自治体の資金調達の方法と意義

 大田区は、昨年発行した第1回に引き続き、田園調布せせらぎ公園と鵜の木一丁目緑地の用地取得を目的に「第2回大田ドリーム債」を発行します。
 
 「区民の区政への参画意識を高める」「多様な資金調達方法を確保する」ことを目的に発行される大田ドリーム債ですが、販売直後に売り切れるなど、第1回は、大変な人気でした。

 利率は、一般に区が資金調達する際の、東京都債を標準に設定していますが、金融機関への手数料や区内部での経費をなどを考慮すると、特別区債などよりもコストのかかる調達方法であるといえます。

 当然、区民債の発行は、単なる資金調達ではなく、区民が区政に対し参画意識を持ってもらうことも大きな目的であり、コストだけでは判断できません。

 一方で、第1回販売時に行ったアンケート調査によれば、購入の動機は
複数回答とし、二つまで選択できるようにしたところ、
1.大田区の発行する債権なので安心感がある
2.若干利率が上がってきた途中だったのでよかった
3.区政への参加
4.緑地・公園の購入だから
といった順に多かったという結果が出ており、区政参加より金融商品的な側面の強いことが見えてきます。

 たとえば、千葉県我孫子市では「オオバンあびこ市民債」を発行していますが、その発行目的は、民間所有となり、埋め立ての開発の危険にさらされた「古利根沼」(約16ヘクタール)を保全するため、市が取得するために発行しています。
 環境の向上・保全のための緑地取得と債券発行という手法は同じですが、我孫子市と大田区の大きな違いは、利率の違いです。

 大田区では、通常区が調達する金利とほぼ同程度で発行するため、取得コストが上乗せされる結果となりますが、我孫子市では、利息や手数料などを含めた発行経費の総額を銀行などからの借入と同程度となるようにしたため、市民債の利率は、利率決定時の国債利率年0.8%を下回る年0.58%となっています。

 しかし、応募した結果我孫子市では、発行額2億円の5倍を超える1,260件、10億3,150万円の応募があり、公開抽選により256名にしぼったそうです。

 「子どものころ遊んだ古利根沼の自然を大切にしたい」という20代の人、「わずかでも古利根沼の保全に役立つなら」と10万円分の購入申込みをされた人など、古利根沼の保全や自然保護に賛同するという購入理由が圧倒的に多かった。という「古利根沼」の貴重な自然を保全し、未来の子どもたちにプレゼントするという市の趣旨に市民が賛同した形になっています。

 大田区としても、大田ドリーム債の今後を考えれば、単なる魅力的な金融商品に留まらない、多様な資金調達方法の確立と、区民に賛同を得ることのできる明確な目的を持った事業に関し債権を購入いただくという形での区政参画を目的に発行する形に移行していくことが望まれます。