決算書に見えてこない大田区の財政の不安要因「蒲田開発」:決算特別委員会から

昨年の決算特別委員会で公有財産の有効活用という視点から、大田区の不動産活用の問題点について取り上げました。
 目的、価格、購入条件、土地開発公社を使った購入方法などの側面から不透明で非経済的な土地購入の実態を改善するよう提案しました。
 
 1年が経過しましたが、大田区の土地購入は改善したといえるでしょうか。

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昨年の10月、蒲田開発は大田区の依頼を受けて六郷の土地を購入しました。
 
 区は、大田区が50%以上出資しているものの一民間会社である蒲田開発に、いわゆる「先行取得」と言って大田区が買い戻すからと買わせたものです。
 
 土地開発公社が先行取得できるのは、「公有地拡大法」(10条から)に基づき、また、議決によって設立しているからであると理解ししています

 しかし、何ら法的根拠を持たない「蒲田開発」に土地を買わせることは、

①購入限度額を持たないため、区財政を圧迫する恐れがある。
②議決を経ていないため行政の恣意的な購入を抑止できない
③購入価格の正当性を担保できない

などの点から問題です。

 昨年より大田区は、「蒲田開発」との人的関係を強めており、区長以下区幹部が「蒲田開発」と一体となって土地購入をはじめ様々な契約を行う構図ができあがています。

 決算特別委員会では、
①大田区が3セクである「蒲田開発」を使い土地を先行取得できる法的根拠。
②土地購入が失敗に終わった場合、責任を負うのはだれか

について質問しました。

 区からは、法的根拠はなく、債務負担行為という将来大田区が土地購入を負担することを議決したから良いのである。責任は議決した議会にあり区は関係ない。としか受け取れない答弁でした。

 バブル期の不動産高騰による影響を避けるためできた「先行取得」という仕組みの中での「土地開発公社」ですが、その役割は終わったといってよく、公社を解散させようというのが時代の大きな流れです。

 高コストで透明性に欠ける土地開発公社の存在が問題になっている時代に、土地開発公社であれば、減免される不動産取得税や固定資産税も支払わなければならない民間企業に大田区が土地を先行取得させるメリットは皆無です。

 区が「蒲田開発」を使い土地を購入する意味は一体何なのでしょうか。

 質問の全文


なかのひと