見せたくないの?ルーズなの?大田区の情報公開の問題

昨年の6月27日の活動報告 で、大田区が「忙しくて」情報公開処理を忘れてしまった新聞報道についてご紹介しました。
 
 その後、大田区の情報公開処理は改善されているのでしょうか?

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 議員が資料請求すれば、なんでも出てくると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、「調査権」が与えられているのは、議員個人ではなく「議会」です。

 区政執行の妥当性や適正性を判断するために「議会」が「議会」や「委員会」として資料を請求することは、当然の職務であるはずですが、残念ながら、少なくとも大田区議会において「議会」や「委員会」として資料請求しようとしても、「必要ない」「個人で請求すれば」といった意識の議員が議会の「調査権」を発揮することはできません。

 そのため、調査は、個人の資格で行うことになり「開示請求」をする機会が増えます。
 
 大田区の情報公開制度の運用については、以前から問題性を認識し都度議会でも発言してきました。ごく最近行った行った3つの「開示請求」から見える問題についてお話したいと思います。

■手数料を支払ったのに公開されない

 大田区の条例に基づき事業者に報告が義務付けられているマンション建設説明会資料の情報公開を求めたところ、開示決定がなされ、指示に従い手数料を支払ったが、その日に資料は公開されなかった。区の指定に基づき文書を受け取ったのは数日後。

 請求書類はマンション説明会に間に合わず、故意かと邪推してしまう。
 
 
■対象書類が存在しながら、公開せず、対象書類を指摘されて初めて対応する

 大森南の土壌アスベスト処理工事において、飛散防止策をとらず土壌を掘削した事故が起きましたが、その後の施工計画書など一切資料提供されていなかったため、事故後の施行計画書・作業報告書・打ち合わせ議事録などを「開示請求」しました。

 ところが、公開の連絡をうけ、担当部署に行ったところ、提示されたのは「修正後の施行計画書」と作業日報だけでした。

 区は、事故後、アスベスト専門家と契約し、事故後の作業についての相談や工事現場の管理などを行わせてきています。事故後の方針決定のためには当然何度も打ち合わせが行われそれに基づき方針決定が行われたはずですが、それらが一切示されませんでした。
 
 そうした部分について指摘したところ、打ち合わせも行っているし、議事録もあると回答したため、対象書類すべての開示を求めました。

 「情報公開条例」に基づき公式の手続きに基づき行った開示請求ですが、存在する書類の有無さえ触れずに、一部しか情報提供しないなど、こんなにいい加減な処理でよいのでしょうか。

 
■要綱さえも情報提供されない

 大田区の認可保育園にかかわる設置基準・運営基準について情報公開したところ、該当する要綱さえ示されませんでした。

 要綱は、区民生活にかかわることを規定している場合も少なくなく、以前から、区民がいつでも見られる状況にすべきと指摘してきました。ようやく、大田区HP上に公開する補正予算がついたところですが、HP上での公開が間近でありながら、請求されても開示しないなど意識は変わっていないということでしょうか。

■情報公開審査会は十分機能しているか

 こうした課題を改善するために、「情報公開審査会」が設置され、情報公開に関して不服がある場合には、審査請求できることになっています。
 
 ところが、私も現在、2件の審査請求中で、そのうち1件は、昨年の2月初旬(1年前!!)に請求していますが、未だに審査は行われていません。

 昨年秋に、どうなっているのか問い合わせたところ、「審査件数が多いため対応できていない」という回答でした。
 「審査会」が十分に機能していないということは、大田区の情報公開制度運用についての自浄作用が十分に機能していないということです。
 必要があれば、審査会開催回数を増やすなど対策をとるべきであり、情報公開の問題について区民などから審査請求をうけながら、それを、先送りする大田区の姿勢が「情報公開」対する意識を象徴しているとは言えないでしょうか。

  
■大田区の情報公開処理の問題点

●担当部署や人により事務処理手続きが異なる
 
 ・手数料支払いも当該課で収納してくれるところもあれば、銀行への入金を求めるところもありバラバラ。
 ・ある担当者は資料提供するが、同様の書類でも「開示請求」を求められる場合もあるなど対応に違いがある。
 
 
●開示・非開示の基準が部署や人により異なる
 
 ・判断はあくまで、情報公開条例とその手引きに基づき行われるべき。そのためにも、開示されてから、判断を決めるのではなく、区としてあらかじめ公開・非公開の基準を定め、それに基づき文書作成時に示しておくことが必要。

●「情報公開」は、区民の知る権利を保障するための法や条例に基づき運用すべきという認識に欠けている


なかのひと