東大阪市もまた、大田区と並ぶ、日本を代表するものづくりの町です。
大田区と同じものづくりのまち東大阪市ですが、工場の規模には、若干の相違があります。大田区は、中小企業のまちといわれますが。中小の中でも更に小さい、零細に近い企業の多い町であるのに対し、東大阪市は、それに比べ、規模の大きな企業の町であるようです。
当日は、東大阪市 経済部から話を伺いました。興味深かったのは、お世辞も多少あったかもしれませんが、大田は、企業のデータベース化、産業振興会の設立など中小企業対策に早くから取り組んでいて、中小企業対策では、他の自治体の手本になってきた経緯があったこと。ところが、先駆的に取り組んでしまったことで、経済状況が悪化した今、それが現状に即さなくなってきていることがあるのではないかと感じました。
東大阪市では、産学連携や、東大阪ブランドへの取り組み、ジェトロと組んだ商談会、企業のデータベース化、販路拡大などさまざまな取り組みをしていました。その中には、大田の先例に倣っているものも多くありました。
興味深かったのが、工場の誘致制度。
近年、大規模工場の跡地が宅地化していることが問題になっていて、工場誘致のために、固定資産税・都市計画税の1/2を補助する制度を創設していました。宅地になってしまうと、固定資産税の税収は1/4程度になりますが、広い工場跡地に小規模な住宅を建設すると、道路を作らなければならず、結果、課税面積(=道路を除いた宅地面積)も小さくなり、実際の税収は、1/8程度になるそうです。そのため、積極的に工場を呼び戻そうというのがこの制度です。
最終製品を製造する企業が多い東大阪市に比べ、大企業の孫受け企業の多く、その親会社が発注先を海外に変えてしまったり、つぶれてしまったりすることで苦境に陥っている会社の多い大田区は、東大阪市以上に難しい問題を抱えていると実感しました。
それとともに、これまで他の自治体に先駆けて取り組んできた施策が、経年とともに、陳腐化していないか検証する必要を強く感じて東大阪市を後にしました。