学校給食費の徴収状況に関する調査の結果について

大田区の状況と文部科学省平成17年度の実態調査から

 文部科学省では、学校給食費の未納問題に教育委員会が苦慮している事例が多く伝えられていることから、平成17年度の学校給食の実態調査を行い、その結果を1月24日付けで公表しています。
 
 調査結果によれば、全国の小中学校のうち約44%の学校において学校給食費の未納問題が、児童生徒数では約1%の児童生徒に未納問題が生じていることが明らかになっています。
 
 特に今回の調査結果の視点において特徴的なのは、未納が増えたと思う原因についての学校への設問への回答として「保護者の責任感や規範意識」と回答した学校が小中学校合計で69.6%もあったことではないでしょうか。
 そのため、文部科学省が各都道府県知事・教育委員会教育長などに出した留意事項においても、その第一番目は
①保護者に学校給食の意義や果たす役割を十分に認識していただくとともに、未納により他者に負担が発生することなどを保護者に周知し、理解と協力を求めるとなっています。
 
 一方で、33.1%は保護者の経済的な問題から未納となっていると認識しており、文部科学省の留意点の2番目に揚げられている
②経済的に支払うことの出来ない保護者に対しては、生活保護や就学援助制度の活用してもらう。また、その給付は、必要に応じ、直接学校長に交付することも検討する。自治体は、就学援助事業に努める
取り組みが早急に求められます。

 また、文部科学省でも
③未納問題は、学級担任だけの問題にせず、学校全体として取り組み体制を整える。自治体は未納状況を随時はあくし教職員と連携して未納問題の解消に努める
と指摘している通り、払えない未納者への早急な対応と、払える未納者に対する対策が求められます。
 
 学校給食費の欠損分については、「徴収した学校給食費から学校給食を実施」「学校が他の予算等から一時補填」「教育委員会等の予算から一時補填」などの対応がとられています。
 
 都政新報に掲載されている23区の状況には、週3日だされるはずの果物が週1回しか出されていないなど、食材への影響がでている学校もあることが指摘されています。
 23区で未納額は4861万円。大田区は、23区中第1位で739万円の未納ですから、食材への影響もまた心配されるところです。
 
 こうした未納の実態への対策として、調査の回答において「保護者の責任感や規範意識」と回答した学校が多かったこともあり、都政新報においても、コンビ二徴収・簡易裁判所の小額訴訟など法的手段・教育委員会名での依頼通知の検討が紹介されています。

 江戸川区の教育委員会では、区内の全小中学校の児童・生徒の保護者を対象に、給食費の3分の1、年間約5億円を補助しています。江戸川区の給食費収納率は99.83%。
 
 負担の公平性・給食の栄養面・安全面でも確実な提供・子育て支援など総合的な視点にたった「給食費未納問題」への取り組みが求められます。

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