7年度の一般会計~国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の3特別会計予算の反対討論です。(与えられた討論時間が短く、5分しか与えられていませんので、わかりやすくなるようキャプションつけてみました)
フェアな民主主義 奈須りえです。
第1号から第四号議案、令和7年度大田区一般会計、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険3特別会計の全ての予算案に反対の立場から討論いたします。
【所得格差が大きくなってしまった日本】
日本の当初の所得格差は極めて大きく、
・それが、税金と社会保険料を徴収して再分配し、
・社会保障を給付して再分配すると、
常軌を逸して格差が大きいと判断されるジニ係数0.4をかろうじて下回る
というのが、国の所得再分配調査の結果です。
【消費税が反映されていないから、実際の格差はさらに大きい】
当初の所得から、税金で大きな所得の山を減らし、低い所得の上に社会保障で乗せると、山の高さの差が縮まるというのが、所得再分配の考え方ですが、
税収の約3割を占める逆進性の高い消費税が反映されていませんから、調査結果より実際の格差は大きくなっています。
【現金給付と消費税で、格差をごまかす政府】
しかも、令和3年も昨年も、調査の年には、低所得者への現金給付をしています。
今の徴税と社会保障の再分配だけでは、格差を是正しきれない、ほど、極めて不平等な社会になっていると国もわかっているから、
ジニ係数に影響しない消費税の増税を繰り返し、
再分配調査の年になると、低所得者に現金給付するのです。
【民営化で、営利企業の株主が儲かり、実質格差はさらに広がっている】
そもそも、保育や介護など社会保障分野を営利企業に開放したので、
社会保障で再分配すると、数字上は格差が是正されたことになりますが、
現実には、その一部が営利企業の利益として、主に高所得者の株主に再分配され、格差をさらに広げています。
【地方分権で社会保障名目に地方に増えた税収】
大学院の講座で厚生労働省の課長から、地方分権で社会保障の責任主体は地方自治体に整理されたと学びました。
年金と企業の健康保険以外の、生活保護、障がい、保育、児童手当、介護、国保、後期高齢医療など、ほとんどの社会保障の実施主体が、大田区のような基礎自治体になったということです。
【保育を民営化し、増えた税収を自由に使える財源として確保した大田区】
社会保障の責任が大田区にきたから、
・三位一体の改革で住民税定率化、
・都区財調割合52から55%など
税源が大田区に集まる構造になりましたが、(大田区に税金がたくさん集まる構造になった)
国と都は、補助金で民営化に誘導(大田区の負担を国と都が補助)したので、
区は保育園の民営化を進め、自由に使える財源を大幅に増やしました。
大田区は、税金が余ってたまっていると私が指摘すると
それを、経営努力だと言いますが、毎年、数十億が余って溜められるわけですから、理由があるのです。
【社会保障のための消費税も大田区では、社会保障に使わない】
社会保障の名目で引き上げてきた消費税ですが、国が地方交付分を社会保障財源と位置付けたのは平成26年4月からで、それも一部です。
区は、その消費税の一部と扶助費の区負担額との差が大きく、消費税が足りないとアピールをしていますから、国から言われた分だけ、社会保障に使えば良いと思っているのでしょう。
【社会保障の責任主体になったから増えた大田区の税収
➡余らせ基金に貯めて土地・箱モノ・開発!】
それらを基金に貯めては、引き出して、
・空港跡地などを買い、
・公共施設等をつくり、
・指定管理者制度など、安く、無償で営利使用させ、
・蒲蒲線とまちづくりなどに配分しようとしています。
【三位一体改革の再現?児童相談所名目で地方に税収を増やし・・・?】
今回、財調割合などが上がり、児童相談所にも触れていますから保育を自治事務にして民営化で自由に使える財源を増やした三位一体改革を思いだします。
【社会保障財源を税から社会保険に移行させると・・市場が大資本等に寡占化】
行政は、税金を浮かせ箱モノ等に使え、
企業は、社会保障の法定福利費負担が生じるので、賃金が抑制され、
法定福利費に耐えられない企業が淘汰され、
・・・・市場が大資本等に寡占化
介護保険に続き子育て支援を税から社会保険に移行させると、扶助費の負担が減って配分できる財源が増えるだけでなく、労働者の賃金が抑制され、法定福利費負担に耐えられない中小企業などが淘汰され、市場が大資本などに寡占化されます。
【分配と配分は違う 分配は賃金か配当か 配分は経済活動】
日本大学浅田義久経済学部教授は、配分とは、資源、労働、土地、資本を何に使うかで、市場で決定される。所得分配は生産された付加価値が賃金として労働者に分配されるか、資本に分配されるかで市場で決まる。
所得分配に公平性がないと国民が考えれば、政府は所得再分配をする必要がある。と「経済学から見た不動産市場」というコラムでふれています。
【なぜ、答弁を分配から配分に変えた
区は、税金で経済活動=企業にお仕事を配分していると答弁】
区は、令和5年決算委員会で再分配と答弁したのに、今回は再配分と答弁し、分配と言ったのは1度でした。再配分(はいぶん)の言葉通り、区は地方分権で集中させた税金で、営利企業を介して、ものやサービスや体験の機会など市場が行うべき再配分をしているから、一部が資本家の配当になり格差が広がるのです。
【日本の経済利益の半分が海外へ流出し、日本が貧困化する】
福田泰雄一橋大学名誉教授は「後進国化する日本」という講義で、日本の経済付加価値の約半分が、ウオール街に流出していると指摘しています。日本企業の株が外国資本に買われ、働いて生み出す日本の富の一部が、海外流出し、日本全体が貧困化しているのです。
【次は、保険料の資産割で土地や家屋まで奪われる!?】
さらに社会保険料の算定に、資産割が採用されれば、預貯金だけでなく、固定資産まで吸い上げられ、このままだと、資産を持てない、資本家になれない、労働力を提供するだけの区民層が増えるばかりです。
【主権者を無力化し、株主(と言っても半分は外資?)優遇の大田区】
公民連携で企業の声を聴くなど、区長部局に権限を集中させ、議会が少数意見の発言機会を抑制すれば、相対的に主権者の代表である議会は無力化し、国がダボス会議で言った価値観だけの民主主義、新しい資本主義になってしまいます。
【区民を守らない大田区の形だけの地方分権】
~大田区がやらないなら、フェアな民主主義奈須りえが実態を明らかに!~
地方分権が日本の構造を変えてきましたが、主権者である区民を守るべき全体の奉仕者大田区は、制度の評価は国がすべきと、実態を明らかにしようとさえしませんから、私がこの予算と現状を明らかにし、評価するしかありません、反対です。