この時期、毎年、大田区の職員定数の条例が改正になります。
職員定数を条例で定めることは自治法で定められていることで、その数が変わると条例を変更します。大田区行政を執行する機関の職員数のいたずらな増減を避け、制限をかけている大切な条例です。
ところが、この間の事業の外部化や、職員の非正規化などを考えると職員が何人減ったから良いとか悪いとかいうことが簡単に言えなくなってきていることに気づきます。
議案審議に入る前の上程時でなければ確認できない、議案提出における大田区の職員配置とその把握にについての基本的な考え方と、審議に必要な情報提供の在り方について質問しました。
しかし、非正規外部化された職員配置を見えるようにする必要性についての大田区の答弁は、把握出来ない。
「先進的な自治体は取り組んでいるが」という再質問にも積極的姿勢は見えませんでした。
また、議案審議に必要な非正規や外部化された人員の状況が分かる資料提供に対しても求められればという受け身の答弁でした。
把握できないと言っている大田区に示せるはずもなく、職員定数条例が形骸化委していることがわかります。
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【これより本文】
第10号議案、「大田区職員定数条例の一部を改正する条例」について質疑させていただきます。
この議案は、自治法第172条第3項の規定「職員数は条例でこれを定める」に基づいています。
自治法が職員数を条例で規定することを定め議決事項としている本旨に立ち返れば、区民から負託され大田区行政を執行する機関の職員数のいたずらな増減を避け、制限をかけていることは明らかで、自治体運営の基盤とも言える重みのある条例です。
この自治法172条3項の規定に基づき設置された大田区職員定数条例の「区長の事務部局の職員を28人減員し、教育委員会の事務部局の職員を2人増員し、教育委員会の所管に属する学校の事務部局の職員を13人減員」する改正を行うのが今回の議案です。
ところが、定数条例で定めた定数は、職員数そのものではなく、自治法172条3項においても「臨時又は非常勤は定数に入らない」という規定があります。更に、大田区職員定数条例においても例外規定を設け、国、他の地方公共団体その他の団体における研修、派遣、事務従事や休職、休業の職員を定数外として定数に含めていません。
こうした規定から、定数条例上の職員数は、大田区で働く職員数の実態とは異なった数字になっていることがわかります。
確かに、これまでの自治体においては、こうした定数管理でも良かったのかもしれません。しかし、現在の大田区においてこうした定数は、大田区の公務員数管理上一定の意味を持つものの、区行政実態とは大きくかけ離れたもので、定数だけで大田区行政を管理することができなくなっているのではないでしょうか。
現在の大田区行政は、以前のように大半を正規の公務員である職員だけで支えられているのではありませんし、外部への研修、派遣も増えています。
一方で、定数にならない非常勤職員も増えてきています。アルバイトは定数に入りません。団塊世代の職員が多いことは知られていますが、60歳で定年退職したこれらの方たちが、再任用職員として勤務されていますが定数には入っていません。東京都は既に定数化されていると聞いていますが、大田区ではまだです。
もちろん、職員定数だけではなく区内部で配置定数・過配定数・財調定数など様々な数値により職員数を把握、管理しているものと思いますが、実際にどこに何人働いているかは、議会にも明らかにされていません。明らかにすべきです。
一方で、民間委託や指定管理者制度導入が進み、膨大な事業がこの間外部化されてきました。保育園、学校給食、図書館、プール、障害者施設、男女平等推進センター等々。これまで大田区職員が行ってきた様々な分野を民間事業者に雇われる方たちが担うようになってきています。
しかし、大田区行政において、これら外部化されている事業においてどれだけの人が働いているのか。金額においても、また、人員ベースでも雇用の総体が見えなくなってきています。
大田区は、民営化や民間委託など、区の事業を外部化するにあたり、雇用創出をそのメリットの一つとして掲げてきましたが、その効果は、示されたことがありません。
外部化された勤務者の雇用の定着や能力向上が区政における課題のひとつになっていますが、そうした課題解決のためにも、その実態を明らかにすべきではないでしょうか。
外部化されたとしても、大田区行政にかかわる職員であることにかわりはありません。大田区行政において、公務員とともに非常勤や外部化されている分野などの人員についても漫然と外部化すること無く実態を明らかにしなくてはならない時期に来ているのではないでしょうか。
大田区は、職員定数が下がっていることを区報などで示し行政改革が進んでいるかのような広報を行っていますが、事業が外部化されているのですから、職員数が減るのは当然です。区民一人あたりの職員人件費率においても下がるのは当然で、実態を把握するのであれば、事業者から人件費相当分を提示させ、積極的に区の経営指標として活用していくべきです。仮に、民間事業者が提示を拒んだとしても、委託の物件費や指定管理料などから区が見積もった人件費相当分を算入することは可能です。
こうした実態把握無しに自治体経営の改善も改革もありえないのではないでしょうか。
大田区としての考え方をお示しください。
今回、職員定数条例の改正案が上程されましたが、条例設置の本旨に立ち返れば、正規職員だけの定数改正議論は、ほとんど意味をなさなくなっています。大田区議会として審議にあたり、大田区の非常勤職員の実態や外部化された事業のボリュームと人員配置数および人件費総体を示していただく必要があると考えますが、委員会審議においてそうした情報は示されますか?
今回の定数改正の審議をするためには、こうした情報が示され初めて、意味ある審議ができるようになると考えますがいかがでしょうか。