ミュンヘンの再開発の基本は、環境を良くすること。
具体的には、例えば「採光」「通風」「日照」が再開発をしたことにより良くなっていかなければならないと水島さんは言います。
ミュンヘンの再開発の前提は、「住民優先」「景観整備」「環境保全」ですが、住環境の整備に関連して「生態的」と「経済的」の対立が起きた場合は、「生態的」を優先することと連邦空間整備にうたわれているそうです。
住環境を向上させることにより住宅の価値を高め、結果として税収が増える。増えた税収をまた住民に還元するというのがミュンヘンの再開発の考え方です。
そしてその基本には、市民参加があると水島さんは言います。
示された提案に根拠を持って反論をして改善を求めても、行政からの返答は改善を試みるというより言い訳に近いものでしかなかったという日本での経験を持っている水島さんですが、一方のドイツは、市民の意見に根拠があれば、何回でも行政側は、提案を作成する義務があります。
6月11日の報告にも書きましたが、日本でもパブリック・コメントの実施が必要性が認識され、自治体においてもその手続の法整備が進んできています。
提出されたパブリックコメントに対し、行政に説明責任を求める部分などは、今後、更に充実していかなければならないと考えていましたが、既にドイツ ミュンヘンでは、それが定着していると知り、あらためて日本との違いを認識しました。
長い期間を経て作られてきた日本の歴史的・文化的にも貴重なまちなみが、かわってきています。
あるいは、そうした特別なまちに限らず、地域の住環境と異質な建築物の建設が、紛争として顕在化している地域が増えています。
住環境の向上という私たちの暮らしに最も重要な部分を、私権の名の下に、市民や行政が立ち入ることをしてこなかったまちづくりの問題ですが、一方で、再開発という手法により、公共目的を全面に出して、まちのデザインを作り変えている現状があるならば、地域を区分けし、その区域の守るべきクオリティーを明確にし、住民と共に守っていくミュンヘンの手法に学ぶべきものは多いと考えます。
講演を聞く前に宿題として与えられた
「ドイツ流街づくり読本−ドイツの都市計画から日本の街づくりへ」水島 信著
は、写真が多用されていて読みやすい本です。